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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第3章 母なる者
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牛刀荼毘!

――――――――この全魔力を一撃に込める諸刃の剣が生まれたのは瑠紫との修行の時まで遡る。







「遅いっ! そんなんじゃ神は倒せないわ!」


「クソっ! 全然当たらない!」


俺は何度も刀を瑠紫めがけて振るう。しかし、瑠紫はヒラリヒラリと身軽にかわす。


「神崎さん! しゃがんでください! 霊炎 陽炎っ!!」


背後からミツレの声が聞こえたので瑠紫から少し離れ、身を屈める。ミツレの陽炎は、瑠紫の大剣の一撃でもみ消される。


「息は合ってきたけど、まだまだね。大罪の雷!」


瑠紫はそう言うと右手と左手に禍々しい黒い雷を纏う。そして目にも留まらぬ速さでミツレの首を消しとばし、その次に俺の胴体を吹き飛ばす。

気がついた時には視界が真っ暗でゲームオーバーの赤い文字が浮かび上がっていた。

少しして、視界が明るくなる。カプセルの中から出ると、ミツレと瑠紫はもう出ていて、ペットボトルのお茶を飲んでいた。

俺が出てきたのに気づくと、瑠紫は口を開く。


「そういえば気になってたんだけど、悠真は技とかないの? 三の力とかのアレは契約魔力だと言う事にしたら見たことがないのよね。」


瑠紫から言われて俺は改めて思う。確かに俺にはミツレや瑠紫のような()が無い。


「今思えば神崎さんは必殺技とかは無いですよね。」


ミツレが右手を顎に当て、首を傾げる。


「やっぱりあった方がいいのか? カッコいいとかそんな感じのイメージしかないんだが。」


そう言うと瑠紫とミツレは深い溜息をつく。そして呆れた目で俺を見る。


「悠真、必殺技はカッコイイとかそう言う理由ではないの。長い間その()の名前を言う事によって体が反射的に技を放つことが出来るようになるから技の名前は必要なのよ。」


「そうですよ、カッコイイからだとかそう言う変な理由で叫んでいるわけではありません。」


二人から凄い真面目な顔で言われた。漫画のキャラクターとかも必殺技叫んでいるのはカッコつけてるっていうわけではないのか。


「なるほどな、技名を付けるとしたら()()()()とか四字熟語が良いなぁ。」


俺がそう言うとミツレはジトーとした目で俺を見る。


「神崎さんって意外と厨二病ですよね。」


「いや、必殺技ってそんなもんだろ!?」





そんな事があって生まれたのが全ての魔力を一撃に込める諸刃の剣の技、()()()()だ。この技は一回放つと30分は体を動かす事は一切できなくなる。だが、その威力は凄まじい。












――――――そして場面は現在に戻る。


「いっけええええええ!!」


全魔力を霊炎に変えた今の俺が出せる最高の技でエキドナを討つ!


「呪炎 火柱ぁ!!」


エキドナの首に牛刀荼毘が当たると思ったその瞬間、エキドナは俺の方に右手を向ける。

すると、俺の真下から紫の炎の柱が出てくる。


「グアアアアアアアア!!」


「神崎さん!」


全身が一気に紫の炎に包まれる。下から吹き出した炎の勢いは凄まじく、俺の刀を握る手を吹き飛ばそうとする。

それにとても熱い。契約起動してなかったらマル焦げだ。だが、いくら契約起動していると言えど長時間ここにいたら火傷してしまう!

しかし、火柱から出てしまうとエキドナの首を断ち切る事は出来ない。


「くそったれが……………!」


俺は右手で力強く握っていた刀を吹き飛ばされ、それと同時に全魔力と引き換えにした牛刀荼毘も消える。

背中からバタリと俺は倒れ、空を見上げる。体がピクリとも動かない。全魔力を引き換えの一撃は代償が大きすぎる。

何かが這うような音が聞こえる。この嫌な音は…………!


「地面に特大の火柱を仕込んでいなかったら危なかったわ。人間にしては中々の攻撃だったわよ。」


エキドナは俺をゴミを見るような目で見下す。こんなに近くに憎い相手がいるのに手を出さない自分が憎い。


「だ、まれ……………! クソ野郎が!」


さっきの火柱で喉が火傷してしまった。掠れた声で何とか喋る。


「結局、お前は何も守らなくて死ぬ。さぁ、特別に私の最高の技で殺してあげるわ。()() () ()()()()()


エキドナの右手に紫の炎が集まり、紫の炎で出来た一振りの大鎌が握られる。その大きさは2メートルはある。

そして、その大鎌をブォンと振り上げる。体が動かない……………!


「これで終わりよ!」


俺は反射的に目を瞑る。これは確実に死んだと思ったからだ。しかし、ガキン!という硬いものがぶつかる音と共に聞こえた氷のような冷たい声で俺は目を開ける。


「はぁ、いつもの優しいマザーはどこに行ったの? あの女狐は地面に突っ伏してるし、これは一体どう言う状況なのマザー?」


そこには白いカンフー服に身を包み、青色のヌンチャクを持ちエキドナの大鎌を止めている青髮の少女がいた。あれ、コイツどこかで………


「白虎…………!」


エキドナは驚いた表情で少女を見る。


「あ!お前は病院の時の!」


そう、助け?に来たこの少女は病院で氷華を連れてきたミツレの馴染みの白虎とか言うやつだ。

2日連続投稿です!

辛口アドバイスお願いします!!!

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