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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第2章 新たな日常!
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最後の一日は福岡へ

今日は東京神対策局で過ごす最後の朝だ。俺とミツレはここで一週間、修行兼お手伝いをしていた。

朝早く起きてする事は対策局全体の掃除、それと対策局で働いている春馬、瑠紫、安室、銀崎の仕事の準備などだった。瑠紫と始めて会った時にいた平川と酒井は出張中だと銀崎から聞いたが会いたかったな・・・・

夕方までは掃除や夕飯の買い出しなどの家事ばかりだったが、それ以降は1時間ほど春馬以外の3人が一人で俺とミツレの稽古をつけていた。

この最終日まで結局、俺とミツレが力を合わせても3人の誰にも勝てなかった。春馬は3人のうち一人にでも勝てたら稽古つけてやるって言ってたが今回は無理そうだ。


「よし! うじうじ考えてないでそろそろ起きるか!」


昨晩、春馬から


「明日はお前達に少し手伝って欲しい事があるから外出用の服に着替えといてくれ」


と言われていたのでダメージジーンズを履き、Tシャツを着てコートを羽織る。


「今日は最終日だ。悔いがないように過ごすぞ!」


俺が自分に言い聞かせていると、コンコンとドアを叩く音が聞こえた。


「神崎さーん、下で本局の人が待ってますよ」


「分かったー 今行くよ」


ドアを開けると外出用の服を着たミツレが立っていた。グレーニットワンピースを身につけ茶色のチェスターコートを羽織っていて、ここに来た時と同じ格好だ。


「そういえば本局の人ってどういう事だ?」


「さぁ、私にも分かりません。とりあえず早く下に行きましょう。」


「そうだな。」


俺とミツレは少し急ぎ足で下の階へと階段で降りる。一階に着くとカウンター席に春馬とスーツを着た中年の痩せ型でメガネをかけた男がいた。

春馬は俺たちに気づくと、


「来たか、お前たちの最後の任務だ。」


俺とミツレは春馬の横に並ぶ。中年の男は俺とミツレに握手を求めてきた。


「はじめまして、神崎君に九尾(つづらお)さん。僕は本局で事務をしている西園寺という者だ。君たちには少し協力してもらいたいんだ。」


少し萎れた手を握手し、西園寺という男は微笑んだ。


「西園寺さんは本局の重要書類を管理している方だ。二人の活躍によっては対策局での評判も上がるかもな。」


なにー!? この大人しそうなオッさんが対策局での重鎮かよ!?


「神谷君、やめてくださいよ〜 この子達が大義を成したとしても僕は何もできませんよ。」


西園寺はゴホンと咳払いをしてから俺とミツレを見て、


「二人には今から九州地方の福岡県に行ってもらう。現在、神校の生徒や職員と軍の人たちが九州地方で行方不明者捜索や清掃活動をしていてね、それの手伝いをしてもらいたいんだ。対策局で働いている人たちは九州地方の大規模な神襲撃で全世界に広まってしまった()という存在へのメディアや一般から苦情や質問が相次いでいてね、今はそっちの対処に忙しくて人員不足なんだ。やってくれるかな?」


九州という単語を聞くとどうしても、あの時の光景が脳裏によぎる。己の無力さを知り大切な物や人をたくさん失った場所の事を…………!


「神崎さん……… 顔が暗いですよ。」


ミツレが不安そうな顔で俺を見る。目線が合い、ハッとした。そうだ、俺は何のためにこの1週間特訓してきたんだ? この1週間だけじゃない。今の俺には坂田さんや先輩たち、東京神対策局の人たちから沢山の事を教わったことが頭に詰まっている。昔の俺とは段違いのはずだ! クヨクヨするのは終わりだ。


「大丈夫だ、ミツレ。分かりました西園寺さん、その任務やらせてください!」


春馬と西園寺は少し驚いた顔で、


「悠真、無理しなくてもいいんだぞ? まだ1週間少ししか経ってないんだ。無茶は禁物だ。」


「その通りだ神崎くん、元帥からの任務とはいえ断ってもいいと元帥も言っていたからな無理はしなくても誰も文句は言わないよ。」


心配してくれたが、一度決めた事は曲げはしない。


「さすが神崎さんです。私もその任務承ります。」


横でミツレがニコッと笑い、俺を見る。やはりこの表情に俺は弱い。


「よし、分かったよ早速準備しよう。神谷くん、神崎くんの例の力使った方がいいのかな?」


西園寺はポンと手を叩き、春馬の方を見る。春馬はコクリと頷くと、


「そうですね、経験を積んだ方が良いと思いますし良いと思いますよ。元帥から市街での契約魔力使用の許可はあるんですか?」


「うん、市街での許可なら神崎くんだけオッケーしてもらったんだ。」


「それなら問題ないですね。二人とも、無理せずに頑張れよ」


西園寺との話が終わり、春馬は俺とミツレの肩をポンと叩く。

この人から優しい言葉をかけられたら落ち着くな。


「はい! 行ってきます!」


「行ってきます。」


「じゃ、二人とも外に行こっか。」


春馬に分かれを告げ、俺とミツレは西園寺の後に続く。

西園寺は店の外に出ていきなり止まった。


「そういえば福岡までどうやって行くんですか? 東京からだとかなり遠いですよね……」


ミツレが首をかしげる。たしかにそうだ、東京から福岡だと飛行機を使うにしろ、新幹線を使うにしてもかなりの時間がかかる。


「そこで、神崎くんの出番なわけですよ!」


西園寺は俺の方をビシッと指差す。いきなり指差さされたので反射的にビクッとなる。


「お、俺っすか? なんかありましたっけ。」


「あ! そういう事ですか! 神崎さん、三の力ですよ!」


今度はミツレが俺の方をビシッと指差す。


「なるほど、俺の契約魔力でひとっ飛びっていうわけか。1週間の特訓の成果でだいぶコツも掴めたし試すには絶好の機会ですね。」


「そうと決まったら頼んだよ!」


西園寺は俺の背中に左手を当てる。それを見てミツレは右手を当てる。


「よし、いきますよ!契約起動!からの五の力!」


俺の前身が眩い光に一瞬包まれる。光が治ると俺は契約起動後の新撰組のような羽織と黒い着物姿になる。

視界には五の力によってスナイパーライフルで見ているような感じになる。


「場所は福岡県 北九州市の獄羅(ごぐら)区で頼むよ。そこにボランティア本部があるはずだ。」


西園寺から言われ、頭の中で念じる。すると、腕のあげる角度や投げる方向や力量が出てきた。更に凄いのはボランティア本部までの正確な角度が出てきた事だ。やはり、この力には謎が多いな。


「よし、腕の角度を調整してっと…… 次は三の力起動!」


五の力を解除すると視界が元どおりになる。腕を上げている右手には三の力のナイフが握り締められている。


「じゃ、いきますよ! うおおおおりゃああああ!!」


五の力で調節した角度をズラさないように注意して思いっきりナイフをぶん投げる。


「よし、そろそろ着いたはずだ。遠隔起動っ!」


一瞬にして大都会の景色が、まるで大災害が起きたかのような景色に変わる。

目の前には白いテントが横一列に並んでいてスーツを着た人たちが作業をしていた。

どうやら、ここが西園寺が言っていたボランティア本部ってやつに間違いはなさそうだ。


「よし、契約解除!」


また、眩い光に一瞬包まれる。光が消えると契約起動する前の服装に戻る。


「本当にありがとう神崎くん! 君のおかげで早く着けたよ。」


「いやいや、大丈夫ですよ。」


「じゃ、早速二人に頼みたい仕事を…………」


西園寺が俺とミツレに任務の説明をしようとした瞬間、空一面が暗くなり、勾玉のような模様が空に沢山現れる。


「嘘だろ!? コレってまさか!」


「神です! 神が来ます!」


ボランティア本部にいる沢山の人たちもザワザワして、どこかに電話をかけたりしている。

クソ! なんで来るんだよ!!


「おい! 九州の外と連絡は取れたか?」


西園寺は本部に駆け込み、部下らしき女に聞く。俺とミツレも西園寺の後を走って追う。しかし、女は首を横に振り、


「ダメです! 電話をかけようにしても全然繋がりません! しかも………」


女はギリっと歯ぎしりをする。なんか嫌な予感がする。


「どうしたんだ? ほかに問題があるのか? 」


「あの時と同じようにバリアが張られました。外の助けが来るのはあの時の比ではありません!」


嘘だろ? またバリアが張られた!? あれはオシリスが持ってた杖じゃないとできないのではないのか!


「クソ! 今は活動してる者を九州の各県にある支部に集合させるように呼びかけるんだ!九州内だったら無線は通じるはずだ。」


「は、はい! 今すぐ連絡を呼びかけ……」


女がパソコンで各県の支部に連絡を出そうとして瞬間、空に広がる数多の勾玉が一斉に光だし、光のシャワーが地面目掛けて降ってくる。

本部には降ってこないがあの時と一緒ならリザードなどの奴らが降りたはずだ!


「やはり始まりましたか………!」


「西園寺さん! 俺たちも戦ってきていいですか? ここでジッとしてるのだけは嫌です!」


「もちろん、君たちにも対処してもらう。ん? アレはなんだ?」


一際大きな勾玉が北の空にポツンと一つだけ残っている。

しかし、何も起こらない。


「あんなのに気にしてる場合じゃないな。総員、神の襲撃だ! 対策局の隊員が来るまで対処せよ!」


西園寺は女からマイクを取り上げ、大声で叫ぶ。どうやら、今ので九州内の全支部に伝わったみたいだ。


「あ! さっきの勾玉が光ってます!」


ミツレが指差す方向を見ると、一際大きな勾玉は黒く輝き、一瞬強く光ったと思ったら地面目掛けて黒いモヤのような物を纏いながら落ちた。

その時の落ちた衝撃でかなり離れているはずのここまで風圧が届く。


「あれはなんだ? 黒いモヤのような物があったぞ。」


「私にも分かりません。あんなの始めて見ました。」


俺とミツレが話していると、


「おい待てよ。あの黒いやつ尋常じゃないぐらいの魔力だ! 神の中でもかなり上位のクラスかもしれない! しかも、落ちた場所が………」


西園寺は俺とミツレを見ると言いずらそうにした。しかし、決心したのか深呼吸して、


「謎の黒いモヤは神高の一年二組と二年二組がボランティア活動してるとこに落ちた。つまり、千葉神対策局の学生がいるところだ…………!」

下手くそです! 辛口アドバイスお願いします!

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