思い返して 《リトside》
ずっとずっと嫌いだった。お父様もお母様もこの目もこの国も僕自身も。
どうしてと何度も泣いた、嫌だと駄々をこねて、お母様の腕を噛んだりした。
「リト、大丈夫よ」
何も大丈夫じゃないのに、何も良くないのに。
「リトなら出来るわ」
出来っこない、こんな世界もうみたくないよ、お願いだから。
「リト、私の可愛い子」
うるさい、聞きたくない。
「貴方なら出来るわ、あの人の子だもの」
もう聞きたくないんだお母様。だからもう、僕を放っておいて。
僕はお母様の言葉に耳を傾けることをやめて、部屋に引きこもった。
扉に鍵をかけて。外に出させようとするなら死んでやると叫んで。
─────────あれからまだ三年ぐらいしか経っていないのに僕の記憶の中のお母様はどんどん薄れていく。
「お父様」
お父様を見上げる。シワの目立つ顔だ、昔よりも老けてきてて、それが怖かった。
「サーレやジークと友達になったんだ」
「そうなのかい!? それは嬉しいことだ、今度家に遊びに来てもらおう」
嬉しそうに笑うお父様から目を離してサーレのことを思い出す。
綺麗な銀髪に緑の目。
女神の目を持つ僕と同じ神に選ばれた子。
白髪に赤い目。
女神に反するものとして描かれる絵には白髪に赤目の男がいる。 その背には真っ黒な翼を持つ悪魔と呼ばれ忌諱される存在。
忌み子と言われるジーク。
似てると思った。
選ばれたものでも、忌まれるものでも。
特別な目を持つ僕達はきっと同じなんだ。
それにジークの魔力はとても澄んでて闇属性が強くて分かりにくいけどほかの属性もあるみたいで、魔力はサーレのこと以外には揺れなかった。
でも僕の友達になるってなった時少し揺らいでて、僕のことを受け入れてくれる魔力は柔らかくてほっとした。
サーレは眩しい。とにかくそれに尽きた。
強い光とそれに隠されるように存在するもの、それらが柔らかく包むようにサーレの周りを揺らいでいて、彼女の心配の気持ちがわからなかった。
初対面なはずなのに、どうしてそんなに悲しそうな顔で見るんだろう。ころころと変わる表情は見ていて面白かったけど。
なにかに耐えるような顔の意味が僕はわからなかった。
「リト、私は陛下に挨拶をしてくるよ、一人で平気かい?」
「うん」
「……何かあったらすぐに周りの人に声をかけるんだよ? じゃあまたあとで」
お父様が軽食の置かれた部屋から出ていく、お茶を入れるメイドのユミルはしずしずと食事の支度をしていく。
僕はそれを机に頬杖をつきながら見ていた、行儀が悪いと怒る人もいないから、そうやって時間を潰していて、ふと気がついた。




