平原で休憩と目隠し
きた、やっと来た。
「サーレやけに嬉しそうだなぁ」
「本当にレルムは鈍感ですこと、まあそこも好きですけどね」
そんな声をかけてくるお父様の腕に呆れたように微笑みつつもしっかりと腕を組んだお母様に見守られ、私、サーレは平原に降り立つ!
山道ってほんと嫌だ。馬車だと特に嫌。登り、降りるだけでお尻がヒリヒリして仕方なかった。きっと椅子に徹してくれていたジークはもっと痛かったろう。
本気で労おうとジークを見ればジークは私をみて微笑ましそうに目を細めていた。ジークは表情に出にくいけど、こう、目でわかるから。なんか遅れてきた照れが出て頬が熱くなる。
「あーやっと休憩だぁ」
後ろで野盗の男達がぐでんぐでんに倒れ込み始める。アルに潰された為にボロボロの人たちなんて感極まって泣き出していて目を思わず逸らした。
むさ苦しい上になんかこう、胸に来るものがあるよね、多分哀れみだろうけど。
「俺はレックと火を用意しますね、温かいスープ作ります」
にこやかなアルが楽しげに鼻歌を歌いながらレックの元へと向かう。…ストレス発散が出来たからって元気になりすぎでしょう。
普通疲れるはずなのに戦い終わったあとの方が元気ってどうなの、人として。
薄目でアルを見送りつつ木の下で腰掛けているジークの隣に腰を下ろす。旅用の服なので、汚れても問題なし。ドレスなんて着てたら非常事態の時逃げられないから今はワンピースを着ている。
「ジークはダンス覚えられた?」
「うん、まあ、大体は」
「ほんと? 足踏んだらごめんね」
「大丈夫だと思う、サーレは運動神経がいいから」
運動神経の問題なんだろうか? 運動神経良くても昔っから音楽関係はダメダメだったんだよなぁ。前世のダンスは赤点ギリギリだった。
「それに…」
「ん?」
「サーレがミスしても、俺が誤魔化すように動くから、気にせず踊ればいい」
頬を赤らめるジークの言葉に感動を覚える。何この可愛い子、最高すぎじゃない? ああ、抱きしめたい、抱きしめて頭撫でたい、ほんとに。
だけど、もう八歳だ。この世界では淑女扱い。立派な女性扱いがされるようになる。異性の頭をわしゃわしゃ撫でるなんて絶対お母様から雷が落ちる。
妻たるもの夫を立てるべし!ってのがお母様が私に対していつも言っている。それなのに未来の夫の頭を人前で撫で回すなんてことしたら…「舐められる原因を作るのはやめなさい!」って怒られる気しかしない。
妄想が空回ってる中頭にチリッと焼ける痛みが過ぎる。迷わず索敵魔法を展開すれば私達のいる木の上に何かの反応があり上を見てみる。
ジークもつられる様に上を見るのを私が手で塞ぐことで拒否る。
「サーレ?」
目隠しされたままのジークに立ってと指示を出し後ろへ後ろへと下がらせて木から遠ざける。
「ジークお母様呼んできてくれる?」
「…何故?」
「あの木の上に可愛らしいお姫様がいるから…」
ため息をぐっと堪えて言えばきょとんとした顔で頷いてからお母様の方へ歩いてくジークを見送り木の元へ戻り再び上を見上げる。
「…何をしておられるのですか?」
女性としてどうしてそんなことになったのと突っ込みたくなるほど木の枝の上でぷるぷると震える下着を丸見えにさせた少女───キャロリアンナを見上げそう声をかけた。




