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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第2章 新たな日常!
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飛炎

ミツレの両手から出された四つの青い炎の玉は俺の足首と両手に引っ付く。

そして、引っ付いた瞬間に足首についた炎の玉は獣の足の様な形に変化し、手に付いたのも獣のような手に変化した。どちらも俺の両足首と手首を包み込むようになっている。


「よし! 成功だなミツレ! 後は頼んだ!」


後ろにいるミツレの方を見る。ミツレはコクリと頷くと、


「分かりました。神崎さん、私の速さに付いてきてくださいね!」


そう言うとミツレは両手を俺の方に向ける。すると、俺の体は少しずつ浮いてきた。


「グアアアアアアア!!」


少しずつ浮いてきて無防備な俺を殺すチャンスだと思ったのか男は俺目掛けて高くジャンプする。

しかし、ミツレが


「では行きますっ! ハアア!!」


と両手に力を込めると俺の体は男よりも更に上空に上がる。


「行くぞ!ミツレ!」


「はい!」


「「飛炎!」」


俺とミツレが同時に唱えると両手両足にある炎で作られた獣の手足が光りだす。

それと、同時に物凄いスピードでついさっき着地した男の方に降下する。


「グッ! 凄いスピードだ…………!」


降下する時のスピードが凄すぎて皮膚が裂けそうだ。


「ガルアアア!!」


地上にいる男と目が合うと男は俺の足を掴もうと高くジャンプする。

しかし、


「左です!」


ミツレがそう言うと俺の体は左方向に急転換して男の攻撃をヒラリと避ける。


「ミツレ! 飛炎成功だ! 修行の時は上手くいかなかったけど遂にやったな!」


「そうですね! でも、今はこの男に集中しましょう! 次はこっちから攻めますよ!」


そう言うとミツレは不時着した男の方に俺を操作し、急降下する。

そう、この技は簡単に言ったらミツレが得意な魔力操作で俺を操作するというものだ。

男が起き上がるのよりも俺の上からの攻撃の方がもちろん速く左肩から右脇腹にかけて思いっきりぶった斬る。

上からの攻撃は威力が上乗せされやすくヤツの体は肩からボトリと落ちた。

男はピクリとも動かない。遂にやったか………?

俺は男が動かないのを確認し着地した。ミツレが俺の方に駆け寄ってきた。


「やりましたね神崎さん! 飛炎大成功です。」


「ああ! やっぱり上からの攻撃の方が威力が高いな。」


「さぁ、先輩たちをおぶって帰りましょう。」


ミツレがニコリと笑い、駆け足で先輩たちを隠している瓦礫の裏に行こうとした。

だが、その時目にも留まらぬ速さで何者かがミツレの横腹を思いっきり殴る。

殴り飛ばされたミツレは少し遠くにある電柱に叩きつけられて膝から崩れ落ちる。ミツレは立ち上がらない。


「ど、どうしてだ! なんなんだよお前は! 俺が真っ二つに斬ったはずだろ!!」


そう、ミツレを殴り飛ばした犯人はさっき俺が斬ったはずの男だ。コイツは俺たちが倒したと安心しきったその瞬間に奇襲をかけたのだ。


「グルアギィ? ウガチウガチイイイイイイ!!」


「こんのイカレヤロウがああ!!!」


鞘から刀を抜き、男が立っている方に走る。男はそれに気づくと先程のように突進してくる。

この突進は何回くらったと思ってやがる。それぐらい左に避ければ


「ギャガアアアアアア!!」


左に避けようとしたが男は急に突進を止め、俺の腹を蹴る。


「グハァ! コイツ、学習してや」


「ガアアアアア!!」


よろめいた俺を男は頭を掴み、ミツレがぶつかった電柱まで投げる。

電柱にゴスッと鈍い音を立てて当たり地面に横這いになる。右上にはミツレが倒れている。


「体が動かない……………! チクショオ!」


「か………んざ………きさん………?」


右上に倒れているミツレが小刻みに震えながら喋る。しかし、こちらに向こうと体を動かそうとするがミツレの体も言うことを聞かないので向くことができない。


「ミツレ無事だったか。残りの魔力を全部使っても良いから、ここから先輩たちを連れて逃げろ!」


俺はもう動けない。ミツレと先輩たちにはまだ生きて欲しい。俺一人の命でこれ以上の命を失わないならば安いものだ。


「何を言ってるんですか神崎さん。 私はあなたを置いて逃げるような真似はしません。それと、残念ながら今の私には逃げるほどの魔力は残っていませんし、あの男は逃してくれないでしょう。」


「ミツレ…………」


ミツレの魔力も無い。本当に俺たちはここで死んでしまうのか? いやだ、まだ死にたくない………!


「グルルルルルルル ガガガガガガガガガ!!」


この掠れた機械音声は………!頭を少しだけ上げて上を見てみる。ボヤッと視界のその先にゆっくりとした足取りでこちらに近づいてくる悪魔の姿が見えた。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア! ロキツエモオオオオ!!」


男の右手に黒い炎が集まってきた。禍々しい炎はどんどん大きくなる。


「神崎さん……………」


「ミツレ………………」


ここが俺の墓場か。ゴメンな仁、お前との約束果たせなかった。

今まで俺に関わってきた人たち本当にごめんなさい。ここで俺は死ぬみたいだ。


「ったくよお。お前らがそんなに活躍してたら俺たちの影が薄れちまうだろうがよ!」


「そうだぜえええ!! 次の世代に繋ぐのが先輩の役割なのにお前らが奪うんじゃねえぜえええ!」


この安心する野太い声の持ち主は俊介と五右衛門だ。倒れている俺とミツレの前に二人は肩を組んで立っている。

その前には男がいて今にも炎を放ちそうだ。


「何やってるんすか! 逃げてください!」


「私たちの事なんて置いて行ってくださいよ!」


俺とミツレは動けない体で二人のズボンの裾を掴む。しかし、振りほどかれ二人は後ろを振り向く。


「最後ぐらいカッコつけさせてくれや。」


「坂田さん達にはよろしく頼むゼエ。」


「戻ってきてください! お願いします!」


二人はそう言うと、炎を放つ寸前の男の方に、足取りがおぼつかないが肩を組みながら走っていく。


「ガアアアアア!」


「せんぱああああい!!」


男はそれに気づくと炎を発射した。凄まじい爆風と熱気で俺とミツレは吹き飛ばされそうになる。

砂煙が収まり顔を上げると変わり果てた二人の姿が目に映り込んだ。

二人の英雄は静かに地面に倒れた。体の大部分の皮膚が焼け落ち、髪は燃え尽き、二人は死んだ。


「うわああああああああ!!」


俺とミツレに絶望の雨が襲いかかる。

下手くそです!

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