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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第2章 新たな日常!
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修羅と化した漢

「デン゛ナ゛デン゛ナ゛!ボジハ イ゛ル゛ワ゛ゴド イ゛ナ゛ジデエエエエエエ!!」


男は言葉にもならないような声を叫び、横顔に乗っている坂田の右足を両手で離そうとする。

しかし、男の力では坂田の足はビクともしない。男は叫びながら足と手をバタつかせて頭から足を離そうとする。


「なぁ………… お前は一体何者なんだ? 頭だけリザードのヤツなんて聞いた事も見た事もない。その、リザードの頭の下はちゃんとした顔なのか?」


坂田は右足に力を込めて男に質問する。男は更にもがき始め、叫び声が大きくなる。


「ヌアアアアアアアアアアア!! デメ゛ヤ゛デメ゛ヤ゛ル゛ル゛ル゛ル゛ル゛ルアアアアアアアアア!!」


「質問には答えられないか。まぁ、いい。お前をここで殺したらアイツらも少しは報われる。」




いつもの坂田ではない。強面だけど内面は優しい坂田はこの場にはいない。いるのは修羅と化した坂田だけだ。


「神崎さん………… 今日の坂田さん、少し怖いです。」


ドクさんの左肩に乗っているミツレが少し怯えた声音で言う。ミツレが言っている事は無理もない。今の坂田は味方である俺らが見ても、それだけ恐怖だという事だ。


「ミツレ……… でも、坂田さんは俺たちよりも先輩達との付き合いが何年も長いんだ。先輩達と出会って数日の俺たちがこんなに悲しいんだから、坂田さんはもっと悲しいだろ? それなら仕方ないよ……… 俺にだって今の坂田さんの気持ちは凄い分かる。」


「そうですよね………… 坂田さん………!」


悔しそうなミツレの声が聞こえた。俺もギリっと歯ぎしりをする。俺にもう少し力があれば……………!!






「お前に質問した時間は無駄だったな。ここで死んでくれ。黒骨丗摹捻(せぼね)!」


坂田がそう言うと、右手に黒色の日本刀ぐらいの大きさの真っ直ぐな背骨が握り締められる。


「お前は俺を怒らせた。それがお前の敗因だ!!」


そう叫ぶと、坂田は男から右足を退け、男が立った瞬間に顎目掛けて、握りしめた刀のような黒々とした背骨で男を宙に斬り飛ばす。

ドゴォっという木刀で殴られたような鈍い音と共に男は宙に浮かぶ。


「ヌガアアアアアア!!」


神滅 一式(しんめつ いっしき)!」


坂田がそう唱え、宙に飛ばされた男よりも高く舞い上がり空中で一回転して背後に回り、男の首を斬った。

胴体と別れた男の首は地面に鈍い音を立てて着いた。首を斬ったのと、ほぼ同時に坂田も地面に着地する。



「すげぇ…………… これが坂田さんの本気なのか。」


俺は思わず固唾を飲んだ。左肩にいるミツレは驚きすぎて声も出ない様子だ。


「ドクさん、もう大丈夫だから二人を下ろしてくれ。」


地上にいる坂田が巨大化しているドクさんに向かって言う。ドクさんは無言で頷くと俺とミツレを左手に乗せて地面に降ろす。

二人を下ろした後にドクさんは元の大きさに戻った。


「坂田さん……… 先輩達を守」


ミツレが坂田に何か言おうとした瞬間、坂田がミツレの口を塞ぐ。

坂田は首を横に振ると、


「何も言うな………ツライのは皆んな一緒だ。帰ってからゆっくり話そう。一年二組と二年二組の英雄達も家に帰らせてあげるぞ」


俺とミツレはその言葉を聞き、両目から滝のように涙が出た。


「俺、悔しいです……………! もっと、力があれば………!!」


「私も悔しいです…………! 私に守る力あれば!」


涙が止まらない。先輩達との少しの期間だけだったけど楽しい思い出が蘇る。

ドクさんがそっと俺とミツレを抱きしめる。俺とミツレはドクさんのコートを握りしめながら泣きじゃくる。


「泣くな…………! お前達には、まだ力を得るチャンスが沢山ある。だから、泣くんじゃねぇ…………!」


そう言う坂田だったが、俺たちとは真逆の方を向くと肩が少し震えていた。握り固められた右拳からは血がポタポタと垂れている。



















どれくらい泣いただろうか。俺とミツレは泣き止み、坂田の隣に立っていた。


「じゃ、皆んなで帰るか。」


まぶたが少し腫れている坂田は俺とミツレに少し微笑みながら言った。


「そうですね。先輩達も一緒に帰りましょう。」


ミツレがそう言い、俺たち四人が俊介と五右衛門の遺体がある方に向かったその時だった。


「皆んなで帰る、か…………… 申し訳ないがそれは無理な願いだ。」


後方から謎の声が聞こえ、俺達は振り返る。

振り返った先にいた男の見た目はまるで平安時代の貴族の格好である束帯のような紫色の着物を着ていた。

しかし、平安時代の貴族が被っているような冠は被っていなくて黒色の髪が肩まである。

男の右手には自身の身長ほどもある長い金色の杖が握られており、杖の先には紫色の半月を模したようなものが付いていた。


「先に回収だけさせてもらおう。」


男は指パッチンをする。すると、さっき坂田が倒したリザードの頭をした男が殺した先輩達が皆んな紫の光に一瞬包まれて消えた。リザードの頭をした男もこの光と一緒に消える。


「おい! 何しやがる!」


痛みで震えた足を無視して貴族の風貌をした男の元に走ろうとするが坂田に右肩を押さえられ止められた。


「坂田さん!? 何してるんすか! 先輩達が」


攫われたと言おうとしたが坂田の表情を見て、俺は言うのをやめた。

坂田の表情は目を見開き男を見ている。この気に俺は圧倒されたのだ。


「ドクさん、二人を何としてでも守ってくれ。俺がもし死んだら全速力で逃げてくれ。アイツはヤバイ……!」


ヤバイってどう言う事と聞こうとしたが、俺とミツレはドクさんに手を引かれ、坂田から離れる。

男と坂田の距離は30メートルほど。二人とも一歩も動かない。


「ミツレ! 俺たちで坂田さんのサポートを」


「バカ言わないでください! あの場に行ったとしても今の私たちだったら瞬殺です! 相手が悪すぎます!」


ミツレの目がガチだ。この目は瑠紫を始めて見たとき以来だ。

そんなにアイツはヤバイのか…………?

ミツレは深呼吸をすると、俺の方を見て


「魔力を感じるのがまだ慣れてない神崎さんには分からないと思いますが、あの男は今まで私たちがあってきた神の中で一番強いです。瑠紫さんと同等かそれ以上です。」


「え!? アイツが瑠紫さんと同等かそれ以上!?」


でも、アイツには瑠紫と初めてあった時のような殺気は感じない。


「私の記憶が正しければですけど、あの男は日本神王国の()()()の一人の月神、又の名をツクヨミです。」


ミツレが肩を震わせながら言う。俺にはイマイチ分からない。


「三極神ってなんなんだ?」


「三極神と言うのは簡単に言ったら日本神王国の最強の3人です。まさか、ツクヨミ自身が直接来るとは思いもしませんでした……………」


日本神王国最強の3人のうちの一人だと!? そんな相手に坂田は勝てるのか!?


またまた投稿です! 物語も面白いとこに行ってるので筆が進みます!

辛口アドバイスお願いします!

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