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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第2章 新たな日常!
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異形

なんなんだコイツは……… あの時会ったリザードの雰囲気とは違う。もっと禍々しくてコイツには感情があるかのように見える。


「ウガ、チチチチチチチチチチ!!! ガウ!ガウガルアアアアアア!!!」


リザードは叫びながら俺の方に突進してきた。ある程度距離があったので左にかわす。そのままリザードは瓦礫に突進した。瓦礫の損傷はひどく、コイツの攻撃力が凄まじい事が分かる。しかし、攻撃パターンは単調だ。


「おっと、危ねぇ! 破壊力は凄いが頭はイカれてやがるな

。早急に倒さないとめんどくさそうだ。三の力! 」


三の力を発動し右手にナイフを呼び出す。三の力を起動したのと同時に瓦礫の中からリザードが出てきた。出てきた瞬間を見極め、リザードに思いっきりぶん投げる。

投げたナイフはリザードの目の前の地面に突き刺さる。


「遠隔起動!」


剣を鞘から抜いた状態で遠隔起動し、今度こそリザードの間合いに入った。急に瞬間移動した俺にはリザードは反応できなくて、右腕に全ての力を込めてヤツの胴体を真っ二つにした。

リザードはもう一度瓦礫に吹き飛ばされる。しかし、なんだこの妙な感触は。同じソウルハンターのタートルの首を斬った時とはまるで違うこの感覚。例えるならば生物を斬ったような感触だ………

ふと、俺は斬る時に使った自分の刀を見てみた。すると、そこには真っ赤な血がベッタリて刃に塗りたくられていた。


「うわ!? リザードを斬ったはずなのに血が付いてる! ミツレ!リザードは機械じゃないのか?」


先輩の手当てをしているミツレの方に向かって叫ぶ。ミツレは、


「おかしいですね。通常のリザードならば自立思考型のロボットの様な物ですから斬ったり壊したりしても血などは出ないはずな、神崎さん!! 後ろ!!」


ミツレは続きを言おうとしたが急に俺の後ろを指差した。振り向いたその瞬間、俺の右頬に強い衝撃が走る。思いっきり吹き飛ばされ、地面に倒れる。


「ま、まさか! 俺は胴体を真っ二つに断ち切ったはずだ! それなのにどうして!しかも、アイツの姿………!」


「そんな! こんな事聞いた事ありません! ()()()()()()()()()()()なんて!」


俺の右頬を殴って吹き飛ばしたのはリザードではなく、俺と一緒ぐらいの背の高さで中肉中背の男だった。リザードの時の胴体の部分は全て無くなり頭部にだけリザードの顔が残っていてヘルメットのようだ。腰にボロボロの黒い布切れを履いているだけで、ほぼ全裸の状態だ。


「ドジデェ、ボジガトコナンコジダヌナアアアアアアア!!!」


男はそう叫ぶと、また俺の方に突進してくる。急いで立ち上がり刀を鞘から抜きヤツの首を斬ろうとする。


「今度こそ首を………! 何!?」


右手で俺の刀の刃を男は素手で握りしめ、刀を握っている俺ごと宙に放り上げる。宙に放り上げられた俺は格好の的だ。

俺を放り上げるのと同時にヤツは宙高くジャンプし、下から俺の下腹部をアッパーするように殴る。


「ゴファ!! しまった!」


下腹部を殴られた衝撃で刀を落としてしまう。まずい、空中戦で武器無しはあまりにも不利すぎる。

不利な状況になったとしても男には慈愛の心はなく、今度は俺の右足を掴み、空中から地面に叩きつける。


「や、やばい! このままじゃ死」


しかし、刀という戦いにおいての生命線を失った俺にはヤツに抗う事は出来ず、頭を掴まれ何度も何度も地面に叩き続けられる。

そうか、道中あった顔の判別が出来ない死体はコイツのせいか………!

ヤバイ、意識が遠のいてきた………………

ずっと頭を地面に打ち続けられて意識が遠のいている俺の耳に声が入ってきた。


「神崎さん!思い出してください! 瑠紫さん達が私たちに修行をつけてくれた時に言ってた事を!」


そうだ、俺はこんなとこで死ぬわけにはいかない! まずは残された先輩たちを生きて帰してから俺は仁との約束を守るんだ!


「ヌアアアアアアアアア!! 」


「ギグアアアアアアアアアアアアアアア!!」


後頭部を掴まれていて馬乗り状態で頭を打ち付けられていた俺だったが右足のかかとでヤツの後頭部を蹴った。

ヤツが怯んで押さえ込む力が弱くなった瞬間を突いて窮地から脱出した。

脱出した先にさっき落とした刀があったので拾う。遠くに落ちてなくて本当に良かった。


ヤツはゆっくりと立ち上がるとまた叫びだす。しかし、様子が変だ。さっきよりも雰囲気が禍々しくなっている。


「デジウドドドド ボジ ナデン グルアアアアア!!」


「神崎さん! 気をつけてください! 嫌な予感がします。」


「ああ、分かっている! そっちはどうだ?」


ミツレが俺の事を心配してくれているが俺は先輩たちの方が心配だ。


「止血は終わりました! 後は骨折した部分の応急処置です。」


「分かった。時間稼ぎは任せろ!」


ヤツは足を踏み切るとまた突進してきた。学習能力がコイツにはないのか? まるで野獣だ!


「そんな獣みたいな攻撃じゃ俺には当たらないぞ!」


突進を避けて、ヤツの右腕を根本から斬り落とす。


「ガアアアアアアア!? グギィ ニジャアアアア!!」


右腕が無くなった部分を抑えながら叫び、崩れ落ちる。

今だ! トドメを!


「コレで終わりだあああ!! 一の力! 霊炎!」


霊炎を纏った刀で崩れ落ちたヤツの背後から斬りかかる。しかし、ヤツは振り向きざまに残った左手で刀の刃を掴む。

まずい、この体制はさっきと一緒だ!


「二回も同じことさせるかよ! ハァァ!」


ヤツの利き手が右腕だったからか握る力があまりなかったので少し強引だが、刀を掴んでた左手を縦に裂いた。


「イジッ!? ナルルガギャアママァギルァァァァ!」


左手の大部分を裂かれた事に驚いたのかヤツは刃にかけていた手を離す。


「まだだああ!!」


今にも崩れ落ちそうな左手で掴んできそうになったが俺の刀の斬撃の方が速く、左手を斬り落とした。


「ザジャルルルル デンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナデンナ テシウドテシウドテシウドテシウドテシウド!!ボジ モニンナアアアアアアア!!」


思わず耳を塞ぎたくなるような爆音の枯れた機械音声でヤツは叫ぶ。悲鳴のようなその異形な声は辺り一面に響く。


「トドメだ。」


この時、俺は完全に油断してたのかもしれない。崩れ落ちて俺に背を向けて叫んでいるコイツを完全に殺れると思ってたのだ。

刀の刃を首元に当て、横一直線に切ろうとした瞬間、


「ナ゛ニ゛モ゛シ゛テ゛ナ゛イ゛!」


ヤツは機械音声でそう言うと首を90度曲げて振り向き、刀を口で咥えて俺ごと吹き飛ばす。

あまり強くは吹き飛ばされなかったので着地には成功した。

てか、今確かにコイツ、ちゃんとして言葉で()()()()()()()って………


「ナガワ ハ チクグカ ヤギヅググズルアアア!!」


「なんだ!? アイツの周りが黒色のモヤ、いや!アレは黒い炎!?」


ヤツを包んだモヤのような物はドス暗い炎で熱気を帯びていてこちらにも伝わってくる。


「あの炎は………!」


「ミツレ! 手当て終わったのか!」


隣にミツレが駆けつけてきた。


「はい、先輩たちを応急処置した後、先輩たちは瓦礫の影に隠しました。」


「そうか、ありがとう。で、あの黒い炎について知ってるのか?」


さっきボソッと言ってたミツレの言葉が気にかかったので聞いてみた。ミツレは頷くと、


「アレは伝承の中に伝わる全てを焼き尽くす黒き炎です。本当に実在してたなんて……… ともあれ、伝承が正しければ全てを焼き尽くす炎です、気をつけていきましょう。」


「ああ、でも俺がかなり深手を負わせたから俺らの方が有利だ! あの黒い炎が治ったらアレで一気に畳み掛けるぞ!」


「分かりました。あ、炎が小さくなってきました! 準備をしてください。」


「りょーかい!」


刀を鞘から出し、いつでも斬りかかれるように待ち構える。

炎は少しずつ小さくなり、ついに完全に炎が消えてヤツが再び姿を現した。

しかし、その姿は俺とミツレを絶望のドン底に叩き落とすものだった。


「な、なんでだよ! 俺はあの時確かに両腕を斬り落としたはずだ!」


ヤツの両腕は完全に元どおりになっていたのだ。それだけではなく、少しの切り傷なども癒えており戦う前と同じ状態だ。


「どうやら、体だけではないようですね。失ったはずの魔力までも完全に復活してます!」


「そんな…………」





「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!! ボジルギェアアアアアアア!!!!」



下手くそです! 辛口アドバイス待ってます!

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