優しすぎる君を《ジークside》
サーレはいつだって優しくて、いつだって俺の欲しい言葉をくれる。陽の光を受けて煌めく銀の髪に緑の目。優しげに目を細めて俺が“堕ちそうになる”時、迷わずにすくい上げてくれる。
キャロリアンナという泣き続ける女に親父からスープを受け取って気を使って差し出す。
サーレや、その周りの人は優しいし、本当にどうしようもない時はそばにいれば守ってくれる。だから、忘れていた。他人が俺をどう思うのか、近づけばどうするのか。
気がついたら化物と罵られ、手には親父が楽しそうに作っていたスープがかかっていた。
…熱い。
出来立てだったことが災いして手がどんどん熱を持っていくのがわかった。サーレにかかってないか心配になり慌ててみればサーレも俺を心配してみてくる。
ジクジクと胸が痛くなる、手が熱い。胸も熱い、そして脳が焼ききれるんじゃないかと言うほど熱い。
俺を心配そうに見るサーレを見て気持ち悪そうな顔をする女にどくりと心臓が嫌な音で脈打つ。
じっと女を見ていたのを止めたのはサーレの手だった。
「ジーク、よく、目を見せて。」
「…ん」
小さな手が俺の頭ごとサーレに向けるから、もう女は視界に入らない。心配で仕方ない愛しくて仕方ないとばかりに俺を見てくるサーレに熱すぎるのが冷えていく。代わりに浮かぶのは“喜び”という、程よい熱。
「大丈夫よ。ジークは化物なんかじゃないわ、私の素敵な婚約者よ」
「ん。」
いつもサーレは俺が化物と言われる度に否定して素敵だと褒めてくれる。それが嬉しくて、悲しい。
ねぇ、サーレ。
俺はいつまでも守られるままでいる気は無いんだ。必死に俺を守ろうとしてくれるのはとても可愛くて愛しいと感じる。でも、同時にそれじゃ駄目だと思うんだ。
今じゃ、無理だけど。君が本当にどうしようもない時、俺が君を守るから。絶対に。だから、今だけ甘えさせて。
いつかこれから会う王子に君が惹かれて俺を置いていっても、俺は君を守り続けると誓うから。
女から俺を守ろうとするサーレを目で追う。俺が口を挟んでもいい方にはならないのを知っているから。とりあえず黙ってサーレを見続けた。
まだ、俺には足りない。
君を守りきれるものが、確証が、無い。だから、待ってて。サーレ。
俺の手を引いて行く彼女にに心の中でだけ、本心を告げる。
君が俺を嫌っても、俺は君をずっと愛するから。
優しすぎるサーレ、俺のために傷つかないで。
いつか、誰よりも強くなってみせるから。
そんな思いを込めてサーレの手をぎゅっと握った。




