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願うのは笑顔  作者:
第1章 第2節【瞳の価値】
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運命の日の朝と抜き打ちテスト


 

 大きな欠伸をして起き上がる。チュンチュンと外から鳥の鳴き声が聞こえる中、眠気が抜けなくてぼうっとする。

 


 控え目なノックと共に声がかけられた。あまり聞きなれない女の人の声。それはこの別邸に勤めるメイドだ。

 

 「お嬢様、起きておられますか?」

 「起きています。」

 「では、旦那様が簡単にお着替えしてご朝食を、との事です。」

 「では、その様に」

 「畏まりました」

 

 これから他の貴族と接する可能性もある。顔を覚えている人なら失礼な態度をせずに済むけど、生憎覚えていない。この世界に写真があるわけでもないから余計にだ。

 

 だから、今日から自分の発言は徹底的に気を遣うようにとお母様に注意された。家族だけの時はいつも通りでいいって言われていたし、特に反抗もせず頷いた。

 

 それを知っていてか慣れさせるためにお父様がわざわざ言伝までさせてきたのだろう。報告をさせて寝起きで口調が乱れなければよし、乱れていたならそれをお母様に伝えて修正させる。と言ったように。

 

 正直助かったと思う。本邸では私のお願いで着替えは自分でやるようにしていたし、今日からは着替えもメイドにやらせなければいけないんだ。

 

 ここで「一人で着替える」なんて言ったらまたお母様から雷を落とされたんだろうな、と私の服を選び始めたメイドを見ながら思う。

 

 

 元日本人な私に着替えを全てメイドにやらせるってのは抵抗ある。なぜならここでは…下着までメイドに着替えさせられるから。

 

 他人が胸に触るのって嫌だよね。まだぺっちゃんこなんだけど…男の人もそうなんだろうかとちょっと考えてから止めた。

 

 

 考えたらいけないと思うんだ、考えることを放棄してしまおう、そしたら楽だから。色々…。

 

 「パーティーの際にはコルセットをしますので、あまり食べ過ぎませんようお気をつけください。」

 

 メイドの忠告に有難く頷く。食べすぎたら吐くってことなんだね。ドレスの寸法の時、よく分かってなかったから朝ご飯を食べすぎて吐きかけた事が思い出される。

 

 色んな意味で苦い思い出だ。

 

 淡い青のワンピースはとても涼やかで朝の空気とよく合う。ふんわりとしていてボリューム感満載なスカートだけど、色が薄い為にあまり気にならない。シンプルだけど可愛らしいレースがとても素敵だ。

 

 …この服を作った人にもっと作ってもらえないかお父様に頼んでおこう。そんな考えのままに私は朝食を取るためにダイニングに向かう。

 

 「おはようございます、お父様。お母様。ジーク。」

 

 挨拶は偉い順にと教えられたので、当主であるお父様からはじめ、お母様、ジークで終わらせる。

 「おはよう、サーレ。」

 「さぁ、席に座って」

 

 お母様に促されて席に向かい、隣に既に座っていたジークを見て微笑む。慣れない真っ白な服をきたジークが居心地悪そうに視線を逸らした。メイドさん…グッチョブです!

 可愛らしい婚約者に朝の挨拶を済ませ、席にやっとつく。

 

 「頂こう」

 

 お父様のその言葉にやっと朝食をお腹に収めはじめた。

 

 

 

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