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願うのは笑顔  作者:
第1章 第1節【変わりゆくもの】
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馬に乗って


 ジークと一緒にお父様の所へ行けば()き火のそばに座って丁度スープを口にしているところだった。それを見て先程のコップを置いてきてしまったと思い出して少し申し訳ない気持ちになる。でもさっきの場所に戻る気はわかないから、その事を口に出さず飲み込んだ。


 「お嬢様どうぞ」

 にこやかなアルからスープを二人してありがたく受け取り、スープを堪能するためにお父様の向かいに腰掛ける。野菜が程よく入っていて大きめのお肉が出汁をだしてるみたいだ。お肉自体も食べたことのない柔らかさが有ってとっても美味しい。

 

 「ん、美味しい。このお肉何?」

 

 鍋を混ぜているアルに聞いたんだけど答えたのは隣で一緒にスープを食べてるジークだった。すこし弾んだ声で「俺が弓で狩ってきた兎だ」と答えてくれて思わずジークを見る。

 

 そしたらジークもこっちを見てたらしくて、視線がかち合い…誇らしげなジークが私の器にお肉を入れた。

 

 いや、欲しいんじゃなくて。

 

 「弓も使えたの? ジークって」

 「親父が覚えておいて損は無いっていってた」

 

 確かに損は無いけどさ、知らなかったよ私。思わずスープのお肉をまじまじと見る。兎なのか…これ。美味しいけども。

 

 「帰ったら私も教えてもらおうかな」

 「サーレはまだ筋力足らないから無理だとおもう」

 「うー、確かに」

 

 幾ら前世よりも筋肉の発達がいいって言ってもこの世界ではまだまだで、この世界基準の弓は引けないだろう。

 そこでお父様が、私たちの顔を見比べる。


 「それで、サーレとジークはどうしたんだい? ターニャは?」

 「キャロリアンナ様が転移魔法の実験でここまで来ちゃって、お母様はキャロリアンナ様といる。」

 「キャロリアンナ様が? ふむ、馬車で送ることになりそうだが…」

 

 ジークの事を化物というキャロリアンナと一緒の馬車は私はちょっと嫌だ。息苦しいし、それにまだ怒っているものは怒っているのだから。

 

 「ジークの事をよく思ってないから、私はジークと一緒に馬に乗って王都に行きたいの」

 「馬で…?」

 「馬車の護衛はレックにしてレックの乗っていた馬にアルとジークと私が乗ればいいと思うの。駄目? お父様」

 「ふむ…私は構わないが、馬の上は疲れるぞ?」

 

 でもあの馬車に乗るのは嫌だし…ジークと一緒なら別に問題はないと思う。ただ身体強化の魔法は使っておかないとパーティの時動けなくなりそうだから気をつけておこう。

 

 「大丈夫、身体強化使うから」

 「魔力は問題ないのかい? 長距離だが」

 「うん、休み休み使うから多分平気。どうしても駄目だったら馬車に戻るよ」

 

 話をつけおえてほっと息をつく。スープを今は堪能しておこう。

 

 それにしても…。

 

 

 キャロリアンナであれなら、王都は本当に面倒なことになりそうだな。ジークのそばを離れないようにしておこう。

 

 「サーレ大丈夫か、本当に」

 「大丈夫だよ、ジーク。それにあの馬車の中よりはいいから」

 「…ごめん。」

 「ジークが謝ることじゃないよ、私が嫌なだけだから。それにジークと居たいからね。」

 

 そう言えばジークは嬉しそうに目を細める。本当に気遣いできていい子なのに、忌み子って言われる目をしてるだけで初対面に罵られるなんて許せない。絶対にどうにかしてあげなきゃ…そのためにもまずは王様に恩をうるんだ。

 

 

 後もう少しで王都につく、それは同時にあの攻略対象達との出会いイベントが始まることでもある。失敗は許されない最初のイベントがもう、眼前に迫っていたのを私だけが知っていた。



 

 

 

 

 

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