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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第1章 悲劇の始まりと終わり
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契約

 さっきまで真っ暗だった空は、オシリスが消えてから明るくなっていた。

「大丈夫ですか!?」


 銀髪の少女が駆けつけていた。


「あ、ああ、ありがとう………………」


 少女はホッとしたのか胸をなでおろす。


「そうですか、 よかったです。」


 そういえば、周りには人っ子一人居なかった。この地区に住んでいる人達はどこに行ったのだ?


「おい……………… 他の人たちは大丈夫なのか? あんなバケモノ達が居たんだ。他の人たちは無事なのか?」


 少女は、言いづらいのか顔を俯かせる。


「……………かなり攫われました。九州地方の3分の2は攫われたでしょう」


 どう言うことだ!? 神が来たのは俺が住む福岡だけじゃないのかよ!


「お、おい! どういうことだよ! 福岡だけじゃないのかよ! 九州地方ってどういうことだ!」


「あなたに全てを話します。九州地方に何があったのか、そして、私たち妖獣が来たことも。」


 少女は、瓦礫に腰掛け俺を手招きした。俺は、少女の隣に座る。


「あれは、1日前でした。私達は妖獣界で平和に暮らして居ました。1つを除いて……………」


「1つ?」


 少女は、少し顔色を険しくして、語り始めた。


「私達、妖獣は大昔から神達によって攫われていました。奴隷として使われていたんです。」


 俺は、大昔から神達によって辛い思いをしている人達がいている事を初めて知った。

 そして、人間はなんで今日と数十年前の合わせて2回しか神の襲撃がなかったのか気になった。


「なあ、なんで俺達人間は2回しか神の襲撃がなかったんだ? 君たちのような力を使う人より無力な人間の方が攫いやすんじゃないか?」


 少女は俺の方を向き、首を横に振る。


「少し違いますね。昔から人間界にも神達は来ていましたよ。」


 ん? それはおかしくないか? これだけ被害を出す事ができる奴らだぞ? さすがに、隠し通すのは無理じゃないか?


「じゃあ、ニュースにならなかったんだ!? なんのために隠してたんだ?」


「それは、50年前と今回を除いて、人間界への神の襲撃は被害を最小限にして、襲撃地区周辺の住民には黙っておくように頼んでたのです。そして、私達、妖獣界の者達と協力をしてました。」


 なるほど、被害を最小限に抑えて、周りの住民には黙っておくように頼んでおいたのか。だが、今回のようなケースだと隠し通すのは無理だろうな。

 それにしても、()()とはどういうことだ?


「協力? どういう事だ?」


「私達、妖獣界の者達は1年に1回出身地で適正審査を受けて適正者は人間界へと行きます。そして、その選ばれし者達が人間界で、人間と協力するのです。」


 なるほど、つまりはこの娘の世界では、人間界に行くための試験のようなものがあるということか。

 

「来たとしても何ができるんだ? あの、特別な力でリザードを倒すのか?」


 少女は、再び首を横に振る。


「少し違います。私達と人間が()()をするのです。」


「契約? なんだそれは?」


「簡単に言うと、妖獣と人間が結ぶ約束事みたいなものです。契約をすると、妖獣は人間界で住むのに相応しい姿と更なる力の増強。そして、人間は神に対抗できる力を得るのです」


 俺の知らない所で、神達からこの世界を守っている人と妖獣がいたなんて………………


「じゃあ! 今回や50年前も契約している人達が助けに来ても良かったんじゃないのかよ! 誰1人として来てないぞ!」


 この娘が言っているとこが正しいのなら、こんなことになってる九州地方を助けもしないなんておかしいだろ!

 俺の言葉に、少女は少し悲しそうな顔をする。


「今回も50年前も全団員が東京に集まる日だったんです。そして、オシリスは九州地方全体にバリアを張りました。あのバリアはオシリスを倒さないと中々壊せません。」


 なるほど、オシリスは九州地方全体に強固なバリアを貼ったのか。

 ん? 待てよ、だが何でこの娘は俺のとこに来れたのだ?


「じゃあ、なんでお前は来れたんだ?」


「外から妖獣達全員でバリアの一点を集中攻撃をしました。そしたら、バリアに小さな穴が空いたので、私が隙間を掻い潜って入りました。バリアは当たったら怪我をしてしまうので形的にも大きさ的にも私が適任でしたね。九州地方に入ってからは、オシリスを探しました。そこからは、あなたが見た通りです……………」


 なるほど、一点を集中的に攻撃する事で隙間を作ったのか。そして、当たると怪我をしてしまうバリアの隙間を掻い潜れるのは、この娘だけだったわけか。


「そうか、ならバリアが消えたから他の妖獣界の人もこっちに来れるな」


「ええ、そろそろ来ると思いますよ。」


 少しの沈黙が辺りを漂う。特に、会話をする事もなく十分ほど経った。気分的にも、あまり人と話す気が起きない。


「そういえば、あなたのお名前は何ですか?」


 この気まずい空気を壊そうと気を遣ってくれたのか、少女は俺に問う。


「ん? 俺の名前? 俺の名前は神崎悠真だ。」


 すると、突然少女は立ち上がり、俺の前に立つ。


「私の名前はキュウビ。唐突で申し訳ないですが神崎さん、私と契約してくれませんか?」


 キュウビという名の少女は、そう言うと俺に手を差し伸べる。


「お、俺と!?」


 腰まで伸びた銀髪を風に靡かせながら、キュウビは清流のような眼で俺を見る。


 ここから、悠真とキュウビの新たな日常が始まるのであった。

下手クソです!

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