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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第2章 新たな日常!
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混乱を呼ぶ目玉焼き

「ここはどこだ? 」


いや、この流れも正直飽きて来たと思っているだろう諸君。いや、でもさ急に目の前が真っ暗になってみてよ! 第一声は「ここはどこだ?」になるはずだから!


「ったくよぉ! アンタは一体何者なんだ? 俺が良い感じにウトウトしたら現れてよぉ! なに? 人の眠りを妨げる悪魔かなんかですか?おーい!」


前みたいなら真っ暗になったらヤツから話しかけてきたはずだが話しかけてこない。仕方がないので読んでみた。俺だって早く戻りてぇし。


「さすがに3回も精神世界に呼んだら人間というものは慣れるものなのか。まぁ、呼んだのは暇つぶしとかではない。お前の契約者についてだ」


コイツ、どこまで知ってるんだ? そういえば瑠紫の事も知っていたしどこから俺を監視している?


「そんな怖い目で見るな、小僧。我はいつでもお前を見ておる。瑠紫? ああ、ルシファーの事か。アイツは有名人だからな。人間界の連中以外は誰でも知っておるわ。」


相変わらず俺の視界は真っ暗だ。立っている感覚もないし正直気持ち悪い。


「おい、お前は一体何者なんだ? 神の事も知っているし人間界以外の世界がある事も知っている。お前、人間か?」


コイツが何を考えているのかが分からない。俺の心も読まれている感じがする。


「ほぅ…… 心を読まれていた事をやった気がついたか。我の精神世界に居る間は何人も我の前では心に思っている事が筒抜けだ。」


やはりか! てか、上手く話を逸らされた気がする。


「おっと、すまない。話をそらす気は無かったんだがな。その質問に関してはいずれ分かる。明日にでもな。」


「そうか。お前の前で何を考えても意味がないって事が分かった以上、変な企みは出来ねぇな。」


「そう、それでいい。では、我からの質問に答えてくれ」


コイツから俺に質問? いつもは俺が一方的にしていたがコイツからは初めてか?


「お前の契約者、キュウビ名を改め 九尾ミツレについてなのだがお前」


「まて! ミツレを巻き込むな!」


心で思うよりも先に言葉が出てしまった。ミツレを巻き込むのはゴメンだ。


「そんな怖い顔をするなと何回も言わせるなクソガキ。我はその気になればミツレとやらを精神世界に呼べるぞ?我に対して言葉遣いは考えた方がいいと思うぞ小僧っ!」


とても低い声音だが威圧感がある。そしてコイツが声を荒げた時の衝撃で俺は吹き飛ばされてしまった。


「グハッ!! いってぇ! 何すんだ」


「まだ、分からんかクソガキ。我に対して言葉遣いを考えろと言っておるのだ!」


ここで反論しても俺に得はない。最悪、コイツが言っている事が本当だとしたらミツレを巻き込んでしまう。それだけは絶対に嫌だ。ここは素直に謝るか。


「すまないな。ミツレだけは巻き込まないであげてくれ。アイツは命の恩人なんだ。」


「なかなか冷静な判断だ。判断力があるヤツは嫌いじゃない。しかし、時間がきたか。我は失礼する。じゃあな小僧。」


「ちょ!おい! まだお前の質問が……!」









「神崎さーん! 9時になりましたよ! 起きてくださーい!」


ミツレの声とドアをドンドンと叩く音で目覚める。アイツは本当に何者なんだ?


「悪りぃ! 今、起きた!」


扉を開けるとミツレがいた。コイツも寝起きなはずなのにピシッとしている。対して俺は寝起きで髪がボサボサだ。


「神崎さん、女の子の前では身だしなみに気をつけてくださいね?」


キュウビが少しムッと顔をしかめて俺を指差す。とりあえず、手洗い場に行くか。部屋を出て階段に向かい突き当たりに細長い手洗い場がある。学校とかにあるヤツと一緒だ。


「悪りぃ悪りぃ、ほらタオル持ってきたし顔洗うから今回は許してくれや。」


「まったく、今回だけですよ?」


「へいへい」


ミツレと並んで歩き手洗い場に着く。キュウビはもう顔を洗ったらしく俺の隣で待っている。

蛇口をひねり水を出す。冬の水道水ってのは冷たいな。体の芯まで寒くなるぜ。

両手で水を溜め顔を近づける。顔に水を付けるとリセットされたみたいで心地が良い。


「ふぅ……スッキリしたぜ。」


「もう、朝ごはんが出来ているらしいです。さぁ、行きましょ」


「おう。今日の朝飯はなんだろな。あのロリさんが作る飯ってウメェんだよな〜」


「紅葉さんの事、悪く言って怒られても知りませんよ? 私たちの家事全般をやってくださってるんですから。」


ミツレが心配そうな眼差しで見てくる。フフフ、悪口を言う時は周りを確認するのが常識だぜ? ミツレちゃん。見渡した感じではこの階にはいない事は分かってる。


「面白い冗談を言うのですね。神崎くん」


この声は……いや!俺は周りを確認したはずだ!


「ったく、階段からたまたま見ちゃったのはあなたの運が悪かったわね。あなたのパンツに唐辛子でも擦りつけておこうかしら。もちろん、股間部分にね」


階段!?まさか! 俺は恐る恐る左に視界をやり下の階に続く階段を覗き込む。すると、そこには紅葉がいた。


「あ、ははははは! も、紅葉さん! 今日はいい天気ですね! 」


「神崎さん、はぐらかしかたが適当です。」


「今回ばかりは一週間の特訓があるから免除してあげるわ。あなたたち、早く朝ご飯食べてしまいなさい。部屋の鍵は私に預けて。身支度は私がしてあげるわ。それと、死なないでね。」


身支度を紅葉がしてくるってとこまでは聞こえたがそのあとははっきり聞こえなかった。


「女将さん? 最後なんて言いました?」


俺は聞こえなかったので質問する。ミツレに視線を送るが首を横に振った。ミツレも聞こえなかったらしい。


「う、うるさいっ! 早く私に鍵を貸して!」


顔を真っ赤にした紅葉が階段を駆け上がり俺とミツレの手から鍵を素早く回収して部屋の方へ走って行く。


「なんだったんだ。アイツ。」


「またアイツとか言って! でも、私にも分かりません」


「ま、早くご飯食えって言ってたし下に行くか。」


「そうですね。」


階段を下り一階に着いた。先輩達はさすがにいないか。いるのはソファに座ってニュースを見ているスーツ姿の坂田だけだ。


「おう、悠馬、ミツレおはよう。昨日は9時発と言っていたがあの後、瑠紫から連絡があってな。12時にパフェ屋なんとか集合になったんだ。ミツレに伝達を任せたが上手く伝わったようでよかった。」


「分かりました。で、10時発っすか?」


「ああ、10時にはここを出たいな。また、お前の力を頼る事になるがそれでもいいか? 一応、疲れたから無理と言われた時用に新幹線の時間も調べておいてこの時間帯にしたんだが、さすがに昨日の疲れがあるか? 無理はしなくていいぞ。」


「いえいえ、全然余裕っすよ! だいたいの座標も昨日分かったし行けます!」


千里眼を使うと視界の端っこに座標とかナイフを投げる高さとかが出るのだが、まだ調整が必要だ。それにこの能力についても分かって起きたいしな。


「俺自身もこの契約魔力をまだ全然使いこなしてないし練習ついでにどんどん能力使いたいんで俺からもお願いしたいです。」


「そうか。くれぐれも無理なしないでくれよ。さぁ、早く朝ご飯を冷めないうちに食べろ」


坂田に言われた通りソファの前にあるテーブルの上にある目玉焼きと味噌汁、ご飯にかかっているラップを外す。

まだ、出来立てなのだろう。ラップに湯気で出来た水滴が付いている。


「神崎さん、食べましょう? 」


「ああ、そうだな。いただきます!」


「いただきます。」


ミツレの横に座りまずは味噌汁から飲む。具材は豆腐とワカメ、それに厚揚げだ。優しい味わいで身体中に染み渡る。


「味噌汁美味しいですね〜! 妖獣界の料理はコッチの世界と似ていて私が住んでいる地域では洋食がメインでしたが和食は初めて食べました。話には聞いてたけど優しい味わいです。」


「それな! やっぱり朝は和食に限るぜ。」


味噌汁をズズッと飲み干したので次に目玉焼きを食べるとしよう。

テーブルにはソース、醤油、塩胡椒がある。ちなみに俺は醤油派だ。醤油差しを手に取り目玉焼きの上に3滴落とす。かけすぎは厳禁だからな。

横目にミツレの目玉焼きを見てみる。ミツレはソース派らしい。俺の敵だな。

てか、ミツレは三角食べか。まんべんなく料理が減っている。それに比べ俺は一皿ずつ片していく派だ。

まぁ、そんな事よりも目玉焼きを食べよう。

まずは白身のカケラを本体から箸で切り崩す。醤油を絡めて口に放り込む。噛めば噛むほど白身の淡白な味わいが口いっぱいに広がる。次に黄身を箸で崩す。

千葉神対策局は黄身に完全に火を通す派か。俺も硬い方が大好きだ。黄身にも醤油を絡め、口に放り込む。白身とは違う濃厚な旨味が口に広がる。


「神崎さんは醤油派ですか。私はソース派なんですけど醤油の目玉焼き一口くれませんか? あ、もちろん私のソースの目玉焼きも一口あげますよ。」


突然の一口どうぞで目玉焼きを完食して温かいお茶を飲んでたがそれが吹き出しそうになった。

これはどうゆう事だ!? 俺を試してるのか? さすがにアーンはないだろう。

しかし、ミツレの目玉焼きから切り崩すにしてもどちらかの箸は必ず目玉焼きに付く。つまり、間接キスじゃないかっ! 似たような事が昨日もあったけどコイツは俺を弄んでするのか? それともただの天然なのか?


「お、おう。それは良い考えだ。キュウビのから一口くれないか?」


どうだっ! これでお前から目玉焼きをどんな風に渡すか分かる! つまり、ミツレと同じ渡し方をすれば決して引かれる事はない。


「ん? どうした? ミツレ? 一口くれよ。」


ミツレの様子がおかしい。俺が何か悪いことしたか?


「私のこと、キュウビって呼びましたね……いや、別にいいんですよ? でも、神崎さんからはミツレの方が嬉しいなぁ」


「え? ああ! すまねぇ! 悪気はなかったんだ。なんか素で出るのはキュウビなんだよな。今度から意識するから許してくれないか?」


「いやいや! 全然怒ってないんですけど神崎さんからはミツレって呼ばれたいんです。って、何恥ずかしい事言わせてるんですか! あー、もう怒りました。神崎さんの目玉焼きから一口ください!」


や、やらかしたぁ!! てか、なんで俺が怒られてるんだ!? どうする俺っ!



辛口アドバイス待ってます!

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