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願うのは笑顔  作者:
第1章 第1節【変わりゆくもの】
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華やかな場に落ちる闇


 

 煌びやかなパーティー会場。沢山の人々が楽しげに談笑している。中には子供達を会わせ婚約の話をし出す大人もいた。

 

 その中に一人でジュースを飲んでいる女児がいた。年齢は恐らく八歳。スラリと伸びた脚と丸みがあり可愛らしい顔。美しい銀の髪に、神秘的な緑の目をもつ彼女は楽しそうに話している人を見ていた。

 

 「…つまらないなぁ」

 

 ぽそりと言い放ったその言葉は誰にも拾われることはない。ちらりと少し離れた場所を見れば彼女の父親と母親が他の大人と話している。

 

 彼女だけが一人だ。

 この人が多い場所で。

 

 「一人でどうしたの」

 

 そんな彼女に声をかけたのは同じ年頃の男児。金髪に青い目で、幼いながらも整った顔立ちをしている彼を見て彼女は首を傾げる。

 

 「お父様とお母様はあっちにいるの」

 「君は行かないの?」

 「つまんない、お父様構ってくれないし…」

 

 不貞腐れるような彼女に彼は目を見開いて楽しげに微笑む。凡そ子供らしからぬその笑みに益々彼女は首を傾げた。

 

 「そもそも、あなただれ?」

 「僕? 僕は───」

 

 「陛下が参られます」

 

 小さな二人の話を遮るのは、国王陛下がこの場に姿を現すという合図の声。全員がその場に膝をつき頭を深く下げる。

 

 二人も同じようにその場に膝をつき深く頭を下げた。

 

 カツン─カツン─とヒールの音に、コツ─コツ─という靴の音、それからその後に続く小さな足音が二つ。

 

 「皆、よく集まった」

 

 陛下の落ち着いた声が静まり返ったパーティー会場に響く。誰も、答えない。静かなその空間。

 

 「頭をあげ、楽にして()い」

 

 陛下のその言葉にやっと頭をあげることが許される。会場を見下ろせる場所に置いてある造りが良い大きな王座が二つ。それぞれ陛下と王妃が座っていた。

 

 そしてその二つの席の斜め後ろに男児と女児が立っている。陛下の斜め後ろにいるのが男児で、美しい銀に近い金の髪に深緑の目をもつ陛下に良く似た顔つきをしていた。

 

 王妃の斜め後ろに立っている女児は緩く波打つ蜂蜜色の腰まである髪に、深い青の瞳をもつ彼女の顔つきは可愛らしく。ありありと緊張が伝わってくる。そしてその更に後ろに側室達が控えていた。

 

 

  それぞれ二人の顔を覚えたであろう貴族達に対し陛下は目を細めた。そして誰かを探すように目を動かし──先ほど陛下が参った際話し始めた二人の子供に目を向けた。

 

 「レヴェル、来なさい」

 

 そして、その言葉は小さな彼女のそばに居た小さな彼の事だと誰もが分かる。わざわざ陛下がお呼びになる存在、即ち今日の主役の第二王子レヴェル。それが彼のことだと誰もが理解した。

 

 彼が緊張した面持ちで陛下の元へ歩き出した時。

 

 パリン─っと何かの割れる音と共に光が天井から降り注ぐ。慌てた陛下直属の近衛騎士達が動き陛下の元へ向かう最中、辺りに闇が落ちる。

 

 

 時刻は午後一時頃だと誰もが知っており、暗くなる時間ではないことも気づく。たくさんの悲鳴とともに闇に恐怖する人々。

 

 そんな中に響くのは

 「っあああ!」

 

 子供の苦痛な叫び声。

 真っ暗な闇の中で聞こえるそれに誰もが恐怖した。

 

 

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