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願うのは笑顔  作者:
第1章 第3節【正しさ】
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呪いの言葉《レヴェルside》


 

 『貴方の努力が足りないから王位継承権を剥奪されたのです』

 

 母上が鬼のような顔で僕を見下ろすのが恐ろしくて。どうして兄上はスティニア様とあんなに幸せそうに笑い合えるんだろうと、二人を見かける度に思ったりもした。

 

 スティニア様が笑って頭を撫でてくれる時、どうして僕の母上は笑ってくれないんだろうって、ただ不思議で。

 

 「ヴェルにぃさま」

 レティシアが僕の腕の中で暴れるから抱き締めづらい。動かないで欲しいんだけど、まだ小さなレティシアに言っても意味なんか無くて。

 

 それでも守らないといけないと思った。それでも一緒にいてあげないと。

 

 兄上のように。

 

 「兄上…」

 

 痛そうだった。苦しそうだった。スティニア様もキャロリアンナも凄く悲しそうな顔で。母上だけが無実を主張して叫んでいた。

 

 『レヴェル、部屋で待っていられるか? 護衛も付けるから』

 『レティシアと一緒にいます』

 『…くれぐれも部屋から出ないように』

 

 父上が悲しそうに笑っていて。ああ僕の居場所はとうとう無くなってしまったんだって。

 

 「やっぱり悪魔だったら良かったのに」

 

 ジークとかいうあの悪魔の目を持った奴を思い浮かべて本当の本当に悪魔だったならどれだけ良かっただろう。

 

 もし悪魔だったなら僕の魂を食べてもいいから母上を殺して欲しかった。

 

 兄上の事。いつも母上は悪く言うけど、兄上はいつだって優しかった。勉強がわからなかったら教えてくれる。勉強の時に部屋に行っても怒らず近くに座って待たせてくれる。

 

 遊ぼうと言ったらいつでも遊んでくれて。

 

 寝れない日は一緒に寝てくれた。

 

 「ヴェルにぃさま、グランにぃさまは…? レティシアね、グランにぃさまのね絵をかいて──」

 「レティシア、グラン兄様じゃなくてこれからはグランシアノ王子って呼ばなきゃいけないんだ」

 「グランにぃさまはグランにぃさまだよ?」

 

 言ってみたもののやっぱりレティシアは分からないようでなんでなんでと繰り返し聞いてくる。

 

 小さな妹。母上を実母に持ってしまって僕を実兄に持ってしまった可哀想な妹。

 スティニア様が実母で兄上が実兄だったならレティシアはもっと笑えたんだろうなぁ。

 

 

 『貴方のせいで』

 「…レティシアごめんね」

 「レヴェルにぃさま?」

 

 柔らかなレティシアの髪をゆっくりと撫でながら父上…ううん、陛下の指示を待つ。

 

 死ぬってどんなだろう。痛いのかな。痛いのは嫌だな、僕は痛くてもいいけどレティシアが泣いてるところは見たくない。

 

 兄上みたいになりたかった。勉強ができて剣もできて魔法も使えて。下の兄弟にも優しくできて…次期王太子だと周りに納得させれるほど好かれてて。

 

 王位継承権ってそんなに大切だったの? 腹違いの兄弟を殺そうとしてまで必要だったの?

 

 王子は王にならなきゃダメなの?

 

 「レティシア、今日は僕が絵本読んであげる」

 「ほんと!? やった、あのねレティシアはねーっ」

 

 楽しそうに寝る前に読む絵本の希望を伝えてくる小さな妹。まだ何もわからないほど小さい。

 

 「死にたくないなぁ」

 

 でも兄上に死んで欲しくないなぁ。

 

 僕が出来損ないだったから、兄上に劣っていたから。母上は兄上を殺して兄上がいた位置に僕をやろうとしてたけど無理だよねそんなの。

 

 だって兄上の周りの人は兄上だから次期王太子に相応しいって言っていたんだ。

 

 兄上がいなくなったとしても僕を王太子に…と思うのは僕を利用しようとしている人だけだと思う。

 

 だから、母上の考えは全て無駄だったんだ。

 

 

 

 

 

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