記される証
「約束?」
リトが不思議そうに目を瞬いて、私を見る。ジークは私が約束と言ったからかその言葉を逃さないようにするみたいに私をじっと見ていた。
「そ、約束。」
「内容によるよ?」
「簡単なものよ? 何かあった時、必ず私を呼ぶこと…それだけなんだから」
その言葉にリトは目を見開き間抜けな顔をする。ジークも訳が分からないとばかりに顔を顰めた。
「私の名前を呼ぶの、呼べば私はその場所がわかるようにするし、すぐ行けるように魔法を“組む”わ」
「魔法は小等部にならないと学べないはずだよ? サーレ使えるの?」
「あら、私の目を見てみなさいよ、使えるかなんて愚問ね」
えっへんと胸を張ってみる。リトは可哀想な子を見る目を向けてきたしジークは少し目をそらしていた。
「私は魔法を使える、この目のお陰でね?」
「……なるほどね、でもなんで君を呼ぶの? 警備はいるはずだし、君を呼ばなくても…それじゃまるでこれから何か起こるみたいだ」
リトの言葉にニッコリと微笑むとちょっとたじろがれた。不服だ。
「その通りよ、二人共、今から話すことは私たち三人だけの秘密だからね」
こっそりと防音魔法を周りにかけて二人に抱きつくように念には念を入れて囁く。
「今日、このパーティーで周りの人にどうにもできない時が来る…絶対と言ってもいいわ」
いい?と二人の目を見る。
二人共唖然としていてジークが目を見開いたまま問いかけてくる。
「……なぜ、サーレはそれが分かるんだ、?」
「…わかるからとしか言えない…信じれなくても覚えといて、貴方達に何かあった時、私を呼ぶって」
そうすれば私はリトの目を治せる。
もし不測の事態でジークに何かあっても私はたどり着ける。
「信じれなくていいから、絶対に約束して」
二人の手をぎゅっと握る。
目を奪わせない。ジークのせいにさせない。この世界でジークがジークらしい笑顔を浮かべるためにも。
「…わかった」
「僕も。覚えとく」
二人の返事にホッとして、魔力を練りながら口を開く。
「“約束せし我が友との縁は途切れるなかれ、その身を守る約束を持った誓の証を記す、我らは友であるのだから─友との誓花─”」
ゴッソリと魔力が抜ける感覚がする。回復速度は人よりも早い自覚はあるから気にはしない、ここでけちってたら後々自動で転移が起きなくなってしまう。
私が握った二人の手。
ジークの右手とリトの左手の甲に薄らと花の絵が咲いた。
命を守るための花は美しく咲き、私の心も決まった。
─────絶対にリトとジークを助ける。
待ってなさい、犯人。
リトの目をそう迄して消したかった貴方の思惑を壊してあげるから───。




