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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第2章 新たな日常!
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キャラ崩壊

「おいおい、服を掴むなよ。年増の加齢臭が若者の鮮度の良い匂い付きのスーツに付くだろうが。離せよ。」


春馬は胸元を掴んできた瑠紫の右手を振りほどく。


「てか、春馬! さっきから年増年増言ってるけど私、25だからね!? これで年増だったら全国の年増はどうなるの!」


年増年増言われてたのがよっぽど嫌らしく瑠紫が春馬に反論する。

この2人の会話には入る隙がない。俺とミツレは店の入り口で奥の席を眺める事しか出来ない。


「いやいや、お前は特殊だろ。実年齢は……」


「ストーーーップ! 待って! それ以上言わないで。私のダイヤモンドメンタルが崩壊するわ。公共の場では勘弁して。」


瑠紫が右手で春馬の口を抑える。春馬は何かを言おうとしたが瑠紫の圧倒的圧力により目を伏せる。


「分かった。年齢の事は言わない。その代わり、フルーツパフェよりチョコパフェ様の方が上って事を認めろよ?」


仏頂面で瑠紫を春馬は見つめる。この人は本当に表情が変わらない。()()が考えている事は分からないな。

その仏頂面の男を瑠紫はもう一度、胸ぐらを掴むと


「それとこれは別じゃあああ! 」


瑠紫の渾身のツッコミがパフェ店内に鳴り響く。それでも特に気にしてない店内を見ると、やはりこの光景が日常なのかと思ってしまう。


「今です! 神崎さん、瑠紫さんのとこに行きましょう!」


ミツレが急に喋り出した。春馬と瑠紫の会話をずっと聴いてたから急に横で喋り出すとビックリする。


「いやー、さすがにこの空気はマズイんじゃないか? アホな俺でも流石に分かるぞ。」


「神崎 悠馬、キュウビ、お前らが話している事は俺の耳では聞こえてるぞ。そんなに気を使わなくていいからコッチに来い。さぁ、早く。」


この鋭い声は……! 俺らを呼ぶ声がした方向を見てみると春馬は真顔でこちらを見ている。一方の瑠紫はパフェに夢中で気づいていない。


「マジかよ……奥の席からここまで10メートルはあるぞ。しかも、このざわついた店内の中で俺たちの会話を聞けるのか!?」


「見た感じ契約起動してないようですし、なんなんですかね。あの人、本当に人間ですか?」


「おい、二人とも聞こえてると言っているだろ。俺は風邪をひいてるんだ。あまり大声を出させるな」


どうやら本当に聞こえてるらしい。俺とミツレは急ぎ足で狭い店内の中を進み、1番奥の春馬達が座っている席に着く。

俺らに気を使ってくれたのか春馬は瑠紫の横に座っている。


「さ、座ってくれ。君たちとは話がしてみたかったんだ。元帥からの話しか聞いてないから、もう少し君たちの事を詳しく知りたい。」


春馬にそう言われ、俺とミツレは


「は、はぁ失礼します。」


「……失礼します。」


俺は瑠紫が目の前になるように奥に座る。ミツレと瑠紫はさすがにアカンだろと思ったからだ。

座る瞬間に瑠紫と目が合ったが、瑠紫は視線をそらす。


「堅苦しいのは嫌いだ。まずは自己紹介から行こう。俺の名前は神谷 春馬。年齢は22歳で東京神対策局の隊長だ。今は山口神対策局の手伝いをしている。よろしく、2人とも。」


春馬は自己紹介をすると俺とミツレに左手を差し伸ばす。まずはミツレと握手する。その次に俺と握手した。

握手をして初めてこの人の顔を近くで見たが若いな。

てか、堅苦しいのは嫌いと言っているけど、この人が堅苦しいんだよなぁ……


「ブフォッ! 春馬、堅苦しいって言われてやんの。最強最強言われてるけど表情では対策局内、いや世界中で最弱なんじゃないの! 」


瑠紫が握手が終わった瞬間に吹き出した。

そうか! この人は人の心の中を見ることができるって事を忘れていた!

あー、ヤベェなと思い、瑠紫の方を見てた視線を春馬に戻す。

春馬の顔は真顔だ。


「何が表情が最弱だ。ほら、今全力のツッコミ顔でお前にツッコミを入れてるぞ。」


しかし、春馬の表情は変わらない。


「いや! 全然変わってないから! アハハハハハ!!」


瑠紫はツボにはまったのか机をバンバン叩きながら笑っている。


「このバカはほっといて次は君の自己紹介だ。」


春馬は少し咳払いをし、ミツレの方を手で示す。




「あ、はい! 分かりました。私はキュウビです。神崎さんと契約し二つ名を頂きました。二つ名は九尾 ミツレです。よろしくおねがいします。」


ミツレは少し堅苦しいが自己紹介をした。何故かは知らないが俺のズボンの裾をギュッと左手で握っている。

緊張してるのかな。


「二つ名があったとは、すまないキュウビと呼んでしまった。一週間、よろしくなミツレ。」


春馬は少し申し訳なさそうに頬を掻く。


「いやいや! 二つ名を頂いたのは昨日ですし、神谷さんが知らないのは仕方がないですよ」


「そうか。じゃ、次は君だ悠馬。自己紹介頼むぞ」


春馬からジーッと見られて緊張するが俺は自己紹介をするとしよう。

瑠紫は笑いすぎて顔を伏せたままプルプル震えてる。どれだけツボだったんだ……


「うす! 俺の名前は神崎 悠馬です。契約したばかりですが一週間よろしくおねがいします!」


春馬は少しだけ頬を緩ませた。笑ってるのか?


「悠馬は凄いな。少し前に悲惨な思いをしたのにもう笑顔だ。メンタルは最強かもな。」


最強から最強と言われて少し照れていると不意に、


「何が最強メンタルだか…… 心の奥底では憎しみしかないくせに。そのドス黒いソウルがこっちにも伝わってくるよ」


もう笑いのツボから抜け出したのか瑠紫が俺に言う。さっきまでは笑顔だったが急にクズを見るような顔になっている。


「おい、お前のせいで昨日、問題を起こしたんだろうが。お前の願いを聞いて坂田さんに無理言って一週間、ミツレと悠真を貸してもらったんだ。お前が言うべき事はそんなしょうもない事じゃないだろ。」


俺が何も言えないのを庇ってくれたのか春馬が瑠紫に文句を言う。

それを言われた瑠紫は少し申し訳なさそうな顔をすると俺とミツレに向かって、


「その……悪かったわよ。昨日はタートル1人でぶっ殺してアドレナリン出まくってたし修とも会えたから調子に乗ってしまったわ。そんな時に神に対して人一倍憎い思いを抱いている君たちと出会ってしまって少しちょっかいをかけたら君たちの我慢してた心を決壊させてしまったわ。昨日は酷いこと言ってごめんなさい。」


瑠紫は頭を下げる。昨日の暴君ぶりを披露してた瑠紫とは別物のようだ。

すると、ミツレが


「顔を上げてください瑠紫さん。私だってあなたが言われて嫌な事を言ってしまいましたしお互いさまですよ。」


俺も続き、


「そうですよ。ずっと謝りたいって思ってたのは俺ですよ。汚い言葉使ったし刀を向けました。俺だってごめんなさいですよ。」


瑠紫は顔を上げるとパアアと笑顔になると、


「本当っ!? 許してくれるの? じゃあ、お詫びと言っては変だけど一週間みっちりシゴいてやるからね。」


ちょっと待ってくれ。キャラ崩壊が激しい。こんな光みたいな笑顔向けられても困るんだけど!?


「あ、それと勝手に心覗いてゴメンね。私、心を見たいと念じながら相手の目を見ると、相手が考えていることを盗み聞き出来るんだけど、もう勝手に心を覗かないからそれも許してね」


瑠紫は舌をペロっと出すと俺とミツレに謝る。謝罪してから急に軽くなったな……


「そういう仕組みだったんですか。別に対して気にしてないですよ。ねぇ、神崎さん」


「うん、そんなに気にしてないから謝らなくてもいいですよ。」


「良かった〜 やっと心が軽くなった〜 じゃ、早く行こうよ春馬!」


パフェ代を払いに席を立っていて春馬が戻ってきた。ていうか、いつ行ってたんだ!? 瑠紫との話に夢中すぎて気づかなかった……


「ああ、勿論だ。さぁ、早く行くぞ」


春馬の横を瑠紫が歩き、ついて行くように俺とミツレは並んでる歩く。

店を出て、隣の駐車場に停めておいた高級そうな黒光りした外車に乗る。

もちろん、俺とミツレは後ろの席だ。

以外だったのが運転してるのが瑠紫だということだ。てっきり春馬が運転するかと思っていた。

助手席に座った春馬が、


「おいおい、お前が運転するのかよ。お前の運転に初めての悠馬とミツレがいるのに大丈夫か?」


心配そうにしている春馬を瑠紫は自信満々な顔で、


「大丈夫に決まってるでしょ! さ、早く行くわよ!」


その瞬間、もの凄い勢いで車が発進する。


「ぬおおおお!? 速え! 神谷さん! この速度大丈夫何ですか!?」


「し、心配するな。ギリギリ速度は守っている。こうなった瑠紫は誰にも止められない。覚悟しろ二人とも。」


坂田が引きつった顔で後部席を向く。


「か、神崎さん、私もうダメです……」


ミツレがバタリと窓に体を預けるように倒れる。気絶している。


「ミツレーーー!! 」


「ヒャッハァ! まだまだ飛ばすよ!!」


瑠紫は更に加速する。あ、これヤバイやつですやん。死ぬやつですやん。

下手くそですっ!

辛口アドバイス待ってます!!

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