表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第3章 母なる者
73/167

圧倒的 力の差

「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」


「ぬありゃああああああああ、!」


巨人が振り上げた大きなハサミと俺の剣がぶつかる。しかし、あんな巨体から繰り出されるパワーに勝てるわけもなく、吹き飛ばされ橋の鉄柱に激しくぶつかる。


「いってぇ…………… 契約起動してない生身だったら死んでたぞ。」


コイツとは真正面にやっても勝てる気がしない。パワーの差が桁違いだ。


「パワーが桁違いでも、アイツに知能は感じないから頭を使うしかないな! 三の力 起動っ!!」


三の力を起動し、ナイフを巨人の胸めがけてぶん投げる。ナイフは巨人の胸にズブリと突き刺さる。


「があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」


「遠隔起動っ!」


遠隔起動をして、巨人の胸の間合いに入る。この距離だったら首を斬れる!


「もらった! はあああああああああ!!」


刀を強く握りしめ、顎の下から頭の頂点めがけて斬ろうと、顎に刃を当てる。


「このまま 下から頭真っ二つにしてやるぜ! あれ………… 刀が進まない!?」


「ぬごあああああ!!」


刀が巨人の下唇にまで達した時に巨人が叫んだ。すると、体全体が紫色に変化して、さっきまで刀は巨人の頭の頂点を目指していたのにピタリと止まってしまった。

巨人の体が岩のように硬化して刀が動かなってしまったためだ。


「くそっ! こんなのありかよ。 今のはやられるパターンだろ! しかし、この体勢何気にツライな!刀が抜けない! 」


そう、さっきまでワープした瞬間に空中で顎を下から斬ろうとしていたので、途中で硬化されると巨人の顎に刀が突き刺ささったままで動けないのだ。


「だが、抜けないといって刀を手放したらコイツに勝てる術が湧かない! 今、ここで刀を抜かないとなぁ! ふんっ! ダメだ! 抜け」


「ヌオオオオオオオオオオオオ!!」


巨人のハサミが付いていない方の左手で頭を掴まれ、地面に強く叩きつけられる。

顔面から地面に接触したので頭がクラクラする。


「う、うう…………… しまった! 刀を手放」


「ヌガアアアアアア!!」


巨人は俺に立ち上がる事さえも許さず、今度は右手のハサミが付いている方の腕で俺を空に吹き飛ばす。


「ゴフ……………! ヤバい! この高さは落ちたら契約起動しているといえ流石にやばい! 」


「ガルルアアアアアア!!」


叫び声と共に巨人は俺と同じ高さまでジャンプする。地面から20メートルはあるぞ!?


「嘘だろ!? 三の力! 起」


「ガアアアアア!!」


三の力を起動して、地上に安全に戻ろうとしたが、それも叶わず、巨人の左手から繰り出された空手チョップを背中にまともにくらって地面に強く落ちる。


「ヤバい……………… もう体が動かねぇ………」


視界がボンヤリとして濁っている。ドシンドシンという足音と共に巨人が近づいて来るのが地面に横たわりながら見えた。


「動け!動けよ! 俺の足っ! 立ちあがれよ! こんなとこで死ぬのかよ! 動け!動け!」


俺がどれだけ虚しく叫ぼうとも体は言うことを聞いてくれない。身体中が軋むような痛みで叫ぶ度に痛みが響く。


「こんなとこで死にたくない……………!はあああああ!!」


気合いでなんとか中腰で立つことができた。しかし、すぐに左足から崩れ落ち、膝立ちの状態になる。


「クソっ! 左足の骨が砕けてやがる。剣もヤツの顎に突き刺さったままだし、どうすればいいんだ!」


巨人が膝立ち状態の俺の前に立ち尽くす。蛇に睨まれたカエルとはまさにこの事だろう。


「やめろ、やめろ! 俺に近づくなっ!」


巨人は舌でベロリと腕のハサミを舐めると、俺をヒョイっとハサミの付いていない方で摘まみ上げる。

そしてゆっくりと手に入れる力を込めていく。


「がああああ!? 痛い!痛いっ!! うああああ!!」


「ガルアアアアアッアッアッアッアッア!!」


重低音の獣の笑い声が響き渡る。そして今度は力を緩める。


「ゴフッ! おい、お前 遊んでやがるな? 離せよっ!クソっ! 力が入らねぇ!」


血反吐を吐いた俺を見た、巨人はニタァとヨダレを垂らしながら笑うと、また力を強める。


「うわああああああああ!! 体が軋むっ! 」


「神崎さん!? 大丈夫ですか!」


巨人の左手の中で無様に叫び声をあげている俺に、地上の方から見えないがミツレの声がした。


「ミ………ツレ! 俺の事はいい! お前は自分の事だけに専念しろ! こっちは大丈夫だ!」


俺は最後の気力を振り絞ってミツレに返事をする。少し間があったがミツレは返事をする。


「分かりました……………! 私 信じてますから!!」


ミツレに心配させないとカッコつけたが、叫んだせいで折れた肋骨が体の臓器に突き刺さる。


「ヤバイな…………… もう痛すぎて笑えてくるぜ…………」


「グルアアアアアアアアアアアア!!」


巨人はまた手の力を強める。臓器に突き刺さった肋骨が更にズブズブと刺さる。


「がああああああ!! クソったれがああああ!! ゴハアっ!」


痛みを紛らわすために叫び散らすが痛みが勝る。痛みを紛らわそうとしても体は正直で俺は人生で見た事ないぐらいの量の血を口から吐き出した。


ああ、これが死か……………… こんなとこで死にたくはなかったんだけどなぁ。将来は可愛い嫁さんをもらって幸せな家庭を築くつもりだったのに。




「おいおい、悠馬 諦めてどうするぜよ!」


あれ? この声は仁……………? はは、遂に死後の世界に来てしまったか。


「戦いでは諦めた方が負けが決まるぜよ。それは持久走だって同じぜよ!」


いや、これは死後の世界じゃないな。走馬灯ってやつだ。確かこの場面は持久走が苦手な俺が、仮病使って体育の授業をズル休みしようとしようとした時に珍しく仁がキレた時だったっけな。

あの時の仁は怖かったなぁ………


「諦めないで最後までやりきったら、どんな結果だろうと敗者じゃないぜよ。諦めなければ勝者ぜよ! 悠馬が諦めるならワシは絶交してやるぜよ!」


はは………… 相変わらず無茶苦茶な事を言ってたな。()()()()()()()()か。アイツにしては良いこと言ったもんだよな。





「そうだ、諦めた瞬間で負けが決まるんだったようなぁ! 仁! 俺はまだ諦めないぞ! うおおおお!!」


「ガア!? グアアア!!」


俺は全身の力を振り絞り、巨人の手を振りほどく。幸い ヤツが油断してくれてたお陰でなんとか振りほどくことができた。

ベチョリという落下音と共に地面に落ちる。


「まだ、俺はいけるぞ………………!」


口だけそう言ってるが、もう立つことも出来ない。三の力でワープしたとしても体勢は変わらないから、巨人の手から離してもらえたからと言って、勝機が見えたわけではない。


「俺は諦めないんだあああ!!!」


そう叫んだ瞬間、俺の周りを暖かい光が包み込む。ミツレと契約した時のような優しい光に包まれる。

そして、頭に(二の力 解放)という強い意志が何故か出てきた。

眩い光が治ると、俺の身体中の痛みは治まっていた。それどころか折れていたはずの肋骨や左足の骨まで治っていたのだ。


「え………………? なんでだ!? どうして治ったんだ!?」


俺はその時、東京神対策局で瑠紫と修行してた時に言ってた事を思い出した。確か瑠紫は、


「そういえば契約ってのは、契約する前に負ったどんな傷も治す効果があるって知ってた? 私も契約する前は両足無くなってたのに、契約したら治ったのよね。不思議な力よね。」


とか言ってたような気がする…………… でも、ミツレとはとうの昔に契約してるから、全回復なんて起きるわけがない。

まさか、今 頭の中に急に出てきた()()()ってやつが関係してるのか?

そういえば、確か 俺の契約魔力は()()()()とかいう名前だったよな………

てことは、今 俺が使えるのは一の力の霊炎付与、三の力の遠隔起動ナイフ、そして五の力の千里眼だ。つまり、名前からしてあと7つの力があってもおかしくはない。


「まぁ、考えるなんて俺らしくないな。何故か分からんが全回復出来たんだ! 第2ラウンドといこうじゃねえか! 」


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


全回復して、急に立ち上がった俺を見て気が動転したのか巨人が叫び散らす。


「よろしく頼むぜ、二の力! 起動っ!」



最近、受験勉強がはかどらなくてイライラしてるので、少し前にもあげたばかりですが投稿しますw

アドバイスや感想待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ