まさかの・・・・
「確かに綺麗な夕日っすね・・・・それにしてもルシ・・・・じゃなくて瑠紫さんはなんでキュウビにあんなに反応したんですかね」
タバコに火をつけ煙をふかしていた坂田はタバコを船の端っこに押し当てて火を消すと、
「ああ、その事なんだが言うタイミングを逃してな。実はルシファーこと瑠紫は神を辞めた身なんだ。命は俺たち人間と同じように1つしかないんだ。それに契約起動しないと本来の力を出せないんだ。本来の力って言っても現役である神の時よりは劣ってるけどな。まぁ、簡単に言ったら幼獣界の人たちと同じような感じだな」
神を辞めた?それってどういう事なんだ。んー、よく分からんが俺はアイツの事は好きにはなれない。人の心を弄び感情的にさせて最後は相手をいたぶる。やっぱりアイツは・・・・!
「私が”ルシファー”って言ってから魔力が2倍近く増大しましたしね・・・・やはり過去に何かあったんですか?」
キュウビは船長を起こしてさっき起きた事を話し、納得してもらい船を再発進させてもらったので俺の隣に座る。
さすがのキュウビでもビビってたルシファーってやっぱり強かったんだな。そんな格上の相手に攻撃を仕掛けれたキュウビはやっぱりすごいな。
キュウビの問いに坂田は鼻の頭を掻き、
「うーん、俺も詳しくは知らんが昔は人間界にスパイとして来ていたらしい。まぁ、なんやかんやで春馬に会ってその後に俺と会ったぐらいしか俺には分からんな」
春馬ってアイツか!確か今日会ったような気がするな。ん?なんでアイツの名前が出てくるんだ。
「そうですか・・・・それにしても瑠紫さんって誰と契約してるんですか?あんな人と相性抜群で契約出来る人なんて、この世にいるんでしょうか・・・・」
「ああ、それならお前らも今朝会ったアイツだよ。神谷 春馬が瑠紫の契約者だ。」
俺は坂田の発言に唖然とした。ええ!?あの人が? あんなクールビューティーイケメンがあのルシファーを!?人は見かけによらないんだな・・・・
どうやら驚いたのは俺だけではないらしくキュウビも驚いており、
「ホントですか!?あの人が瑠紫さんの契約者・・・・確かに最強の名が相応しいですね」
「確かに相応しいかもな。アイツは確かに強くなった・・・・」
そう言った坂田は少し寂しそうに夕日を見つめている。坂田のこういう横顔はあまり見たくない。
少し、しんみりした感じになってしまい無言のまま30分が過ぎた。
その時、俺の視界が不意に変わった。そこは真っ暗などこかだった。
この感じどこかで・・・・!
「おい、小僧。どうだったか? ルシファーと闘ってみて何かを得たか? しかしまぁ、闘ってるというよりは一方的にボコられてたがな。こんなヤツの物になるとは我もついてないな。」
この威圧感のある低い声はどこかで聞いた事がある・・・・!
声の主は後ろにいる事がハッキリ分かる。しかし、振り向いたとしても部屋は真っ暗だから姿は見えないだろう。
「お前は一体何者なんだ!前にも一度こんな事があった気がするんだ」
俺の問いに対して声の主はフッと鼻で笑うと、
「ああ、前にも一度お前を精神世界に連れてきたな。何者なんだという問いに対しては、お前の所有物とでも答えておこう。まぁ、我を楽しませてくれよ!小僧」
声の主はそう言うと気配を消した。何も無い無の空間が3秒ほど続き、誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた。
「神崎さん!神崎さん!起きてください 着きましたよ」
ゆっくりと体を起こすとキュウビと坂田は帰りの準備をしている。
変な体勢で寝てたせいか体が硬い。立ち上がり船長に一礼した後に船を出ようとする。
すると坂田が、
「悠真、ついでに生簀の中にいるドクさんも回収してやってくれ。ドクさん、激しく動く系は酔う人だから安静にさせてあるんだ」
最初は、何言ってんだこの人はと疑心暗鬼になりつつも船の中央の底にあるフタを開けてみる。ギィーという錆びれた音と共にフタが開く。
そこには生簀の水の上にプカプカと浮かぶ10センチぐらいのドクさんがいた。
俺はそっとドクさんを救い船から飛び降りる。
ドクさんは陸地に着くと俺の手から飛び降り元の180センチメートルの高身長に戻る。
ドクさんも元の大きさに戻ったので俺らは横一列に並び夕日をバックに歩く。
ここは今朝も来た港で駐車場には坂田の車が停めてある。
坂田が運転席に座り助手席にはドクさんが座る。俺とキュウビは後部席に座る。
朝早くから活動してたせいなのか瑠紫のせいなのか知らないが4人とも疲れており車を発進させてから五分ほどの間は沈黙が続いた。
さすがに俺も疲れたのでウトウトしてきたら坂田の携帯に電話がかかってきた。
トゥルルルという音が車内に響き眼が覚める。
坂田はスマホに来た電話の相手を確かめる。その瞬間、なんともいえない表情になった。苦虫を噛み潰したような感じだ。
「坂田さん?どうしたんすか?電話なってますよ」
「あ、ああ出るよ」
坂田は深呼吸をすると電話に出る。
「どうした瑠紫。ああ、さっきの事は心配するな。アイツらもお前の事情を話しておいた。じゃ、ん? ええ!? おいおい、お前それはいくらなんでも・・・・はい、すいませんでした。分かった、明日の朝に東京の渋谷だな。はいはい、それじゃ明日の朝9時な」
瑠紫という名に俺とキュウビはビクッと反応してしまう。
なんか嫌な予感がするな・・・・
「坂田さん、何かあったんですか?電話の相手は瑠紫さん・・・・ですよね?」
キュウビがそう聞くと坂田は深いため息をつき、車を走らせる。
どうやら千葉神対策局についたようだ。車を駐車場に止め俺が降りると坂田は口を開いた。
「言いにくいんだが、お前ら2人には1週間特別訓練を受けてもらう。本来は神高に入学して隊員にならないといけないんだが、個別の使命となれば仕方がない。使命相手は瑠紫と春馬だ。2人は明日の朝9時に渋谷のパフェドリームという店の前で集合らしい。大変だと思うが頑張ってくれ」
ええ!?おいおい!さっきまで半殺し合いをしてた相手からの直々の指名ってそれってヤバいやつですやん!
生きて帰れるのかな・・・・
下手くそです!アドバイスオナシャス!




