不安に揺れる眼差し
「どうした、サーレ」
丁度アルと私の元へ向かってきたジークに招待カードを見せる。ジークは頭がやっぱりいいみたいで一年で文字を全て覚えたとアルが教えてくれたから、ちゃんと読むことも出来る。
「…王家主催パーティー」
「うん、ジークも行くことになると思うのよ。私のパートナーとして」
困惑気味なジークの手をとって赤い目を見上げる。不安そうに揺れる目が私を見つめる。
「いや?」
「……」
「私のパートナーなのが嫌?」
「違う」
「じゃあ、何が嫌なの?」
ぐっと口を噤むジークをじっと見上げる。ジークがヒロインである私と既に接触して婚約している時点で既に物語の筋書きは変わっている。
小さな変化にも気づく必要がある。
もちろん王族とかになりたい訳じゃないし、私の目的はジークを幸せにすることだ。ジークが何が嫌なのか聞く必要がある。唯でさえジークは喋ることを躊躇するくせがあるから。
「…王子も、いるんだろ」
「うん、第二王子の誕生日のお披露目だから、いる」
「サーレは…」
「うん?」
不安そうな目が私をじっと見つめて、諦めたように目が伏せられる。ジークからカードを取り上げてマークに持たせジークの頬を手で挟む。
椅子に座っている私と立ったままのジークの頭の位置はそう離れていないので、特に苦もなかった。
「サーレ?」
「ジーク、何が嫌」
「それ、は」
「答えて」
逃げ道を与えなければ無表情だった顔が少し歪む。辛そうに苦しそうに歪んで、目をそらす。
目を逸らされたのは初めてだったし、割とショックだ。でもそれよりもジークの話を聞かねば。
「俺は、目が赤い…から」
「うん?」
「…悪魔の目で…貴族って言っても養子だし…」
「…」
「王子って、やっぱりかっこいい…んだろうし。サーレ…俺の事どうでもよくなるんじゃないかって」
おおう? この展開は予想外だ。出るのが嫌って言うよりも参加した時に私を王子に取られるのが嫌って訳だね。
ほかの貴族の目に晒されて、罵られることが怖いってわけじゃなくて。
うーん、喜べばいいのか。私のことを馬鹿にしてるのかと怒ればいいのか。
「ジークは、私より可愛い子がいたらその子をとるの?」
「え?」
「ジークの目を受け入れて、ジークのことを好きになってくれるような私よりも綺麗な子や可愛い子がいたら、私を捨てるの?」
「捨てるわけないだろ!」
珍しく怒鳴るジークに目を見開く。今まで聞いた中で一番大きな声だ。
ちょっと満足しながらジークの頭をニコニコしながら撫でる。可愛すぎるでしょう、私の婚約者。




