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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第2章 新たな日常!
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パフェ屋という名の決戦地?

「ええ!? 俺から? 先に頂戴って言ってきたんだからミツレが俺に先にあげるのが普通だろ!」


ヤバイ。このままだとペースが完全にミツレに持ってかれてしまう。このままだとダメだっ! 例えば俺がミツレに自分の箸で目玉焼きを切り分け、アーンをすると………


「なにやってるんですか、神崎さん。私の炎の灰になりたいのですか?」


って言われるだろぉ!! いや、箸で切り分けるのではなく俺の皿ごとミツレに渡し、自分で切り分けてくれって言ったら………


「あら、神崎さん、間接キスとか気になされてるんですか? 所詮はただのヘタレ童貞でしたか。私の炎の灰になってください。」


ぬおおおおおお!! もっとダメだ! 俺のメンタル的にコレは1番ツライぞ!? いや、俺は童貞じゃないから。うん、童貞じゃないから! 嘘です、童貞です。って、心の中で更に何言ってるんだ俺は!


「おーい、お前ら早く食えよー。予定より早く動かないと相手が相手だから早く行こうぜ。いや、俺が瑠紫のこと怖がってるわけではないからな!」


俺が頭の中で目玉焼き理論を説いてる時に坂田の鋭い声が耳に入ってきた。


「あ、すいません! 今からすぐに食べます。神崎さん、目玉焼きはまた今度くださいね?」


そう言うとミツレはソース目玉焼きをササッと口に入れ皿を重ね炊事場にいる紅葉に渡す。

とりあえず助かったな。俺も食べてしまおう。口に掻き込み、皿を重ねロビーの奥の炊事場にいる紅葉に渡す。


「お粗末様でした。それと神崎くん、瑠紫さんのとこに1週間お世話になるから着替えと歯ブラシとかの生理用品も荷造りして部屋に置いておいたから。くれぐれも迷惑をかけないように! 分かった?」


おいおい、アンタは俺の母ちゃんか!って言いたくなったが今の俺にとってはこの人が母ちゃんみたいなもんだ。そんな事言えるほどの身分の俺では無い。


「ありがとうございます。先輩たちにもよろしく言っといてください」


俺なりの感謝の言葉だ。この人には失礼な態度ばっかりとってたからな。謝罪の意を込めて丁寧に言っておこうと思ったのだ。


「キモっ! あ、ゴメン。頭で考えるよりも口が先に出ちゃった。あなたらしくないわね。たったの1週間みんなと離れるだけなのに寂しいのかしら? あなたもまだまだお子ちゃまね」


俺の全身全霊の言葉が真っ向からキショっ!という言葉で否定され、更にお子ちゃまというエンチャントまでしてやがる。この人は………本当に!


「な!? そんな反応されるとは思ってなかったっすよ! あー、もういいや! 一週間後たくましくなって帰ってくるんで楽しみにしててくださいね!」


「それでいいのよ。なんか元気なさそうだったから気にかけてたけど心配無用ね。」


「ん? 今何か言いましたか? 聞こえなかったんでもう一度オボロッシャア!?」


よく聞こえなかったので振り返り、もう一度聞こうとしたがそれを遮るが如く腹に紅葉の飛び蹴りが炸裂した。


「何するんか! やっぱりただのクソロリ野郎じゃないっすか!」


「ああ!? なんだとクソガキ! こっちはさっきまで片付けしてたから洗いたての包丁があるわよ? 今のあなたで私は止めれるかしら!?」


「くそッ! 今回は見逃してやる! 一週間後ケリつけましょうね!!」


刺される寸前になったので炊事場の暖簾をくぐり急いで自分の部屋に通ずる階段を駆け上がる。ミツレの姿が無いのを見るとアイツはもう部屋の中で準備中だろう。

俺も急がなくてはと思い自分の部屋の前にダッシュで行く。ロリ野郎に鍵を預けたので鍵穴に鍵が刺さったままでロックがかかっていない。ドアを開け自分の部屋に入る。

部屋に入ると先輩達から貰ったプレゼント一式と大きめの黒いボストンバッグがある。そのボストンバックにはメモが貼り付けられており、書いたのはロリ野郎だ。メモの内容は、


「神崎くんへ。リュックには普段着のTシャツと歯磨き、タオルを入れてあります。今日着替える分はリュックの上に置いときます。新品の靴は玄関に置いてあります。ボストンバックの中には、あなた達は寝巻きが無いので浴衣を3着とバスタオル2枚を入れてあります。くれぐれも無茶をしないように。 紅葉より」


相変わらず女子力というか嫁力が高いな。本当に感謝しきれないな。

浴衣を脱ぎ、黒上から貰った白で真ん中にDSERUと赤でプリントされた長袖Tシャツに袖を通す。うん、やはりサイズはピッタリだ。

次は五右衛門から貰ったダメージジーンズを手に取り、履いてみる。ダメージジーンズは初めて履くが悪くない。ピタッと足に張り付いてスタイルも良く見える。

そして、五右衛門のもう一つのプレゼントであるパーカーをシャツの上から袖を通す。前は開けといた方が俺の好みだ。

さて、リュックを背負って坂田のとこに行くかと思ったが机からポロリと何かが3つ落ちる。広いあげてみるとそれは新品の靴下だった。


「ん? この靴下はなんだ? あ、そういう事か…… ありがとう女将さん。」


新品の靴下3セットには、またもやメモが付いておりプレゼントと一枚目のメモと同じ字で書かれていた。

シンプルな黒い靴下を履き、残りの白と赤の靴下はリュックに放り込む。

リュックを背負い、部屋を後にする。部屋を出たらミツレが壁にもたれかかって俺を待っていた。


「あ、神崎さん! やっと来ましたか。ったく、遅いですよ。」


ミツレは美香から貰ったグレーニットワンピースを身につけ茶色のチェスターコートを羽織っていた。

結城から貰ったリュックを背負い、肩には俺と同じボストンバッグをかけている。

改めて思うがミツレって美人だよな……


「神崎さんの新しい衣装、とても似合ってますよ。」


ミツレがニコッと笑い俺の体を下から上へと見る。


「ミツレこそ、とっても似合ってるぞ。」


「ふふ、ありがとうこざいます。」


ミツレは少し照れたのか頰が赤くなる。


「じゃ、坂田さんが待ってるから行こうぜ。」


「そうですね。早く行きましょう。」


俺とミツレは早足で階段を降りる。重いボストンバッグのせいで上手く歩けない。

一階に着くと坂田の姿はなく紅葉の姿だけがあった。降りて来た俺とミツレを見ると、


「坂田さんなら車で対策局の前で車を出して待ってるわ。二人とも気をつけてね。」


「ありがとうこざいます。じゃ、行ってきますね。」


「あざっす! 対決は一週間後に!」


箒を片手に持った紅葉に手を振り別れを伝え、俺たちは玄関へと向かう。

分かりやすいように昨日貰った靴が置いてある。俊介から貰った靴を履き、引き戸を開ける。

庭を抜けると坂田の大型車があった。


「お! 来たか。さぁ、早く乗れ。」


坂田は車の窓を自動で開け俺たちに乗るように指示をする。

シートベルトを付けたのを確認すると車のエンジン音が車内に響く。


「目的地は昨日ワープした港だ。そこから渋谷まで悠真の力から行けるはずだ。頼んだぞ、悠真。」


坂田がチラッと俺を見る。俺は坂田の目を見て頷く。


「任せてください! 」


少し車を走らせると昨日の港に着いた。千葉対策局から近いこの港は車から降りると潮風で俺たちを歓迎してくれた。


「じゃ、悠馬頼んだ。」


「分かりました! 契約起動!!」


眩い光に身を一瞬包まれ霊具を身に纏う。


「五の力!俺に力を貸してくれ!!」


右手の紋様が光り、俺の視界は昨日と一緒だ。頭で渋谷をイメージする。渋谷という名前だけで座標、ナイフを投げる角度など色々出てきた。それに従い手の角度を調整する。一致度100パーセントの文字が視界に大きく表示されたのを確認した。よし! 次は……


「三の力起動! 坂田さん、ミツレ俺に触れてください。」


ナイフを持った右手は動かさずに左手を後ろにいる坂田とミツレに差し伸ばす。

ミツレは握ったが坂田は握らない。何故だ?


「悪いが渋谷には俺は行かない。東北で仕事があってな。今日の夕方から行かなきゃならねぇ。あと、アイツらは一週間泊まり込みで九州地方の行方不明者捜索とゴミ拾いだ。」


最後のアイツらってのは先輩達だろう。坂田は東北で仕事なのか。忙しいな。


「そうですか。一週間後また皆んなでワイワイご飯食べましょうね!」


俺の左手を握ったミツレが坂田に言う。坂田はそれに、うんうんと頷く。


「行ってこいお前ら。この一週間はお前たちにとって貴重な体験になるだろう。」


「うす! 行ってきます!」


「はい!また一週間後に!」


俺はナイフを思いっきりぶん投げる。30秒ほど待ち、後ろにいる坂田に俺とミツレは手を振り別れを告げた。


「遠隔起動っ!!」


一瞬にして渋谷の例のパフェ屋の前にワープする。反射神経と言うのだろうか、すぐさま契約解除し契約起動前の服装に戻る。

派手に着飾れたパフェ屋の扉を開ける。そこはとても騒がしい世界だった。目の前にいま金髪の女の店員に瑠紫さんの事を聞いてみよう。


「あのー、天使さんっての居ますか? その人に呼ばれたんすけど。」


「ああ、瑠紫さんが言ってた子たちね。奥にいるわよ。あの騒がしい人たち。」


クスクスと店員は笑うと自分の作業をするべくスタッフルームに消えた。

人一倍騒がしい奥の方を見るとそこには紫色の天パ混じりのロングヘアーの女とスーツを着た爽やかイケメンがいた。


「アレですね…… なんか口論してますね。」


「ああ、こっちまで聞こえてくるよ……」


その喧嘩の内容が、


「はぁ!? 春馬チョコパフェ派!? 頭オカシイんじゃないの? パフェは王道のフルーツパフェ!これ一択でしょ!」


瑠紫は机をバン!と叩き、春馬と呼ばれた男を睨む。その瑠紫に対して男はため息をつき、


「瑠紫、お前は何も分かってないな。やはり、年増には最近の若者御用達のチョコパフェ様の素晴らしさが分かんないか。そんなんだからすぐキレるんだよ。」


「と、年増っ!? このクソガキイイイイ!」


瑠紫は春馬の胸ぐらを掴む。しかし、周りは止めもしない。まるでいつもの光景を見ているとでもいったとこか。


「あのー、神崎さん多分私と思ってる事が一緒と思うんですが同時に言いませんか?」


真顔のミツレが俺の顔を見て言う。俺は無言で頷き、ミツレと言うタイミングを合わせ目を見合う。


「メッチャ行きにくいんだけど!!」


ここまで俺とミツレが思ってる事が一緒な事があるか!?

マジで行きにくいんだけど!?




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