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願うのは笑顔  作者:
第1章 第1節【変わりゆくもの】
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複雑なお尻心地


 

 街では安全の為に馬車から下ろしてもらえずお母様とお父様がドレスの入った箱を取りにいってくれた。

 

 開けるのはパーティの支度の時にしなさいとそわそわしてたらお母様に怒られた。…中身の年齢を上乗せしたら余裕で年下になるお母様に大人しくしてなさいと怒られるのはちょっと本気で落ち込む。

 

 しょぼくれてればお父様が微笑みながら頭を撫でてくれてジークも「期待してろ」と言ってくれる。

 

 そう、明日着るパーティドレスを選んだのはお父様とジークなんだよね。どんな色かもどんな形かも聞かされてないから中身がとても気になる。

 

 でも我慢だ。暫く馬車に乗り続けるみたいだし体力を無駄にすると後で痛い目を見そうだしね。

 

 「そういえばお父様」

 「ん?なんだい?」

 「アルって明日のパーティ出席するんですか?」


 アルはジークの養父だから、出てもおかしくないよね。むしろ出た方が自然だと思うんだけど。

 

 少し間を置いてお父様はお母様と顔を合わせてそろって苦笑いを向けてくる。…笑って誤魔化そうって魂胆ですね。余計気になるよ、それ。

 

 名探偵よろしく頭を悩ましてればそれの答えは意外なところから出てきた。

 

 「俺は出ませんよ」

 「ふぇ!?」

 「アル…いきなり小窓を開けるな、一言言ってからにしなさい」

 「すいませんレルム様」

 

 御者台の方の小窓が開けられてにこやかなアルの顔がこちらを覗く。怖い、というか聞いてたのあなた。色々突っ込みたいところあるけどどうやらアルが出ないのは事実みたい。お父様もお母様も訂正しないから。

 

 「んー…」

 

 なんで出ないんだろうか?

 見目はいいから、パートナーだって探せばすぐ見つかるだろうに。首をひたすら傾げてればジークが「首に負担かけすぎると痛くなるぞ」とご忠告。

 

 そうですね…いや、そうじゃなくて。

 

 まあ、出ないなら出ないで仕方ないね。理由は後で聞けばいいかな。にしても…

 

 「お尻痛い…」

 

 サスペンションが付いていない馬車はクッションが付けられてるにも関わらず振動でお尻が痛む。ヒリヒリするよ。

 そもそもサスペンションって言葉ないだろうけども…。

 

 「慣れなさい、サーレも今後長い間馬車に乗ることになるんだから。みんな通る道よ」

 

 困り顔のお母様がやんわりと突き放してくる。…うう、正論なだけに辛い。

 この状態であと十時間は乗り続けるのかぁ…野盗とかそういうのより馬車の方がずっと怖いよ…。

 

 

 

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