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願うのは笑顔  作者:
第1章 第3節【正しさ】
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忍び寄るイベント


 あれから一時間ほどでパーティーは始まった。

 

 ...(きら)びやかなパーティー会場。沢山の人々が楽しげに談笑していて、中には子供同士を会わせ婚約の話をし出す大人もいた。

 

 見覚えのある顔ぶれに私はジークと共にジュースを飲みながらぼーっとする。

 

 「サーレ、私達は挨拶をしてくるよ」

 「うん、いってらっしゃいお父様、お母様」

 

 お父様には私はジークと居ると告げてある。お母様もお父様もわざわざジークと私をセットで紹介しジークを蔑ませるのを見たい訳ではないから仕方ないかと頷いてくれた。

 

 そのお陰で私とジークはお見合い会場化しつつあるこのパーティーで静かに二人でジュースを飲めることとなった。

 

 「サーレ」

 「ん?」

 「サーレは…この後どうする気なんだ?」

 

 ジークはわざと主語を抜いて話す。それを聴きながら手元にあるコップの中のものを飲み下した。ちょっと酸っぱい、レモネードかなこれ。

 

 「何もしないよ」

 「本当に?」

 「本当…って言っても私じゃないと無理なことはやるけどさ自分からは動かない」

 

 あの後リトとメイドを引き取りに来た宰相は私にパーティーがこのまま行われることが決まったと言った。

 

 それはつまり陛下はそれでもこのパーティーをしなくてはならない理由があって。

 

 大人達の中で何らかの手立てが打たれたと見ているから。下手に動いて掻き回すのは良くない…と思う。素人思考だけどさ。

 

 光魔法を使える人がいないのはわかったから結局会場を包む闇を消すのは私の役目だ。でもどの場面で闇を晴れさせればいいかに悩んでいた。

 

 「ジークはさ、知らない方がいいことも知りたいと思う?」

 「……物によるな、サーレのことなら知りたいと思う」

 「…う…うん、ありがとう…? じゃなくて、自分のことだったらどう?」

 

 ジークが赤い目を見開いて瞬きをする。少しもその考えが浮かんでなかったって顔だ。分かるけども。

 不意打ちのジークのデレに熱を帯びた頬に手の甲を軽く当てながら周りの大人たちを見てればジークは心底不思議そうな声で、言葉を紡ぐ。

 

 「サーレは未来視ができるのか?」

 「出来ない、けど」

 

 想像でしかない。前世の記憶があるから他の人よりもそれが当たる確率は高いかもだけど。

 

 「なら、悩むだけ無駄だろ」

 

 きっぱりとジークは呟いて私の頭を優しく撫でてくる。

 

 「知らない方が良かった…なんて言葉は知った後だから言えるんだ、知る前に知らない方が良かったかなんてわからない」

 でも、とジークは珍しく言葉をまだ続けた。

 

 「でも、俺は自分のことを勝手に決められるより自分で決める方がいい、俺だったら知る術があるなら迷わずその術をとる」

 

 ───たとえそれが人の命に関わっていても?と口を開きかけて言葉を飲み込む。

 

 卑怯だ。この問は。

 人の命に関わっていても知りたいかという問はあまりに。

 

 知りたいといえば人の命なんてなんとも思ってないように取れてしまうし、知りたくないといえば本心を潰してしまうだけだ。

 

 でも──私は知っている。覚悟が出来てなかっただけで。

 

 知らずに生きた先にある者を知っている。そのシナリオが大嫌いだったから私は結局本人を傷つけるかもと思っても明らかにするだろう。

 

 大人達がその結果どう選ぶかも分かっていて。

 

 「想像でしかないからまだ分からないけど、もし何かをする時はジークも一緒に来てね」

 「いいのか?」

 「もちろんだよ、ジークがいる方が私も心強い」

 

 それにジークを一人にしてどうなるかなんて怖くて想像したくもない。だから近くにいて欲しいんだ。

 

 

 

 

 

 

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