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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第3章 母なる者
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青の巨人討伐完了。

首を斬られた巨人は一瞬、ビクッと動いたがつま先から徐々に崩壊していく。

まるで泥団子を水に入れたみたいだ。


「体力と魔力が全回復したけど、コイツを殺すのに殆ど使ってしまったな。」


二の力を解除して、顔に付いた巨人の血を右手で拭う。


「う……………がぁ…………」


首を断ち切り、下半身は完全に崩壊していたはずの巨人が喋り始めた。


「な!? コイツまだ生きてたのかっ!」


俺は刀を鞘から引き抜き、転がっている巨人の頭に近づき、脳天に狙いを定める。


「あ゛りがどう゛………… わだしだぢを がいほう゛しでぐれてありがどう…………」


さっきまで言葉にならない呪詛のような物を発していた巨人が、普通の聞き取れる言葉を喋ったのだ。

それを聞いて、俺は巨人の脳天を貫く寸前の刀を鞘に戻す。


「解放なんてしてねぇよ。俺がした事は命を奪った許されない事だ。それは神だろうと人間だろうと関係ない。1つのいや、3つの命を俺は奪ってしまった。」


「ぢがう………… わだじだじは、マザーから かいぞうされる゛どぎには、ずでにしんでいだ。ずっどぐるじがっだんだ。あり゛がどう…………」


巨人の崩壊が進んでいき、首以外の部位が全て消えた。この消え方は仁の時と少し似ている。


「ありがとうなんて言うなよ。気が変になっちまうだろ。」


俺は巨人の頭の横に近寄り、そっと触る。冷たくて悲しい感情を感じた。


「ひざびざに、あだだがいかんじだなぁ…………… キュウビをよろ゛じぐねぇ………………」


巨人の崩壊が下顎まできた。


「ああ、お前たちとの約束は絶対に守る。キュウビいや、ミツレは俺が死んでも守ってやる!」


「ありがどう。ぎみはづょぐなる……………」


最後にそれを言うと巨人は完全に消えた。さっきまで命のやり取りをしていた相手が目の前で消えるのは、心がモヤモヤする。


「あーあ、やられちゃったわね。でも、少し倒すのが遅かったかしら。」


忌々しいエキドナの声を聞き、俺はミツレがいる方を振り向く。


「ミツレっ!」


そこには魔力を使い切ったのか、おぼつかない足取りで立ち尽くすミツレがいた。

エキドナの周りには炎の剣がまだ沢山あるが、ミツレは三本しか出せていない。


「すいません、神崎さん…………… せっかく魔力と体力が全回復したのにマザーの足止めしか出来ませんでし、た………」


ミツレは弱々しい目で俺を見ると、膝から崩れ落ちる。


「さてと、私のミッションはあと少しで終わりね。」


エキドナはゆっくりと倒れて起き上がらないミツレの方に近づく。ミツレはピクピクと手足を動かすが立ちがる体力も残ってないのか、起き上がらない。


「三の力起動っ! 」


俺はミツレとエキドナの間あたりに三の力のナイフをぶん投げる。そして、


「遠隔起動!!」


と叫び、エキドナの前に現れる。エキドナは急に現れた俺に対してビクともせず、ゆっくりと歩み寄ってくる。


「私の目的はキュウビだけ。お前には用はないから邪魔しないのなら命だけは見逃してあげるわ。」


「ミツレは俺の契約者だ。お前こそ邪魔だから神界に帰るか殺されるか今 選択してくれ。」


そう言うと、エキドナは少し眉をひそめる。


「あら、つまり私の邪魔をするって事?」


エキドナは宙に浮いた炎の剣を1つに集結させて、一振りの太刀を作る。それを右手に構え少し歩みのスピードを上げる。


「お前こそ俺の邪魔をするのか? 俺は早くミツレの手当をしたいんだけど。」


俺は鞘から刀をスッと引き抜く。


「神崎さん……… 相手は私の師匠と言ってもいいマザーです! 対策法が分かっていないアナタでは勝てません!」


倒れてたはずのミツレが膝立ちで左手を抑えて起き上がり、俺の羽織の裾を掴む。


「そんなのやってみなくちゃ分からないだろ? 今度は俺が時間を稼ぐから、その隙にミツレは魔力を少しでも回復しててくれ。」


「でもっ かん」


ミツレは何かを言おうとしたが、俺はそれを無視してエキドナの方に歩み寄る。

裾を掴んでいたミツレの手の力は弱々しく簡単にほどけた。


「私を足止めねぇ……… キュウビは私の戦い方を少しは知ってたから対策できたかも知れないけど、お前は私の事は何も知らないでしょう? 足止めなんて出来ないと思うけど。」


エキドナは鼻で笑い、炎で出来た太刀をこちらに向けて構える。


「一の力起動。」


一の力を起動して、霊炎を刀に纏わせる。


「足止め? お前は1つ勘違いをしているぞ。ミツレには悪いが俺はお前を殺す。」


「アハハハ! 私を殺す? 冗談が上手いクソガキねぇ。」


口では笑っているエキドナだがその目は笑っていない。目をかっ開きコチラを睨みつける。


「いや、冗談なんて言ってねーぞ? 俺、お前にだいぶキレてるんだけど。偽物の母親が。」


そう言った瞬間、エキドナの雰囲気が一気に変わる。殺意がこちらにも伝わってきた。


「死ねっ! クソガキイイ!!」


エキドナは太刀を両手で構え直し、凄まじい速さでこっちに向かってくる。


「やれるもんならやってみろ!」


霊炎を纏った刀と炎で出来た大振りの太刀がぶつかり、思わず目をつぶってしまうぐらいの熱気が悠真を襲う。


夏休み明けで久々に投稿しました!

このペースだとマザー編 終わりそうにないなぁw

三章のマザー編終わったら番外編作る予定なんでよろしくお願いします!

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