サーレのお願い
パーティーはまだまだ終わらない。進みはしているからそろそろ王族も来はするだろうけど。
────レヴェルはどこにいるんだろう。
とふと考えた。記憶を再びゲームに戻して思い返してみると主人公に声を掛けたのは確かにレヴェルからであり、主人公自体はレヴェルがどうしていたのかを知る場面はなかった。
もしも私の考えの通りに一人で寂しげな主人公に自分を重ね声を掛けたならば…彼は今も一人この会場にいるのだろうか。
「サーレ? どうかしたのか?」
ジークが固まる私の顔を覗き込む。レヴェルの事は好きじゃない。無神経で最低でいくら主人公に対して優しくても私は好きになれない。でも。
でも、この世界は確かにゲームの世界ではあるけどジークやリトが生きているように。レヴェルも生きていて。
レヴェルがそういった私が嫌う存在になる未来はそうなるかもしれないと言うだけの話でしかない。
「レヴェル王子を探したいんだけど」
「レヴェル王子? 第二王子だよな? 容姿しか知らないのに探すのか?」
ジークが怪訝そうな面持ちで私を見るけど、私はそれに何も言えない。
だって、私しか知らないんだ。この先の可能性の話なんて。
ひとりぼっちの主人公に声を掛けたのは確かにレヴェルだった。私が嫌いな彼だった。
『一人でどうしたの』
つまらなそうにしている彼女を心配してなのか声をかけて、楽しそうに笑って、陛下に名を呼ばれ緊張した顔をする。
歪む前の彼は確かに小さな普通の優しい男の子だ。ましてやこの先彼はきっと───。
「ジーク、レヴェルを探したい」
「…」
「ジークと一緒に探したいの! それから出来たら…出来たら友達になりたい」
ジークは目を見開き数回瞬きをしてから首を傾げる。
「それは、俺が必要な事?」
「勿論! 絶対必要!」
神緑の巫女姫のOP、そこに絶対出ることは無かった魔王。イレギュラーなジークと私がいるんだ、きっと同じにはならない。寂しげなレヴェルもまだ子供でひとりぼっちなことを知っていて放って置いていい…なんてことにもならない。
だって、まだ先はわからないんだ。
レヴェルと仲良くしよう。ジークと私と友達になってもらおう。ゲームでリトはレヴェルと友人だった。たった一人の友人だという彼らは仲がよかった。でもリトは私やジークと友達になった。
リトと友達になった経緯は知らないけど、もしかしたらリトとレヴェルが友人になる未来を私は変えたかもしれない。
「金髪に青い目の見目がいい男児だよな」
「そう、私と同じくらいの歳の子!」
「手分けして探そう」
「ありがとう!」
いつ襲撃が来るかはまだ分からない。それでも間に合って欲しいと思う。ひとりぼっちで真実を迎える事にはなって欲しくない。
そうすべきでは無いんだ、多分。




