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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第4章 国立神対策高等学校
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七聖剣保持者全員?集合!

「では、定例会議を始めようか。」


 一神はそう言うと、場にいる六人の顔を見渡す。


「はい、分かりました。」


 春馬のみが返事をして、他の四人は無言で頷いたので、俺も特に言葉は発さずに頷く。


「まずは、神崎くん、君の七聖剣を机に置いて私に見してくれないかい?」


 仏のような笑みを浮かべ、一神は言う。この人は確かに優しそうなのだが、何故か体に緊張感が走る。


「は、はい! これが俺の七聖剣です。」


 俺は、椅子に立て掛けておいた日本刀を机に置く。いつ見ても、真っ黒に煤けておりみすぼらしく見えてしまう。


「ふむ、これが……………」


 一神は手に取り、マジマジと見る。


「神谷くん、七聖剣がこうして揃うのは初な出来事だけど、今までに7番目の剣に関するデータはあったかな?」


 一旦、俺の日本刀を元の位置に戻して、一神は春馬の方を向く。

 春馬は鞄の中からファイリングされた名簿のような物を取り出して何かを確認する。全ての名簿を確認し終えると、一神の方を向き口を開く。


「そうですね……………… 今までは1〜6までの剣の存在は確認できておりますが、7番目の剣のデータは有りませんね。どうやら、悠真が初めての保持者のようです。」


 春馬は少し納得しないような表情を浮かべ、ファイリングされた物を鞄に再び直す。


「うーん、そうなんだ。それにしても、他の七聖剣とは違って随分汚いね。」


 一神は申し訳なさそうに微笑を浮かべ、俺の日本刀を見つめる。


「これでも、何回も磨いたりしたんですよ。それでも、この煤けは全然落ちないですよね。」


 実は、この日本刀が俺の元に現れてから、何度も何度も磨いたり軽く洗ったりしているのだが、汚れは一切落ちないのだ。


「ふむ、つまりはこの煤けた感じは元からあったという事なんだね。」


 俺は首を縦に振る。一神は俺の言葉に何かピンと来たのか、手元に置いてある紙に何かをサラサラと書く。

 そして、春馬の方を見てる。


「神谷くん、どうやら本物の七聖剣のようだね。」


「どうやら、本物のようですね。まさか、本当に全ての剣が揃うとは思いませんでした。」


 春馬は、一神に向かってコクリと頷き、俺の方を向くともう一度頷く。


「マジかよ! ユーマの剣は本物だったのか! 」


「ついに七聖剣が全員揃ったのね。こんなめでたい日を目の当たりにして本当に誇らしいわ。」


「これで、7本全て揃ったのか……………………」


「あ、この子って神谷さんのお手伝いさんか何かかと思ってたけど違ったんだ。」


 春馬の一声の後に、一気に場が活性化する。どうやら、俺は本物の七聖剣保持者とは思われてなかったようだ。

 てか、神々廻だけ俺の事を遠回しにディスってないか!?


「コホン! 静かに! じゃ、皆んな確認のために机の上のに七聖剣を置いてくれるかな?」


 一神が咳をすると場が再び静かになる。そして、机の上に七本の剣が並ぶ。大小様々な剣が並んだこの光景は圧巻だ。

 全ての七聖剣が机に並び、そこには持ち主がいる。あ、春馬の隣には剣だけで席には誰も座っていない。

 てか、結局この2番目の席に座るはずだった七聖剣保持者は誰なんだ? 神田の話を思い返してみると、千葉神対策局の誰かだと言うことは確実であるが、一体誰なんだ……………?


「それにしても七聖剣が本当に揃うとは……………………ん? 」


 一神が何かを言おうとした瞬間、全ての七聖剣が宙に浮く。


「な、なんだぁ!? 神か!? 神の仕業かぁ!!」


 大神が声を荒げる。だが、それも無理はない。誰も何もしていないのに剣が宙を浮いているのだ。


「大神、落ち着け。皆んな、とりあえず剣から離れろ。一神様も、こちらに。」


「う、うん。分かったよ。それにしてもこれは……………………」

 

 神谷は席を立ち、腰が引けた一神の手を引き、部屋の端に移動する。他の人たちも部屋の隅に移動しているので俺も小走りで移動する。


「こんなの見たことないわ。」


「ああ、危険だと判断したら俺が回収しに行くが、今のところは浮いているだけだな。」


 神田が心配そうに七聖剣を見ており、それを春馬がなだめる。

 だが、この状態はあまりにも異質だ。誰も何もしていないのに勝手に七聖剣が宙に浮いているのだ。


「な、なんだ!?」


「皆んな! 伏せろっ!!」


 その瞬間、七聖剣は一切に輝き始めたのだ。辺り一面眩い光に襲われて十秒ほど目を開けれなかった。

 光が収まり、ゆっくりと俺は目を開ける。すると、そこには衝撃的な光景が広がっていた。


「これは一体…………………」


 俺と春馬は七聖剣の元に駆け寄る。先ほどまでは宙を舞っていた七聖剣だが、今は床に落ちている。

 だが、注目するべきはそこではない。


「床に何か書いてあるな。いや、()()()()と言ったほうが正しいか。」


「そうですね、なんか床に直接彫られたみたいな感じです。」


 七聖剣は綺麗に円を描くように並べられており、その中央には字が記されていたのだ。たった10秒でこの固い床に字を彫るなんて人の技ではない。


「なになに、なんて書いてあるんだぁ?」


 後ろを振り向くと、大神が俺の両方を掴み前のめりに七聖剣を見る。他の人たちも七聖剣をマジマジと見ている。


「えっと……………… ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 神田が目を細めて、床に彫られた字を読む。どういう事だ? つまりは、七聖剣が全て揃った時、神との決着がつくって事なのか? 


「数多の神? おかしい………………」


 神々廻が蹲み込んで首を傾げ、彫られた字を指で追う。どこか、変な場所があるのだろうか。


「神々廻も気づいたか、この()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってとこが俺も気になる。」


 春馬は頷き、神々廻が指で追った場所を、指でクルッと囲む。


「ああ? どういう事だぁ、春馬ぁ? 今までも神は何回か来てたじゃねぇか。」


 大神は何も分からないのか首をゴキゴキと鳴らして、頭を掻き毟る。だが、俺も春馬と神々廻が言っていることが何も分からない。


「そうか、神の個体数の話か。それならば、確かにおかしいな。」


 操神が、ズズッとコーヒーを飲み干して口を開く。個体数? どういうことだ?


「ああ、操神の言う通りだ。実は神の一度に出現できる個体数には憶測だが制限があると言われているんだ。」


 制限? 確かに、今思えばリザードとかは大量にいたが、神の数は少なかったな。

 多くても、エキドナの時に乱入してきたアヌビスや、カグツチの時のツクヨミ、どちらも一度に二体だ。初めて見た神であるオシリスは一人だったな。


「なるほど、神は一度で近いエリアに出現できる数は決まっていると言う研究結果のことね。憶測の結果だけども、長年の戦いの経験から見てもほぼ確証と言われているわ。」

 

 神田は、床に刻まれた文字をスマホでパシャリと写真を撮る。どうやら、写真として保存しておくつもりらしい。


「つまり、これから先は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事みたいだね。」


 七聖剣が宙を舞い始めてたから、ポカンとしていた一神が口を開いた。ん? 待てよ、てことは七聖剣が同じ時代に全て揃ったことは、あまり良くない事ではないのか?


「はい、そういう事です。しかし、この文字が何者かによって書かれたのかは謎ですね…………………」


 春馬が不思議そうに文字を見つめる。そうだ、この文字は光っている間に刻まれた物だということは分かるが、誰の仕業なんだ? 俺は最後に避難したから、皆んなの前にいたが、光っていた時には誰も動いてなかった。

 それに、あの十数秒でこの固い床に文字を刻むなんて普通はできるはずがない。


「うん、そうだね。この文字は誰が書いたのかは不明だ。でも、私を守るように皆んなは円になってたから、私は真ん中から皆んなを見る事ができていたけど、あの時は誰も動いていなかった。つまり、私たち以外の何者かの仕業だろうね。」


 確かに、あの時は一神は俺たちの真ん中にいたから、誰よりも周りを見る事ができていた。その一神が、誰も動いてなかったというのだから、この言葉は信頼できるだろう。


「まぁ、でもよぉ! ここに書いてあることは、そんなに悪いことではねぇじゃねぇか! 確かに、神が今よりもこっちの世界に来るってのは悪い事かもしれねぇが、その分、神を殺す事ができるんだからよぉ!」


 大神が高笑いをして、文字の周りにある七聖剣のうちの一番大きな太刀を取る。


「ふふ、大神くんの言う通りだね。確かに悪いことは書いてはいないから敵ではないかもしれない。よし、今月の定例会議はお開きにしよう。じゃ、皆んな元気でね。」


 そう言うと、一神は笑みを浮かべて部屋を後にする。バタンとドアが閉まる音がして、その後に操神、大神、そして神々廻の順番で各自、七聖剣を回収して部屋を後にする。


「じゃ、私も失礼するわ。」


 神田は、机にあるコーヒーポッドを持ち、部屋を後にする。どうやら、あのコーヒーポッドは神田の私物だったようだ。


「悠真、そろそろ昼時だし昼飯でもどうだ? 近くに旨い寿司屋があるんだが、奢ってやるぞ。」


 部屋を後にしようとした瞬間、春馬から呼び止められた。


「すいません、これから坂田さんと行く場所があるので無理です。そういえば、坂田さんどこに行くか教えてくれなかったな……………………」


「先約があったのか。俺はもう少しこの文字を調査してみるから先に行っといてくれ。それと、この文字のことは誰にも言ってはならないからな。」


 一瞬だけ悲しそうな顔をした春馬だったが、すぐにいつもの仏頂面に戻る。


「分かりました、じゃ、失礼します。」


 春馬に一礼をして、俺は部屋を後にする。あの文字を内緒にしてほしい理由は、まだ確証がないからだろう。真実と確定してない情報が世に出回ると、混乱してしまうからな。

 薄暗い一本道を歩き、エレベーターに乗り込む。一階を選択すると、ガコンっと音が響き、上に上がる。



「よし、一階についたな。さーて、坂田さんが待っている公園に行くとするか。」


 エレベーターから降りて、本局を後にしようとする。その時、聴き馴染みのある低めの声が聞こえた。


「悠真、こっちだ! タクシー捕まえておいたぞ。」


「坂田さん! 今行きます!」


 坂田は、公園で待ちくたびれたのか、本局の目の前でタクシーを捕まえていた。

 俺は、坂田が捕まえた黄色のタクシーの後部座席に乗る。坂田は、助手席に座っていた。


「おつかれ、悠真。なかなか癖の強いやつらだったろ? 大丈夫だったか?」


 タバコに火をつけながら、坂田は体を後ろに寄りかかって俺に聞く。


「大丈夫でしたよ、皆さん良い人そうでした。」


「そうか、なら良かった。」


 坂田は、フッと笑うと、体を元の体勢に戻す。


「運転手さん、()()()()()の入り口まで頼む。」


「極獄刑務所!? アンタ、正気かい? 」


 運転手は、坂田の顔を凄い表情で見る。そして、微かに手が震えている。


「ああ、大丈夫だ。ちゃんと、許可は取ってあるから心配するな。」


「まぁ、分かりましたよ。じゃ、行きますよ………………」


 運転手は少しため息をつくと、渋々と車を走らせる。

 ん? てか、坂田さん、今、刑務所って言ったよな!? おいおい、一体なんのために行くんだ!?

少し、いつもよりボリュームを多くして書いて見ました!

いつもの二千字と今回の五千字どちらが良いですかね?


下手くそですのでアドバイスをお願いします!!

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