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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第4章 国立神対策高等学校
97/167

分断

「よし、行こう!」


 俺たち四人は、空に展開された魔法陣から降り立った者達を倒す為に走る。


「神崎さん、どうやらあのビルの奥の方にいるようです。」


 ミツレが指差す一際大きな構想ビルの向こう側に、火の手が上がっている。どうやら、もう受験は始まっているようだ。


「そのようだな。急ごう!」


 急がないと、この受験に落ちてしまう。ここまで来てそんな事は許されないぞ。


「……………っ!? 神崎悠真、ミツレ! 避けて!!」


「二人とも! 上見てっ!! 早く!」


 俺とミツレが走り出した瞬間、後ろを走っていた流風と氷華が叫ぶ。


「は? 何言って…………… は、はあ!?」


 俺とミツレの周りだけ何故か暗くなる。何かが俺たちの上空に覆い被さるようにして影ができていたのだ。


「神崎さん! こっちです!」


 その正体は、先程まで目印にしていた高層ビルだった。高層ビルは、まるで何かから押し倒されたかのように真横に倒壊する。

 俺とミツレは何とか避けて、最悪の事態は回避する。だが、氷華と流風の二人が心配だ!


「氷華! 流風! 無事か!? 返事してくれ!」


「二人とも、大丈夫ですか!?」


 倒壊した高層ビルは、俺たち四人がいた交差点を横断するかのように倒れたので、向かい側にいた二人の安否が分からない。


「私たちは無事だよ! でも、瓦礫のせいで向こう側に行くのは時間ロスになりそう………………」


「氷華! 良かった無事だったか。流風は大丈夫か?」


 どうやら高層ビルの向かい側にいる氷華は無事だったようだ。声もいつも通りの明るい感じだ。


「流風も無事。それはそうと、ここは二手に分かれるのが得策ね。」


 二手に分かれる!? だがまとまって行動した方が良いんじゃ……………


「流風の考えに私も賛成です。今ここでこうしている間にもポイントは取られ続けています。」


 ミツレの言い分はもっともだ。今は仲良しこよししている場合ではない!


「そうしよう! 二人とも! 落ちんじゃないぞ!」


「それはこっちのセリフだ神崎悠真。せいぜい脱落なんて無様な真似は晒さないことね。」


「二人とも頑張ってね! 私も頑張るから!」


 タッタッタという軽快な足音が少しづつ小さくなる。どうやら、二人とも走れるようなので怪我も無かったようだ。


「よし! 俺らも行こうぜ! ミツレ…………?」


 ミツレは、訝しげに倒壊した高層ビルの側面を見ている。


「神崎さん、コレ見てください。」


「ん? 何かあったのか? 何だこりゃ?」


 ミツレが指差した方向にあったのは、大きな手形。それもその手形は横幅が3メートルはある。


「うっすらと魔力が残っているのですが、これは明らかに私たちと()()()()()()()()です。」


 ん? それはどう言うことだ? つまり、何者かが俺たちを脱落させる為にわざとビルを()()()()()と言うことなのか?

 一人でも受験者を少なくするためか? いや、だがそんなめんどくさい真似をするのならば真面目にポイントを稼いだ方が確実だ。一体何のために…………………


「誰かが俺たちを脱落させようとしたって言いたいのか?」


「ええ、それしか考えられません。それに…………………」


 ミツレは、歯軋りをして手形を睨みつける。


「どうしたんだ?」


「いえ、とても嫌な感じの魔力なんですよ。


 嫌な感じとはどう言う事だろうか。魔力感知が未だに苦手でできない俺には全く分からない。


「しかもこんな事は言いたく無いのですが、かなり魔力量に恵まれた契約者のようですね。」


「まじかよ、変な奴に目をつけられたってことか。」


 ミツレが、かなりの魔力量と言うのであれば、それなりに強い奴が仕掛けたんだろう。穏便に試験が進めば良いのだがな。


「はっ! すいません、話が長くなりました。早く行きましょう!」


「そうだな! 急がないと!」


 高層ビルが倒れたおかげで、前方の視界が少しだけスッキリとした。砂煙が立ち込めんでいる方に俺たちは走り抜ける。


「それにしても、いつのまにか契約起動してたな。この仮想街とか言うとこに転送された時には、もう霊具を身につけていたぞ。」


「凄い技術です。突然のことで慌ててましたが、今思えば契約起動を勝手にされていましたね。」


 そう、突然のことで慌てていたが、今ふと自分の姿を見ると契約起動後の姿になっている。ミツレは巫女姿で、俺は新撰組みたいな羽織と黒い着物だ。


「それはそうと見えてきましたよ。だいぶ乱戦のようですね。」


 ビルの林を抜けた俺たちは、広場のような場所に出てきた。そこでは、10数名の受験生たちが各自でリザードやフラッグといったソウルハンターと戦っているのが見える。


「あぁ、そうみたいだ。一気に倒してポイント稼ごうぜ!」


 戦ってはいるみたいだが、実戦には慣れてなさそうだ。少し前の俺みたいに弱気な姿勢になっている。


「神崎さん! 前見てください!」


 一体のリザードがフラフラとおぼつかない足取りで俺に向かって来る。


「なんだ!? このウスノロが!」


 腰から刀を抜き、リザードの首を断ち切ろうとした時、


「待って、それはミコの獲物。横取りはダメ…………」


どこかで聞いたことのある気怠げな声が聞こえる。

 そして、その声が聞こえたと同時にリザードの首は胴体と別れを告げる。だが、切れたと言うよりは首が溶けたかのように見えた。


「お前は………………!」


 科学者が着るような真っ白のラボコートに身を包み、それに映えるかのように刀身がピンクをした日本刀を携えた少女がいた。

 少女の紫の髪は、以前見た時とは比べ物にならないぐらい艶々になっており、ロングツインテールにしていた。


「めちゃくちゃ姿変わってるけど神々廻 光理! お前も受験生だったのか!」


 鮮やかなピンクの刀身を鞘に戻して、神々廻は俺をジーッと見る。


「え、誰だっけ?」


「お、おいいいいいい!?」


 神々廻は、輝きのない瞳で俺を見つめて、少し申し訳なさそうに首を傾げる。

後期も遠隔授業になり非常にピエンな作者です。

新しいバイトも決まって、これからは少しづつ忙しくなって更新度がただでさえ低いのに、もっと低くなりそうです。

凄いどうでも良いんですけど、彼女に振られて萎えてるので、誰か慰めて笑

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