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願うのは笑顔  作者:
第1章 第2節【瞳の価値】
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パーティー前のサブイベント


 ざわめくパーティホールの入口を横目に私は一人で柱の影に隠れていた。お父様たちが私を探している声が聞こえるけど、出るわけにはいかないので、ひたすらに影を薄くして隠れる。

 

 不意に目的の人物を視界が捉える。

 

 そうして私はやっと柱の影から飛び出すのだ。

 

 ───────

 ─── 一時間前

 

 ドレスに着替えた私をジークが嬉しそうにエスコートしてくれる。ジークの服装は黒いスーツで、幼いけどやっぱりかっこいい。

 

 お父様も嬉しそうに私に微笑んでくれて、揃って馬車に乗り込む。

 

 「おや、サーレ…緊張してるのかい?」

 

 お父様が珍しいものを見るような目を向けてくる、ちょっとイラッときたけど緊張しているのは確かだから目をそらすだけ。

 

 「レルム、サーレにとっては初舞台なんだから、緊張だってするわよ。」

 

 お母様がそう言ってくれるけど、私が緊張する理由は別にある。…宰相に私という存在を知ってもらわないといけないんだ。じゃなきゃ事件が起こった時私だけを他に知られぬように呼んでもらえない。

 

 

 知ってもらって、私がほかの人にバレたくないことを悟らせる。それが私に出来るかどうかなんて関係なく、事件は起こる。それがちょっとだけ怖いんだ。

 

 

 「サーレ、大丈夫か?」

 

 ジークが心配そうに私の顔をのぞきこむ。気遣ってくれることが嬉しくてぐっと吐きかけたため息を飲み込んだ。

 

 「大丈夫。お母様の仰る通り、初舞台で緊張しているだけよ」

 

 心臓が口から出そう。ドキドキと脈が速まり、熱でぼうっとする。それでも、それでも必要なことだから。

 

 「本当に?」

 「ええ、なんの問題もないわ」

 柔らかな笑みで返せば、ジークも少し緊張を和らげる。パーティは何ら問題は無い、問題なのはその前だ。

 

 

 宰相には一人息子がいる。

 

 若くして奥方に先立たれ、愛した妻の忘れ形見として、たった一人の息子として、彼は息子を溺愛していた。

 

 息子の名はリストマ・メシェル・バサールハ。攻略対象の一人である彼は、今回の事件前に実行犯の一人を見つけてしまう。彼は魔眼を有していて人の魔力をみることができる。

 

 『魔力は人の心の鏡』とこの世界では言われている。それは教科書にものる有名な一文だ。

 

 リストマ──リトはその魔眼を持ってその実行犯の一人を見つけてしまった、それを本人に知られその目を奪われる。

 

 美しい薄紫の瞳は剣によって傷つけられ、二度と見ることは出来ず、常に目元に黒の布を巻いた、紺の髪の青年。それがゲームでのリトだ。

 

 だが、リトがやられた時、父である宰相は魔法医師を探した。それも光属性を。

 魔眼は便利だが、その反面使い手が傷ついた場合治せるのは光魔法のみである。この世界は医術が発展せず魔法による治療が主になっている、それが災いし誰も彼を助けられず、失明に至った。

 

 

 ──だけど、もし

 

 

 もしも、私…サーレが彼を助けていたら? 光魔法を使えるものとして記憶される。

 

 もしも、報酬を受け取らず、あまり知られたくないと口にすれば?

 

 頭のいい宰相は他の誰かにバレることなく事件の時、私を呼んでくれるだろう。息子の恩人である人が望まないことは出来にくい、それが、彼の性格でもあるのだから。

 

 

 

 

 

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