強くなりたい
「いや〜、また君と会えるとは!嬉しいよ!」
オシリスは昨日と同じように黒いローブを身に纏い縦長いコックのような赤い帽子を被っている。
「この!クソ野郎が!!」
俺がこの言葉を発した時はもうオシリスの間合いの中にいた。いつでも切れる。刀をオシリスの喉元に突き刺そうとする。
しかし、それは出来なかった。俺が切るよりもオシリスの蹴りの方が早く腹に衝撃がはしる。
「グホォ・・・・!ん?痛くない・・・・何故だ?」
俺は蹴られた自分の腹を見てみる。すると、蹴られた部位は青色に光っており俺の視界にある黄色のバーが少し減っている。
「今は、痛みゼロの公式マッチように調整してあります。あの、オシリスもあなたの記憶の中から採取した物です。それを、人工知能を使いオシリスの性格を完全再現したのです。では、ご武運を」
そうか、なんとなく分かった。この黄色のバーは俺の体力で、あのオシリスは偽物っていう事か。
俺が起き上がるのを見るとオシリスは歩み寄ってきた。俺と10メートルぐらいの距離になるとオシリスが杖を構えた。
「また君には痛い思いを味わせないとね!!」
オシリスの杖から紫の光が発射される。くそ!避けきれない!
「グハア!!ッ!残り体力が4番の1は切ったな・・・・やるしかねえな!」
刀に力を込めて
「一の力!エンチャント、霊炎!!」
刀に青い炎を纏わせる。オシリスももう一度杖を構えた。
「勝負はここで決めるっ!はああああ!!」
オシリスの杖から発車される光を刀で弾きどんどん近づいていく。いける!あいつをたおせる!
「ぬぅ!?人間の分際で生意気な!くらえ!蠍刺し!!」
そう言うとオシリスは高く跳ね上がり光を鞭のようにしならせて焦点を合わし俺の方に鋭く飛んできた。
「三の力起動!ウオオオオオ!!」
反射的に言い超次元瞬間移動ナイフをオシリスの方に強く投げる。投げた直後に遠隔起動しオシリスの後ろ上空50メートルぐらいのとこに飛ばされた。
「お前の背後もらったあ!!」
俺は遠隔起動した直後に落ちる前にオシリスの首を断ち切ろうとする。
「クッ!まずい!!」
しかし、いざ切ろうとすると手が止まってしまった。何故切らなかったのかを考えさせてくれるほどオシリスは甘くなく、カカト落としを思いっきり頭にくらう。俺はそのまま上空から地面に叩きつけられる。
俺の視界が真っ暗になる。何も見えない。
視界がもと通りになると俺はカプセルの中にいた。カプセルの蓋が開き光が入ってくる。
俺はフラつきながらもなんとか立ち上がりカプセルから出る。
「お疲れ様です。はい、オレンジジュースなるものです。どうぞ」
九尾の声が聞こえ振り向こうとすると頰にヒヤッとした感じの物があたる。
「冷た!なんだ九尾か。おどかすなよ」
俺はオレンジジュースを受け取り喉に流し込む。オレンジの丁度良い酸味が心地良い。
一気に飲み干して近くのゴミ箱に缶を捨てる。
「お、悠真も終わったか。どうだったかお前ら?何か得たものはあったか?」
坂田が部屋に入って来た。片手に新聞を持っていてとてもリラックスしているようだ。
「坂田さん!俺が得たものって言われても・・・・うーん、課題ばっかりっす。まだまだ俺は契約したばかりで、きっと真の力を使いきれていないと思います。こんなんじゃ神相手には到底無理です」
坂田は近くの椅子に座りタバコに火をつける。
「坂田さん。ここ禁煙です」
南田の眼光が強く突き刺さる。ギクッとしたのか坂田はタバコを揉み消す。
「そうか、まぁ課題があるのはいい事だ。で、九尾はどうだった?」
坂田は九尾に視線を移す。
「私も神崎さんと同じです。まだまだ無力です」
「しかし、あなたが最も後悔した場所にいた相手がアレだなんて思いませんでした。これは貴重なサンプルです。こちらからもありがとうございます」
南田の声が入る。九尾は一瞬だけ暗い表情になったが一礼した。
「アレ?とはなんなんだ?九尾」
坂田が問いかける。
「北欧神王国の現国王と言われているオーディーンです。人類で戦った者は今の所いませんね。」
坂田の目がカッと開く。よほどの事らしいが俺にはよく分からん・・・・
「オーディーン・・・・姿はまだ明らかになっていないがヤツの手下が言うには国王で神世界の中でも大国だとしかは分からんが、そんな奴と一戦交えてたのか九尾。」
「はい、しかし一戦交えてたのは私の親で私を逃がす為に命を落としました・・・・」
「そうか・・・・すまない、そんなつもりはなかった」
坂田が謝るが九尾は首を横に振り、
「謝る事はないですよ。過ぎた事ですし、それに神高に受かったら神を倒す術を学べる。それから、好きなだけ復讐できるのですから。今、ここでクヨクヨしてても何も変わりません。」
こいつはきっと幼い時に両親を亡くしたんだな・・・・それなのに、こんなに強い心を持っている。凄いなぁ、それに比べて俺は・・・・
「そうそう、お前らが仮想現実の中にいる間になオシリスの杖の解析が終わったって、ぬらりひょんさんから連絡があったんだ。じゃ、元帥室に行くぞか。あ、南田さん、ありがとうございました」
南田は一礼して奥の机に向かう。
「もう解析終わったんすか?何か得たものはあったんですかね?」
坂田はうーむと唸ると
「それは、着いてからしか分からんな。俺も終わったから来いとしか聞いてないしなぁ」
坂田は新聞をゴミ箱に捨て部屋を出る。俺らもその後に続き来た時と同じようにエレベーターに向かう。
50階のボタンを押してエレベーターに乗る。まだ、少し仮想現実のせいで頭がクラクラして気持ち悪い。
「そうだ九尾、オーディーンってどんな奴なんだ?手応えはあったか?」
俺はシーンとしているこの空間を何とかしないといけないという謎の使命感があったので聞いてみた。
「そうですね・・・・顔は分かりませんが全身に青い甲冑を付けていて身長は2メートル前後の大男ですね。そして手には極槍 グングニルを持っています。手応えは・・・・残念ながら私が幼い時に遭遇して親が死んでしまう間までしか見てませんし・・・・それに、仮想現実でも一撃で屠られて視界が真っ暗になりました。まぁ、さすが神の王って思いますね」
九尾は悔しそうな顔をする。あの九尾が一撃でやられるほどの奴とは・・・・ ったく神の王ってのは強過ぎだな。
「そうか、九尾が一撃で・・・・それは強過ぎだな」
「それはそうと悠真、お前いつまで契約してるんだ?ずっと刀を腰に刺して。装備は無いみたいだが、刀だけを残す事とかも出来るのか?」
坂田が急に聞いて来たので驚いたが答えた。
「いや、今は契約を外してるっすよ。なんか、コレずっと消えなくて困ってるんすよね。あ、でもコレがないと契約出来ないんですよ。」
俺がそう言い坂田と九尾のほうを振り返ると
「え?なんすか?その顔。九尾もどーしたんだ?そんなヤバイ物を見た時みたいな顔しやがって。どーした?」
坂田と九尾が震えている。一体どーしたんだ。
「ま、まさかお前、それって・・・・7聖剣か!?うっそだろ!?確かにそうか!7聖剣なら契約後も消えないようになってるらしいが・・・・まさかの悠真が!?持ってるのか!?」
ダンディな顔の坂田が崩壊している。なんか、ヤバそう・・・・
「あー!!思い出しました!」
九尾の大きな声が耳に突き刺さる。
「うお!?ビックリした!?」
「そういえば神崎さん、ずっとその刀持ってたような・・・・まさか、神崎さんに限って7聖剣は絶対ないだろって思っていて視界に入っても気にしない感じになっていましたぁ!」
九尾も慌てている。ヤバイ、2人ともテンションがおかしいからエレベーターがぐらついてる。おいおい、50階まで持つのか!?
「ふぅ、落ち着け落ち着け・・・・じゃ、悠真それの」
「ピンポロン〜」
どうやら、50階に着いたらしい。俺らはエレベーターを降りる。
「ふぅ、まぁいい。帰り着いてから話の続きをしよう。今は杖の結果を見に行こう。」
そう言いながら坂田は足をガクつかせながら歩く。九尾もその後に続きガクつかせながら歩く。
そんなにヤバイ物とは気づかなかったな・・・・
ん?そういえば、この刀を手にした時に変な夢を見たような・・・・
「ゆ、悠真、行くぞ・・・・」
覇気を失った坂田の声が聞こえ俺は元帥室の前に走って行く。
あれ、何か考えてたような・・・・ま、いっか
遅くなってゴメンなさい!
下手くそですのでアドバイスどんどんお願いします!!




