表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第2章 新たな日常!
26/167

シンクロ!!

その男はまるで悪魔。それとしか言えない。手から無限にナイフを生み出すと、それで倒れ込んでいる者に投げつけている。

俺は背筋がゾクッとした。これが恐怖というやつでオシリスの時と似ているからだ。


「さ、坂田さん! あれは何ですか・・・・あれはまるで悪魔、いや神とやっている事と変わりません!!」


声を尖らせた九尾が坂田に怒鳴る。怒鳴るのも無理はない。あんな光景をみたら誰にしろ驚いて声を荒げてしまうだろう。


「拷問師 死川・・・・それが、あの人の別名だ。」


その名前の通りかもしれない。画面に映っている死川は満面の笑みでナイフを投げつけている。

まるで拷問をする事を楽しんでいるかのように。


「拷問師・・・・確かに暗い雰囲気はあったけど言動は優しそうな人だったのに・・・・!」


九尾も悔しそうな表情を浮かべる。

すると画面の様子が少し変わった。KOという文字が画面に映し出されナイフを投げつけられていた男は消えていく。


「終わったか・・・・」


そう坂田が言うのと同時に近くのカプセルの1つがプシューという音とともに開く。中から出て来たのは拷問師 死川だ。

俺らに気がつくと、


「これはこれは、坂田さん。今日はよく合いますな。もしかして見ましたか?」


死川は首をゴキッと鳴らしながら白髪をかく。


「ええ、拝見しましたよ。いつもの死川さんでしたね」


坂田の表情はこわばっている。まるで蛇に睨まれた蛙のようだ。


「初めて見た子もいるので誤解を解いておきますね」


死川はそう言うと俺らの方を見る。


「私が、こんな事をするのは神に対しての憎しみが具現化したものです。なので、人間に対してはこんな事はしませんよ。あ、この憎しみという気持ちは、あなたになら分かるかも知れませんね、神崎君」


そう言うと死川は去って行った。出口の近くのカプセルからヒョロッとしたツリ目の長身の男が出て来た。その男はこちらを一瞥し死川と一緒に去っていく。


「神崎さん・・・・私、あの人が怖いです」


九尾の手が震えている。九尾のこんな表情は初めて見た。いつも凛としている九尾が・・・・


「まぁ、しかし死川さんもそれなりの事情があるだろ? そこもちゃんと考えといてやらないと死川さんが、ただの悪者になっちまうだろ?」


坂田が口を挟む。確かに死川さんは大切な人を目の前で殺された。それも自分に力があれば助けれたかもしれなかった。俺も目の前で大切な人が連れ去られた時に自分の力の無さを思い知った。でも、こんなやり方・・・・!


「よくねーよ。あんな事をするなんて神同然だ。でもよぉ、俺もあんな風になっちまうのかなぁ・・・・」


俺はハッとした。心の声が表に出たからだ。


「悠真・・・・」


「か、神崎さんは乗り越えました!大切な人を失って悲しんだかもしれません。でも!神崎さんは強くなろうとしている!強くなって見返そうとしているじゃないですか!あの人は自分の弱さを理由にして神同然の事をしているんです!神崎さんとは別物です!」


九尾の声がフロアに響く。俺の心の中の必要としている言葉を分かっているかのような的確な言葉が俺の心の中にスゥっと入っていく。


「九尾・・・・でも、俺は!」


「はいはい、終わりだ。ほれ、お前らも仮想世界に行ってこい!」


坂田が俺が言おうとした事を遮り俺と九尾の背中を押す。


「準備は出来てますよ。さぁ、お二人ともこちらへ」


オペレーターの人がこちらに手招きをする。


「そうっすよね。こんなとこでいじけてたら何も変わらない。俺は強くなるんだ!」


九尾の言葉と遮ってくれた坂田のおかげで元気が出て来た。俺は死川さんとは同じ道には進まない・・・・!憎しみを力の原動力に変えてやる!


「そうですよ! 神崎さん! 強くなりましょう!」


俺と九尾はオペレーターの人の指示に従いカプセルのとこに案内された。


「ここです。九尾さんはその隣です」


俺と九尾はカプセルの中に入った。人1人が横たわってギリギリ入れるぐらいの大きさで中は薄暗い。



「次は右にある赤いボタンを押してください。」


オペレーターの指示に従いボタンを押す。すると、枕から

何かが出て来て俺の頭が包みこまれる。



「うわ!?なんだこれ!?」


「神崎さん! こっちもです!」


九尾の声が聞こえた。どうやら隣も同じ状況らしい。


「慌てないでください。大丈夫です。それは仮想ヘルメットです。簡単に言うとそれが仮想世界との鍵です。」


しかし、ヘルメットを被った状態は何も見えない。しかも外れないので恐怖心がある。


「では、シンクロ開始と頭の中で呟いてください。」


「分かりました!シンクロ開始!」


俺は思わず口で言ってしまった。顔が赤面する。


「神崎さん・・・・心の中ですよ」


九尾の呆れた声が聞こえた。

次こそは! シンクロ開始!!

視界が虹色に染まる。体全体が光に包まれ感覚が無くなる。

光がなくなり目を開ける。すると、そこにはあの時の光景が広がっていた。


「っ!? ここって俺の故郷・・・・?」


しかし、その故郷はボロボロだ。まるであの時のような・・・・


「どうやらシンクロ成功らしいですね」


オペレーターの女の人の声が聞こえた。しかし、その姿は

見えない。


「オペレーターの人ですか!?ここはどこっすか!?」


俺は訳もわからず叫んだ。すると、フゥという溜息とともにオペレーターの女の声が聞こえた。


「ここは、あなた方の1番後悔している場所です。九尾さんはあなたとは別の空間にいて試練を受けています。それと、私の事はオペレーターではなくて南田とお呼びください。」


九尾・・・・あいつにも後悔している場所があるんだな。


「分かりました。俺は何をしたらいいんすか?南田さん」


俺がそう言うと直ぐに南田は言った。


「では、今から転送します。あなたのおかげで新しいサンプルを入手出来ました。では、ご健闘を」


「ん?転送ってなんすか?それと、あなたのおかげって・・・・」


その時、俺の前の瓦礫が消し飛んだ。物凄い爆音が周りに響く。どうやら瓦礫が消し飛んだのは数カ所らしい。


「うわ!?なんダァ!? っ!」


瓦礫の跡地の砂煙が消え、そこから見覚えのある奴が出てきた。奴は生命の息吹を感じない機械で3メートルはある。


「お前は・・・・!そうか、試練ってこれの事かよ・・・・」


リザードは俺を見つけるとこっちに歩みよってくる。奥の方からも現れその数は10体はいる。


「まさか、お前らとこんなに早く会えるとは思えなかったぜ。お前らを見てるとハラワタが煮えくりかえってどうにかなりそうだ。て、ことで遠慮なく行かせてもらうぜ。契約起動!!」


俺は右手に持ったいた日本刀に力を込める。眩しい光に包まれ俺は契約を起動した。


「さあ、始めようぜ! ウォォォォォォォ!!」


俺はリザードに突っ込む。リザードの掴みを避け腹部に刀を突き刺す。


「ゴ、ガアアアアアア・・・・」


リザードは緑の光に包まれて消えた。奥からドンドンリザードは出てきた。


「ありがてえなぁ!!こんなに殺されに来てくれてよぉ!!」


俺は三の力である瞬間移動ナイフを発動し、リザードの群れの中央に投げる。ビシュッという鋭い音でナイフがリザードの方へと飛んでいく。


「遠隔起動!!からの、一の力!」


リザードの群れの中央にワープし三の力から一の力である霊炎に移し替える。

10体のリザードが中央に来た俺に気づき一斉に襲いかかる。


「一気に終わらせるっ!はあああああ!!」


刀に霊炎を纏わせリザードの胸の光る玉を切る。一体、二体ドンドン切っていく。これが戦い! アドレナリンが出すぎて、いくらでも切れる!!

俺は気づいたら全てのリザードを倒していた。


「終わったか・・・・」


刀を鞘に収めようとすると


「では、コレはどうですか?」


南田の声がした。その直後、奴は現れた。リザード?いや違う!この雰囲気は・・・・!


「久しぶりだね。弱虫君!」


俺の目の前に全ての悪の権化ともいえる神。それも、俺の大切な物をぶち壊した奴が現れた。

オシリスだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ