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願うのは笑顔  作者:
第1章 第3節【正しさ】
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攻略対象としてのレヴェル


 賑やかなパーティーの中私はふと視線を周りに向ける。気の所為だったのかもしれないけど、今誰かに見られていた様な感覚があった。

 

 そう言えばレヴェルは陛下が来る前に主人公に接触していた筈だ。もしかして視線の正体はレヴェルなのかな?

 

 きょろきょろと周りを見廻す。でもレヴェルの姿は見えない。タイミング的にももう声を掛けてきても可笑しくはないんだけど…。

 

 「あ、そっか」

 レヴェルが主人公に声をかけたのは一人で居たからだ。自分と重ねて主人公を気にかけたんだろうな。そう考えるとまだ小さい頃は救いようがあるのかもしれない。

 

 レヴェルという人物。

 異母兄弟のグランシアノの影に隠れる事しか許されない哀れな王子。母親は異国から嫁いで来たが母国は既に戦争に敗れ無くなってしまっている。つまり後ろ盾がない。

 

 陛下は奴隷廃止を掲げており、後ろ盾が無くなったからと言って後宮から追い出すことは無かった。またその扱いが悪くなる事も。

 

 けれどレヴェルは王位継承権が剥奪(はくだつ)されてしまった。幼いレヴェルはその事を理解できなかったが母親である側室にとってそれは苦痛な事だったんだろう。

 レヴェルに全ての責任を押し付けたのだ。レヴェルが至らぬせいで王位継承権が剥奪されたのだと。グランシアノに劣るが為にスペアにもなれないのだと。

 

 

 側室にとって重要だったのは息子ではなく夫である陛下の愛だった。

 

 レヴェルはやさぐれて表向きは丁寧に接するものの気に食わない女性に対して酷い嫌がらせを行った。仕方ないと同情できる人もいたんだろう、何せゲームだ。改心し謝る姿にむしろ心打たれたのかもしれない。ほかの女性には見向きもせず主人公(プレイヤー)に愛を囁くのが良かったのかもしれない。

 

 

 だが、その中に神緑の巫女姫でとある男のサブストーリーを見た人は何人いたのだろう。最愛の人を殺された男もモブではあったが彼が幸せになるストーリーも用意されていた。それは仇であるレヴェルを殺すことで。

 

 要はその嫌がらせのせいで未来を閉ざされた若い娘がいたこと。その娘を想う男がいたこと。そしてその死んだ女性のことをレヴェル本人が覚えていなかったこと。

 

 このサブストーリーへの条件が厳しく、余程やりこまないと辿り着けない。だから知らないプレイヤーも多かったのかもしれない。

 

 私もレヴェルに対してこのサブストーリーを見るまでは特に何も思っていなかった。過去には色々あったが、反省しヒロインを一心に愛す。よくある影のあるヒーローだなぁという感想だけで。

 

 ジークが幸せになるエンドを探し尽くした私としては何故この男は幸せになれてジークはなれないんだと当時はやりきれない気持ちになったものだ。

 

 懐かしいなと考えながら。

 今度は幼少期のレヴェルを思い出す。

 

 生意気そうではあるが、レヴェル本人に歪みは感じない。…でもレヴェルの件も今回変わってくると思うんだよね。

 

 私の予想が正しければ。

 

 「どうした?」

 「なんでもないよ、陛下はまだかなって」

 「リトも来ないな」

 「リトは大丈夫でしょ、花もあるし」

 「回数制限とかないのか?」

 「一応あるよ、ジークのは使ってないから花弁が六枚あるでしょ? リトは今四枚になってると思うんだ」

 

 周りにバレない程度に花を見えるようにすればジークは首を傾げた。

 「なぜ四枚になったんだ?」

 「私とジークが二人でリトのところに行ったからね、その分引かれたの。また二人で行くなら残りは二枚になるし、一人で行くなら三枚になる。これが無くなると効果もなくなるから気をつけてね」 

 「わかった」

 

 頷くジークが単純に微笑ましくて和む。緊張してたのか無意識に手に入っていた力が抜けたのが分かって、本当にジークが居て良かったとつくづく思う。

 

 

 

 

 

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