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願うのは笑顔  作者:
第1章 第2節【瞳の価値】
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想定外な接触


 おかしいね。先ほど撒いたメイドがにこやかに私の前に立っている。その前には怒っている両親と目を細めじとりと私を見るジークもいる。

 

 おかしいね。リトには確かに宰相と縁をつないでもらおうとは思っていたけども。今変な縁の繋ぎ方になろうとしてるんだけど…というかなんでお父様たちはここにいるの…?

 

 「おや? リト、可愛らしい友人だね」

 リトに少しだけ目元が似ている白髪とシワの目立つ初老の男性に胸が痛くなる。いや、恋愛的痛みじゃなくて、ストレスの方で。

 

 「はい、偶然見つけたのです。お父様、そちらは?」

 「ん? ああ、マーシェル伯爵家の方々だよ。なんでも娘さんがいなくなったそうだ。」

 

 います。その娘ここに居ます。ああ、お母様の顔が見れない。淑女として行動しろって言われてたもんね! 淑女は普通メイド撒かないよね!

 

 「宰相殿。」

 「なんだい、レルム殿。」

 「…そちらのご子息が私の娘を連れてこられたようです、お騒がせ致しました。」

 お父様は私の方にやってくるとリトの手を解き宰相に向き合わせてくれる。予想外すぎる展開に棒立ちの私の手をジークがぎゅっと握ってくれる。さっきは少し冷たく感じた目も今は優しく心配気だ…無表情だけど。

 

 どうやらお父様が紹介してくれるらしいので、黙っておこう。この世界のマナーではまず家長同士が話をする。他の者は話を促されてようやく発言ができるのだ。

 「改めて、娘のサーレです」

 「ほう、まさかリトが連れてきたこの子だとは…はじめまして、サーレ嬢。私はジルベルト・メシェル・バサールハ…息子と仲良くしてくれてありがとう」

 

 柔らかく微笑むジルベルトさんにホッとする。良かった、この人勘がいいからなんか怪しまれやしないか心配だったんだよね。

 

 お父様が私に「サーレ、挨拶をしなさい」と発言の許可をくれたので少し足先をクロスさせるようにしてスカートの端を柔らかくつまんで淑女の礼をする。

 

 「はじめましてバサールハ様、リストマ様にはとても良くして頂いております」

 「さっき出会ったばっかだけどね」

 もう黙っててくれよそこのお前。

 じろりと冷たい目を向ければお母様に「サーレ」と名前を笑顔で呼ばれた。笑ってはいるけどあれ、怒ってる顔だ。

 どうやら、宰相の息子であるリトに冷たい目を向けたのが悪かったらしい。

 

 でも私の挨拶を台無しにしたのはこいつなのにと膨れそうになる自分の頬を抑える。落ち着け、リトの方が精神年齢は下なんだから大人の余裕を見せなきゃ。

 どうも体の方に精神が引っ張られているような気が最近するけど気のせいかな……。

 


 

 

 

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