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願うのは笑顔  作者:
第1章 第1節【変わりゆくもの】
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運命の日の前日


 

 私は深く息をついて、“日本語”で神緑の巫女姫のオープニングを書き記す。 こんな殺伐としたオープニングとヒロインと最初の攻略対象の出会いがネットで有名になったのが私がこのゲームを知る理由になった。

 

 

 乙女ゲームでありながら、オープニングからヒロインの危機ってどういうこと? 王子に何があったの!?と、最初は唖然としたものだった。

 

 何度か周回してれば慣れたけどね。

 

 「…ジークがいてもこれは起こるよね、多分」

 

 この事件に勿論ジーク・フリートは関わっていない。九歳の子供にこんな芸当出来るはずもないんだ、そもそも。

 ジークは確かに闇魔法の適正があるけどこの規模の魔法を行使出来る程、魔力を九歳の時点では持っていない。

 

 魔王となった後なら可能だろうけど。

 

 「襲撃を回避してもなぁ、恩は売れないし。そもそも子供の私があの人危ないから入れないでって言ったところで、構ってちゃんかな?で終わるよね、絶対。」

 

 とりあえず頷いて流されるに決まってるよ。無意識に溜息をこぼして久々に見る日本語を指で撫でる。

 

 「というか、なぜヒロインが光魔法を使ったとバレたのかゲームの中では明かされなかったからなぁ。」

 

 光の魔法がバレるのは確実だろう。

 出来るだけ目立たないようにそれとなく事件前から魔法を使ってみせる? どうやってだ。

 

 まずい頭がこんがらがってきた。

 

 「…ん?」

 

 待って、私達を呼びに来るのって宰相の、バサールハ公爵だよね。確かあの人は───。

 

 そこで一つの案が浮かんでにやりと笑う。子供らしくない笑みだろうがなんだろうが。今は自室に一人だ。ゲーム通りに彼が動くのなら私が光魔法を使えることを伝えられるし顔も覚えてもらえるだろう。

 

 それを利用して──なんとかできた筋書きにほっと息をつく。

 

 でも、これも穴だらけな訳で宰相が記憶通りの行動に付かなきゃ全てが狂う。それも踏まえとかないと本番にミスるだろう。

 

 ジークは王族とは会わせられないからお父様とお母様に任せて…お父様とお母様にはパーティー会場で待っててもらおう。やっぱり子供らしくない行動だって言われるかもだけど、それが一番他の貴族に気付かれ難いだろうし。

 

 遅かれ早かれバレるのも事実だけど

 出来るだけ周りに注目されるのは避けたい。それだけ私が巫女姫だと知られるのが早くなるかもしれないから。

 

 

 「ちゃんと、動いてね…宰相」

 

 じゃなきゃ、恨むからね。

 

 そんな物騒な事を考えて私は書いた紙を蝋燭の炎で燃やし、眠りについて───運命の日がやってくる。

 

 

 



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