レヴェルを探して《ジークside》
サーレが王子を探したいと言った時。頭に浮かんだ言葉は一つだった。
俺の事、嫌いになった?
それからどんどんと後悔が浮かんでいく。サーレは悩んでいる様子だった。それを相談してもらえて嬉しかったから素直に答えて…それが気に入らなかったのか?
サーレが求めていた答えを俺が言えなくてだからサーレは第二王子を探したいなんて。
「ジークと一緒に探したいの!」
でも違うってのはすぐに分かる。…サーレは頭がいいけどちょっと察しが悪いところがある。天然とも言えるその性格が好ましいと思っていた。
だから落ち込まずにサーレを見て。すぐに違うと分かった。落ちていくとき、ジークと呼ばれるだけですぐに前がむける。下じゃなくて先が見れる。
俺と探したいと言った。俺がいなければダメだと言った。確かにサーレは小さくて手足もまだ短くこの広い会場を探すのは時間がかかる。
俺の方が足は早いし、身長も高い。
たとえ、そんな理由でも。
サーレが頼ってくれることがこんなに嬉しいことだとは思わなかった。
第二王子レヴェル。
亡国から嫁いできた側室の息子。第一王女の実兄。サーレがなぜ狙われている第一王子ではなく、第二王子を探したいのか俺には全くわからないけど。
「サーレが探してと言うんだ」
なら探さない訳はない。サーレの望みを俺が叶えない訳が無い。
周りに不審に思われない程度に足早に周りを見回しながら動く。金髪に青い目。貴族の中に埋もれてしまうような色。それでもその容姿は王族だけあって整っているって話だ。
なら、探せる。
そういった人物には人の目がいく。大人でも子供でも、つい目を向けるものだ。
耳をすましながら歩いていく。怪しまれてはダメだ。俺は忌み子だからすぐに攻撃の対象になってしまう。それは貴族になっても変わらない。
表に出されなくなっただけだ。
親父にも迷惑がかかる。自然に、影を薄く、狩りをする気持ちで。目立たず、早く。捉える。
────いた。
「…レヴェル王子」
一人壁際の椅子に腰をかけてジュースを飲んでいるサーレよりも少しだけ背の高い彼は俺の声に気づいて俺に目を向ける。そしてびっくりした顔で固まってから笑顔を張り付ける。
「どなたですか?」
「失礼します、私はジーク・ルーテン・モナール…縁あってモナール子爵家の養子になった者です」
「そうですか、そのあなたがなぜ僕を探しているのでしょう?」
リトよりも歳が下なのに隙があまりない様に見えるのは王族だからか? それともこの年齢ではこれくらいが普通なのかもしれない、サーレも大人びているし。リトの方があの歳の割に子供っぽいのかもしれない。あまり子供と関わる機会がないから分からないが。
なんにせよ。
「私の婚約者があなたを探してほしいと私に願ったので」
「婚約者…?」
レヴェル王子が困惑しているのが手に取るようにわかる。うん、サーレに伝えようと思うけどサーレとは真逆に向かったからな。今どこにいるんだろうか。
「……」
「……」
お互い無言になりながら。見つめあっているとレヴェル王子がため息をついて椅子から下りる。そして近くにあったジュースの入ったコップを手に取り俺に差し出してくる。
「座れば? よく分かんないけど僕の事探してるんなら君の婚約者ってのも来るんじゃない?」
「…いいんですか?」
「敬語も別にいいよ、どうせ名前だけの王子だし」
少し不貞腐れたようにまた椅子に戻るレヴェルに倣ってその隣の椅子に腰掛ける。
妙な事になったけど、見つけられたし、サーレの願いは叶えられたは叶えられたんだよな?
…サーレがどこかわかんないけど。




