うどん屋
「そういえば、今からどこに向かうのですか? 千葉神対策局ですか?」
ひとしきり泣いて、落ち着いたミツレが坂田に問う。坂田も少し時間が経ったので落ち着いたのか手は震えていなくてタバコを吸いながら運転をしている。
「いや、山口神対策局に向かっている。てか、もう12時か。そこのパーキングエリアで昼食をとろう。行く理由はそこで話す。」
山口神対策局…………? そういえば神対策局は日本全国の都道府県にあるってミツレか誰かが前に言ってたな。
「よし、着いたぞ。さぁ降りてくれ」
パーキングエリアの駐車場に車を停めて、俺とミツレその後に坂田が車に鍵をかけ降りる。
「あそこのうどん屋でいいか? 」
坂田が指差したうどん屋はパーキングエリアの屋台が立ち並ぶところから少し離れたところにある少しボロい店だ。
でも、良く言ったら老舗感が出ていて悪くない。
「私は問題ありません。神崎さんは?」
「俺もうどんで大丈夫だ。坂田さん、ゴチになります!」
俺とミツレが頭をペコリと下がると坂田は鼻を鳴らし、
「いちいちお礼なんてしなくていいぞ。さ、早く行くぞ」
少し照れたのか急ぎ足で坂田は店に向かう。俺とミツレも急いで坂田を追いかけ、店の暖簾をくぐる。
「…………………いらっしゃい。」
店の中には店主であろう一人の爺さんがいた。白髪で長い白髭を蓄えた仙人のような老人は店に入って来た人の気配を感じとると、少しの間を空けて客を迎えた。
「久しぶりですね、ゲン爺さん。娘さん元気にしてますか?」
無愛想な老人に対して坂田は笑顔で挨拶をした。すると、さっきまで客を歓迎するとは思えないような態度を取っていた老人が坂田の姿を見ると、口角を上げた。
「おお〜坂田か、久しぶりじゃな。ああ、我が愛娘の翠は元気じゃ。どれ、坂田よ嫁にしてくれる決心はついたかの?」
「冗談はよしてくださいよ。翠ちゃんはまだ20歳という遊び盛りなんですから俺みたいな中年と結婚なんてしたら可哀想ですよ。」
「悪くはない話だと思うんじゃがのぅ。まぁ、坂田が言うなら仕方ないの」
しわくちゃの手で坂田と握手した老人はポカーンと見つめていた俺とミツレを見ると、
「それはそうと坂田よ、今日は何の用じゃ?」
「大した用事じゃないですよ。昼食をとりにきたんです。肉うどん三つお願いします。」
「なんじゃ、娘を嫁に取りに来たと思ったのに。そこの座敷に座っとれ。」
ゲンという爺さんが指差した奥の座席に俺たちは座る。俺の隣にミツレが座り、机を挟む形で俺の前に坂田が座る。
「あのお爺さん、坂田さんとどういう繋がりなんすか? なんか嫁とか言ってましたけど…………」
座席に座り、煙草を吹かしていた坂田に気になってた事を聞いた。肺に煙を送り込み、鼻から煙を出し煙草を灰皿の上に置く。
「ゲン爺さんは山口神対策局の局長だ。俺が若手の時は山口神対策局に配属されててその時に色々と面倒を見てくれてたんだ。」
「ええ!? ここが山口神対策局なんすか? 」
「本当なんですか? 周りから見たってここは対策局には見えないんですが…………」
外から見たらオンボロの今にも潰れそうなうどん屋だ。俺が見てきた二つの神対策局とは建物の大きさが全然違う。
「ああ、ここが山口神対策局だ。だが、正確に言ったら地下が対策局となっている。」
「地下が対策局にはなってるんですね。そういえば一つ気になったんですけど、俺が見てきた千葉神対策局や東京神対策局にしろどうして対策局って事を隠してるんですか?」
俺が坂田に質問を投げかけ、坂田が口を開こうとした瞬間にミツレが、
「それは、2回目の神の大規模な襲撃が来るまでは人間が自然環境を壊したから神が怒って天罰を下したって言われてますから神対策局なんていう神に反逆してやるというオーラムンムンの施設があったら民衆の不満を買ってしまいます。だから隠してた、そうですよね坂田さん?」
「ミツレの言う通りだ。だが、今回の九州地方を襲った襲撃のおかげで神対策局が公に認められそうだ。襲撃当初はクレームが各国の政府にたくさんきたらしいが、全世界に真実を伝えるとクレームは少なくなったらしい。全ての人が神を許せないという気持ちがあったからこそ短期間で民衆を納得できたな」
そういえば、朝のニュースでそんな事言ってたっけな……… 急に現れた神に対して政府が神対策局を公にしたことは1番の善処だろう。
「おっと、長話がすぎてしまったな。お前らに四頂家について話さなければいけない。」
今までにこやかに話してた坂田だったが四頂家というワードを出した瞬間に表情が少し険しくなる。
「四頂家を語るには、まず一番最初の神の襲撃から話さなくてはならない。」
この時の俺は四頂家はただいばり散らしていて嫌なやつらと思ってたが、坂田の話を聞いた後には別の感情が生まれていた。
最近忙しくて久しぶりに投稿しました!
どうでもいい事ですが鬼滅の刃面白いですよね




