表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
願うのは笑顔  作者:
第1章 第1節【変わりゆくもの】
23/143

優しすぎる君を《ジークside》


 

 サーレはいつだって優しくて、いつだって俺の欲しい言葉をくれる。陽の光を受けて煌めく銀の髪に緑の目。優しげに目を細めて俺が“堕ちそうになる”時、迷わずにすくい上げてくれる。

 

 キャロリアンナという泣き続ける女に親父からスープを受け取って気を使って差し出す。

 

 サーレや、その周りの人は優しいし、本当にどうしようもない時はそばにいれば守ってくれる。だから、忘れていた。他人(ひと)が俺をどう思うのか、近づけばどうするのか。

 

 気がついたら化物と罵られ、手には親父が楽しそうに作っていたスープがかかっていた。

 

 

 …熱い。

 

 出来立てだったことが災いして手がどんどん熱を持っていくのがわかった。サーレにかかってないか心配になり慌ててみればサーレも俺を心配してみてくる。

 

 ジクジクと胸が痛くなる、手が熱い。胸も熱い、そして脳が焼ききれるんじゃないかと言うほど熱い。

 俺を心配そうに見るサーレを見て気持ち悪そうな顔をする()にどくりと心臓が嫌な音で脈打つ。

 じっと女を見ていたのを止めたのはサーレの手だった。

 

 「ジーク、よく、目を見せて。」

 「…ん」

 

 小さな手が俺の頭ごとサーレに向けるから、もう女は視界に入らない。心配で仕方ない愛しくて仕方ないとばかりに俺を見てくるサーレに熱すぎるのが冷えていく。代わりに浮かぶのは“喜び”という、程よい熱。

 

 「大丈夫よ。ジークは化物なんかじゃないわ、私の素敵な婚約者よ」

 「ん。」

 

 いつもサーレは俺が化物と言われる度に否定して素敵だと褒めてくれる。それが嬉しくて、悲しい。

 

 

 ねぇ、サーレ。

 

 俺はいつまでも守られるままでいる気は無いんだ。必死に俺を守ろうとしてくれるのはとても可愛くて愛しいと感じる。でも、同時にそれじゃ駄目だと思うんだ。


 今じゃ、無理だけど。君が本当にどうしようもない時、俺が君を守るから。絶対に。だから、今だけ甘えさせて。

 

 

 いつかこれから会う王子に君が惹かれて俺を置いていっても、俺は君を守り続けると誓うから。

 

 

 女から俺を守ろうとするサーレを目で追う。俺が口を挟んでもいい方にはならないのを知っているから。とりあえず黙ってサーレを見続けた。

 

 まだ、俺には足りない。

 

 君を守りきれるものが、確証が、無い。だから、待ってて。サーレ。

 

 俺の手を引いて行く彼女にに心の中でだけ、本心を告げる。

 

 

 

 

 

 

 君が俺を嫌っても、俺は君をずっと愛するから。

 

 

 優しすぎるサーレ、俺のために傷つかないで。

 

 

 いつか、誰よりも強くなってみせるから。

 

 そんな思いを込めてサーレの手をぎゅっと握った。

 

 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ