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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第2章 新たな日常!
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反撃

「先輩! 先輩! 返事してくれよおお!!」


「どうして…………! 貴方達は私たちの大切な人をいつも奪うんですか!」


俺とミツレの叫び声は虚しく、地獄と化した福岡の街に響く。


「ア゛ア゛ア゛ア゛!」


男は空に両手を掲げ、叫ぶ。機械音声で感情は分からないが、まるで勝利した時の雄叫びのようだ。


「絶対に許さねえ………! 俺がこの手でオマエはぶっ殺す! ヌアアアアア!!」


俺は痛みと怒りで震えが止まらない足を何とか両手で押さえ込み、立ち上がる。俺が立ち上がったのを後ろ目で見たミツレもフラフラと立ち上がる。


「ハァハァ……… 貴方はどういう気持ちで人を殺してるんですか? 貴方のせいで! 何人の未来を約束された人たちが死んだと思ってるんですかっ!」


後ろからだと分からないがミツレが男に叫んだその声は怒りと憎しみ、そして悲しみの感情が含まれていた。


「クッ………!」


ミツレの足取りが不安定になり倒れそうになる。何とか後ろから肩を組む感じで支える。


「神崎さん………」


「今の俺たちでアイツを殺せる確率はどのくらいだ?」


ミツレの左肩を支えながら聞いた。左肩からはジワリと血が滲んでいる。ミツレは目を伏せると、


「ゼロです。私の残りの魔力と神崎さんの残りの体力では、あの男を倒すことはできません。敗因としては飛炎の消費魔力量が分かっていなかった事と、斬った後に油断してしまった事ですかね………」


「そうか……… すまないなミツレ、俺があの時もう少し深く斬っていたらアイツを殺せたかもしれない。」


それを聞いたミツレは首を横に降る。


「神崎さんのせいではありません。私たちの未熟さか問題だったんです。貴方だけのせいではありませんよ。」


「ミツレ…………」


あ、身体の力が抜けていく。もう立っているのも限界だ。俺がクラっと倒れそうになると、ミツレが支えようとするがミツレも倒れてしまった。


正確に言ったら二人とも膝立ちをしている状態で、もう一歩も動けない。


「ガルルルルルルルルルルルル!!」


男が叫ぶながら先輩達の遺体を踏みつけ、こちらに向かう。

――――――ここで死ぬのか


俺とミツレが死を感じ、手を繋ごうとしたその瞬間、


「黒骨! 祿胡兪(ろっこつ)! 」


どこかで聞いた男前の野太い声。俺とミツレは両目を開ける。目の前に俺らを包み込むように人間の巨大な黒色の肋骨が現れた。その骨のおかげで俺とミツレは男のパンチをくらわずにすんだ。


「この暖かい魔力………!」


ミツレがそう言い、俺も振り返るとそこには黒色の動画に身を包んだ坂田と深い緑色のロングコートを着たドクさんがいた。


「二人とも、よく頑張った。さぁ、帰ろう。」


坂田はニコリと微笑むと、俺らの方に足を進める。ハッとして、後ろを向くと、男は坂田が出した肋骨に腕を絡まれて身動きができない。

ドクさんが片手を宙に掲げると身長が3メートルほどになった。巨大化したドクさんは俺とミツレを抱え上げると、肩に乗せた。


「ドクさん……………」


無口で感情が分からないドクさんだがこの時はいつもとは違う雰囲気だった。


「俊介、五右衛門、杏、凛、それと一年二組 二年二組のみんなも帰ろう。」


坂田はそう言うと手が挟まって動けない男の横を通り過ぎ、俊介と五右衛門の方に向かう。

いつもより3メートル上から見ているので坂田が小さく見えるが、その背中は静かな怒りが溢れ出ていた。


「ヌガアアアアアアア!!」


男は力技で無理やり坂田が出した骨を破壊して坂田の背中を殴ろうとする。その距離1メートルもない。


「坂田さんっ!!」


俺とミツレの叫び声よりも坂田が素早く反応し、


「うるせえなぁ! あまり調子に乗るなよ若造がぁ!」


坂田は振り向きざまに右手を黒骨で覆い、男の腹を殴る。その右手は男の腹を貫通した。


「ガアアアアアアア!!」


「お前はこの場で一番怒らせてはいけない相手を怒らせたな。アイツらの痛みは俺が何百倍にしてお前にぶつけてやるっ!」


坂田は右手を男の腹から引き抜くと、男を蹴り飛ばす。男は地面にうずくまったままだ。


「す、凄いです。ただの拳で腹を貫通させるなんて……これが大将の階級を持つ人の実力………!」


ミツレはドクさんの左肩にいるので、右肩にいる俺はミツレの表情を見ることは出来ないが声音から尊敬の意を感じた。


「ガアアアアアアアア!! キツロ エモ!!」


男は再び立ち上がると坂田の方に黒色の炎の玉を投げる。

しかし、坂田はそれを片手で男に吹き飛ばし、放った火球は男自身に命中する。


「ヌアアアアアアア!? ジルゥガギャラスアアアアア!!」


自分の炎が体に着いた男はそれを消そうと必死に地面に体を擦り付ける。

しかし、坂田は男の方に足を進め男の頭を右足で踏むと怒りがむき出しになった顔で、


「おい、まだ終わりじゃねーぞ?」


その坂田の一言で俺は背筋がゾッとした。味方のはずの坂田だが、坂田が放ったその一言は俺を恐怖へと叩き落とした。

さっきまで暴れまわっていた男の体は微かに震えている。





坂田のその姿は修羅そのものだった。

最近、更新度けっこう上がってきてると感じているKINOKOです。

これからもドシドシ投稿していくので辛口アドバイス待ってます!

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