親友
「お前ら神は、どうしてワシら人間を、攫うぜよ?」
仁が、オシリスに向かって言う。オシリスは、眉間にシワを寄せながら、杖をペン回しをするかのようにクルクルと回している。
「それは、言えないなぁ。まぁ、言うならば、君たち人間は僕たちの生活に必要不可欠な物なんだよ。」
「必要不可欠ってやつはソウルって奴の事か?」
俺の言葉に驚いたのか、オシリスは目を丸くする。
「え!? ソウルの事まで知ってるの!?」
俺は頷き、もうひとつ疑問に思っている事を聞いてみた。まだ、こいつの機嫌が良いうちに聞いて、色々と情報が欲しいからだ。
「コイツの母さんが殺された時に、近くにいたトカゲが言ってたクロっていうのはなんだ?」
仁が言ってたクロと言うものが気になったので聞いてみる。それを聞いたオシリスは、顔から笑顔が消え失せて、隣にいるトカゲを睨み付ける。
「おい、まさかとは思うが、ソウル回収せずに殺したのか?」
左隣にいるトカゲにオシリスは尋ねる。
「ワカリマセン。ワタシデハナイデス。シラベテミマショウカ?」
「ああ、頼む。」
左隣のトカゲの目が青色に光りだし、右手を空に上げる。オシリスは、イライラしているのか、頭を抑えている。
逃げるなら今しかない! 俺と仁は、目を合わせる。
「今なら逃げれるんじゃないか?」
「逃げるチャンスぜよ!」
「よし!逃げるぞ! チャンスは今しかない!」
俺と仁が逃げようとした。だが、オシリスはそんなに甘いやつではなかった。
「逃がさないよ!」
オシリスが、俺らに気づく。オシリスが、指パッチンをすると、俺らの頭上にピラミッドの模様が3つ出て来た。
その模様は、光りだし、そこから2体のトカゲが出てきた。その後に現れた一体は、トカゲというには太めで、2メートルぐらいの大きさをしておりカエルの様な見た目をしている。
俺と仁は、二体のトカゲに捕まってしまった。両手を掴まれてしまって、宙にぶらりと浮いている状態だ。
「オシリスサマ。シラベオワリマシタ。コロシタノハNo.1230デス。ヨビマスカ?」
オシリスは、ため息をつき頭を上げる。何か、まずいことでも起きたのか?
「ああ、呼んでくれ。」
すると、トカゲの頭上にピラミッドの模様がひとつ出てきて、一体のトカゲが降りてきた。そのトカゲは、オシリスの前でひざまずく。
「オヨビデショウカ、オシリスサマ。」
オシリスは、杖の先から紫色の光を出し、紫色の光を球にして、右手にのせる。
「No.1230だったか? お前、ソウル回収せずに殺したのか? おい!」
すると、No.1230と言われたトカゲは明らかに動揺している。
「タシカニコロシタノハジジツデス。デモ、ソノカワリニ、ホカノヤツヲソウルニシテ、カイシュウシマシタ」
「そうか…………… 回収したのか。でも、ひとつ無駄にしたよな?」
オシリスは、再び笑顔になるが、目は怒っている。トカゲは、何かを勘付いたのか後ずさりをする。
「イヤ、シカシタクサンソウルヲカイシュウシマシタ………………」
オシリスは、ゆっくりとトカゲに近く。オシリスからは、俺でも分かるぐらいの明確な殺意を感じる。
「お前は、処分だな。」
そう言うと右手に紫色の光る球を持ったまま、それをトカゲの腹部に捻じ込む。
「くらえ。冥喰球!」
するも、トカゲは腹部からポロポロとまるでクラッカーのように崩れていき、球に吸い込まれていく。
「ガガガガガガガガガ…………………ナゼ………………デスカ?」
崩れていくトカゲを見下ろしながらオシリスは、
「理由? そうだな、お前が役立たずのゴミ以下だからだ! ひとつのソウルも無駄にするなとあのお方から言われているのによぉ!」
「オシリスサマ、モウイチド、モウイチド、チャンスヲクダサイ……………ガガガガガガガガガガガガガガガ…………………… 」
「うるせぇよ。代わりなんていくらでも作れるんだよ。」
目の前のトカゲが、全て吸い込まれると球はフッと消えた。
「さてと、ゴミも処理したし、それでは目的の続きをしようかな。」
オシリスは、穏やかな口調に戻り、そして満面の笑みでこちらに向かってくる。
「じゃ、オレンジ君を降ろしてくれ。」
オシリスは、杖を仁を掴んでいるトカゲに向ける。命令されたトカゲは、仁を地面に下ろす。
「え? 助けてくれるぜよ?」
何故、下ろしたのだ? 俺らは、このまま殺されるかと思っていたのだがな。
「うーん、少し違うなぁ。」
「じゃあ! 悠真も降ろしてくれ!」
仁、俺の方を向き指差してオシリスに言う。だが、オシリスは急に真顔になると、
「それは、無理だ。そっちの子はいらないからソウルにするんだ。でも、その前に君のオレンジを強くするために少し使うけどね。」
何か含みのある言い方だな。コイツ、一体何を……………?
「どういうことぜよ?」
オシリスは、フッと笑う。こういうサイコパスみたいなやつが笑う時はロクでもないから、嫌な予感しかしない。
「こういう事だよ!」
オシリスは、俺に杖の先を向ける。やはりだ、嫌な予感は的中した!
「おい! やめるぜよ!」
俺の体中から冷や汗が出る。オシリスの杖の先から、紫色の光線が発射される。
俺は、反射的に目を瞑ってしまい、今までの人生が走馬灯によって振り返られる。
そういえば、仁との決着はまだついていないな。短い人生だが、色々なことがあったな…………………
しかし、もう一度目を開ける事ができた。つまり、死んでいないということだ。
だが、それは親友を犠牲にしてでのことだった。
「仁……………? おい!」
「おお、悠真大丈夫ぜよ?」
仁は、平然と俺の前に立っていた。だが、左腕は肩から地に落ちていた。肩からは、ボタボタと血が溢れ、骨が剥き出しになっている。
「お前、大丈夫っておかしいだろ! 左腕が……………………!」
「少し痛いけど大丈夫ぜよ。」
甲高い笑い声が聞こえた。この場で笑う奴は一人しかいない、オシリスだ。
「素晴らしい! 素晴らしいよ! オレンジのソウルがどんどん強くなっているよ!」
なんで、コイツは笑ってるんだよ! 狂ってやがる……………!
「さあ、続きといこうか!」
そして、再びオシリスは杖を俺たちの方に向ける。まだ、地獄は始まったばかりのようだ。
下手クソです!
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