神吸 影時
「ああ、そうだ。悠真、こっちに来い。」
「わ、分かりました……………」
白髪の男とは目を合わさないように、坂田の方を見ながら隣の椅子に座る。
「やぁ、はじめまして。ボクの名前は神吸 影時。一応、君のセンパイってやつダ。」
男は、ニコッと笑うと俺の方を見る。近くで見れば見るほど、神吸の髪と肌は真っ白だという事が分かった。
「俺の名前は神崎悠真です。よろしくお願いします。神吸さん。」
「うん、よろしくネ。それにしても、神崎クンはボクの姿を見ても変な目をしないんだネ。久しぶりに仲良くなれそうな人がら来てくれて嬉しいヨ。」
変な目? どういう事だ? ていうか、俺は神吸の事を少しだけ恐ろしい物を見るような目で見てたと思ったんだがな……………
「ボクはね、アルビノってやつなんだヨ。ほら、キミと比べたら肌の色も髪の毛の色も、そして目の色も全然違うダロ? 」
そうか、神吸は先天性色素欠乏症、通称アルビノで生まれてきた人なんだ。
最初は、妖獣かと思っていて、特に何も触れなかったが、アルビノという単語を聞いて、神吸が人間だという事が分かった。変な目とはそういうことか………………………
「肌の色なんて関係ない。卵だって外見は色が違う種類もあるが、中身を見たら全部同じだ。卵と同じように、人間は中身で決まる。」
坂田は、ハンバーガーが入ったハンバーガーをドンっと机に置く。
「坂田サンらしい事言うネ。ア! それ、ボスバーガーだよネ!? 」
神吸は、目をキラキラと輝かせ、ガラスに両手を付ける。どうやら、大好物のようだ。
「ああ、前回お前から頼まれたからな。ほら、冷めないうちに食べろ。」
「やったぁ! ありがとう! 坂田サン!」
人の片手が、入るか入らないかぐらいの唯一、神吸と外の空間が繋がっている隙間に坂田は、一つずつハンバーガーを押し込む。
「久しぶりに食べるナァ! ここのメシはクソまずいからネ〜」
狭い隙間を通り抜けたハンバーガーはペタンコになっており不格好だが、神吸は目を輝かせながらハンバーガーにかぶりつく。
「うま〜い! やっぱり、ハンバーガーは最高だヨ〜!!」
「そうか、それは良かった。カゲ、今回はお前にハンバーガーをあげに来ただけではない。」
ハンバーガーを凄い勢いで食い進み、一瞬にして残り一個になり、それに手を出そうとした神吸の手を坂田が止める。
「ん〜? まさか、ルシ姉とよりを戻したノ!?」
ルシ姉!? 名前からして、ルシファーこと、瑠紫さんのことだよな………………
いや、それよりもよりを戻したってどう言うことだ!? なんか、まるで坂田さんと瑠璃さんが昔付き合ってたみたいな言い方だったぞ?
「そんなわけないだろう。実は、ついに全ての七聖剣が揃ったんだ。悠真が最後の七聖剣を引き当てた。」
「え!? てことは、七聖剣が全て揃ったってコト? 」
バンっと机を叩き、神吸は立ち上がる。坂田は、コクリとうなずき、
「ああ、全ての七聖剣が同じ時代に揃った。悠真と同じ七聖剣保持者のお前には言っておかなくてはと思ってな。」
今、たしかに七聖剣保持者って言ったよな!?
つまり、神吸があの時会議に出席してなかった空席の正体だったわけか。刑務所にいるのだったら、そりゃ出席できないわけだ。
「神崎クン、ボクはキミの事が気に入ったヨ。これからも、ここに来て良いからネ。」
「は、はぁ………………」
何故、気に入られたのかはよく分からないが、神吸はニコニコと笑っている。だが、この笑顔はどことなく不気味で本当の笑顔とは言えそうもない。
「それはそうと、坂田サン、あの子達のお墓参りには行ってル? 」
「もちろんだ、今朝も挨拶をしてきた。」
あの子達? 神吸が言うあの子達とは誰のことだ?
「あの四人もボクがここにいなかったら絶対に守れたのになァ……………」
「………………………そうかもな。」
あの四人、やっぱり間違いない! カグツチに殺された先輩達の事だ。神吸はあの四人と面識があったのか。
「全部、四項家の…………………………! おっと、暗い話はせっかく来てくれたのに神崎クンに申し訳ないヤ。そろそろ、面会時間も終わりそうだからまたネ。」
一瞬だが、誰かに向けての明確な殺意を感じた。その殺意は深海よりも深い静かな憎しみだ。
「そうだな、そろそろ面会時間だな。行くぞ、悠真。」
「は、はい!」
「またネ、神崎クン。」
坂田が椅子から立ち上がり、部屋を後にしようとしたので、俺も椅子から立つ。そして、神吸に一礼をして部屋を後にする。
「坂田さん、神吸さんも七聖剣保持者って本当ですか?」
他にも色々聞きたい事がある。神吸がどうして四項家の腕を斬って刑務所に入れられたのか、坂田と瑠紫の昔の関係など聞きたい事が山盛りだが、今はまだ知らないでおこう。
「本当だ、カゲは七聖剣保持者の一人だ。そして、俺たち千葉神対策局の一員でもある。」
坂田はそれしか言わなかった。まるで、神吸の事を俺に知って欲しくないのか、それ以外は何も言わなかった。
今思えば、エレベーターの中で所長が神吸の事を言って坂田の機嫌が悪くなったのは、俺に神吸の事を知って欲しくなかったからなのだろうか。
だが、知って欲しくないなら、わざわざ会わせなくても良かったのではないのだろうか?
そのあとは特に何も喋ることはなく、極獄刑務所を後にした。そして、行きがけと同じように、俺の三の力で東京から千葉に辿り着いた。
いつもの千葉県の港に着き、坂田の車に乗り込み千葉神対策局を目指す。
しばらく車を走らせ、千葉神対策局についた。扉を開けると、軽快なタッタッタという何者かが走る音が聞こえる。
「坂田さん、神崎さん! おかえりなさい! さぁ、神崎さん! 勉強の続きですよ!」
ミツレは、俺の右手を掴み、朝勉強していた場に俺を連れて行く。
「ちょっ!? 掴むなって!?」
チラリと、坂田の方を振り向くと坂田は静かに微笑んでいた。
その微笑みはほんの少しだけ悲しく見えたのは勘違いではないと分かるのはまだ先の話だ。
ここ最近はモチベーションがモリモリ湧いているので連日投稿です!
下手くそですのでアドバイスお願いします!




