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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第1章 悲劇の始まりと終わり
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一つ目の大切な物

「はぁはぁ……………」


 生まれて初めて、人肉というものを見てしまって俺は息が上がる。だめだ、心臓がバクバク言っている。


「クウーン………………」


 サクラが心配そうにしている。

 辺りを見渡すと家々からは煙が上がり、悲鳴が聞こえてくる。

 まだ、さっき触ってしまった、ブニットした肉塊の感触が手に残っている。


「一体、何が起きたんだ……………?」


 俺は河川敷の橋の下に座り、心を少し落ち着かせることにした。いつもはサラサラと穏やかな川の流れだが、今は肉塊が辺りにプカプカと浮かんでいる。

 サクラが寄り添ってくる。暖かい。

 そして、俺は思い出した。今日が神の怒りから50年が経った日だという事を。

 まさかと思ったが、それしか考えられない。俺は立ち上がると急いで橋の下から抜け出した。

 さっきまで暗かった空が明るくなっている。ちょうど夕焼け空が広がっていた。やはり、あの暗さは何かがおかしかったんだ。


「まさかな………………神の怒りとかじゃなくて、ただの雷だよな。そうだ、ただたくさん落ちただけだよな・・・・」


  俺は心に言い聞かせた。その時だった、夕焼け空に沢山のピラミッドのような物を模した模様が出てきた。俺は、身体中から冷や汗がドッと出てきた。

 な、なんなんだ!? この冷や汗は! まるで、細胞一つ一つが怯えているみたいじゃないか!


「今度はなんだよ!? これ以上はもうやめくれ……………」


 俺の呼吸は、また荒くなっていた。周りの生き残った人達もザワザワしていたり、泣いていたりしている。

 そして、ピラミッドの様な模様が一斉に光りだした。俺は眼を瞑る。

 少しして、激しい落下音と共に光りは収まった。俺は目を、恐る恐る開ける。

 目を開けると、そこには更に絶望的な光景が広がっており、河川敷から東側の方が更に壊滅的になっていた。

 どうやら、俺がいる河川敷の方は何も起きなかったらしい。しかし、東側は遠くから見た感じだと、かなりヤバそうだ。先ほどの、光の時よりも遥かに多くの家々から煙が上がっている。

 

 俺は思い出した、河川敷からみて東側は俺の家がある方角だと。

 それを、思い出すと俺は走りだした。途中で転んでしまって膝から血が出てきたが気にせずに走る。


「ちくしょう! よりによってなんで俺の家の方角なんだよ!」


 俺は叫びながら走る。サクラも後を追うように走る。五分程走ると、何かが落ちてきたとこまで来れた。

 ここは、家の近所だ。そして、俺は膝から崩れ落ちた。いつもの光景とは随分変わっていたからだ。ぐちゃぐちゃになっている。


「うわああああああああああ!!」


 近所の家は崩壊し、辺り一面から火の手が上がっている。瓦礫で潰された人の遺体や、体の一部が欠損して、泣き叫ぶ人たちで溢れかえっている。

 いつもの、暖かい近所の変わり果てた姿を横目に見ながら、俺は泣きながら走る。さっき転んだ膝がズキズキと痛む。

 角を曲がると家だ。その直前に


「イヤアアアアアアアア!!!!」


という、声がした。母の声だ。嫌な予感しかしない…………………!


「母さん!」


 角を曲がると再び絶望が現れた。俺の前には謎の生物の後ろ姿が見えた。

 だが、それは生物と言っていいのだろうか。見た目は、トカゲの頭を人間に付けたみたいだ。しかし、機械のように光沢があり、トカゲの様な鱗は無く、全身が機械的で生命の息吹を感じない。

 そして、俺が1番に驚いたのは、こいつのデカさだ。3メートルぐらいはある。


「うわああああああ!!」


 俺は思わず声をあげてしまった。バケモノがゆっくりと俺の方に振り向く。

 逃げようとしたが、俺は立ち止まった。そいつの手には、母が握られていたからだ。


「母さん! おい! 嘘だろ!?」


 俺は、母さんを呼ぶ。母は、今にも途切れそうなか細い声で俺の名前を呼んだ。


「ゆう…………ま?」


「ああ ! 俺だ!」


 母は、急に大声を出した。だが、強く握られているのか、口から吐血する。


「悠真! 早く逃げて! こいつらは神! 父さんもさっき殺された! 私も、もうじき死んでしまいそうだから逃げて!」


 バケモノが、ゆっくりと確実に俺の方に足を進める。

 コイツらが神だと? こんな生き物ではなくロボットみたいな奴らが…………?


「早く! 私の事はいいから!  父さんの、最後の言葉も悠真を頼むって言ってた! だから私は悠真を助ける! だから早く逃げて! 子供は命に代えても守るのが親の役目なんだから!」


 母は再び叫んだ。ミシミシという骨が悲鳴を上げる音がする。どうやら、バケモノの母を握る力が強くなったらしい。

 


「は……………やく…………」


 バケモノは、母を思いっきり握りめる。それにより、母の体は上半身と下半身がブチリと千切れ、内臓が辺りに散らばる。


「うわあああああああああああ!!」


母の遺体をバケモノは投げ捨て、機械のような音声で喋り出した。


「ピピピピ・・・・ ソウル0パーセント。カイシュウデキマセン。ツギノ、ターゲットエト、ムカイマス。」


 ゆっくりとバケモノはこちらに向かってくる。どうする、どうする! 神崎悠真! 母さんと父さんが殺されたんだぞ!? ならば、こいつらをぶっ殺さないと………………


「クソっ! ちくしょおおおお!!」


 少し前に母が言った、()()()()()()()()()()()()()()()()()という言葉を思い出して、俺はサクラを抱えて逃げた。母の最後の言葉を守るというご立派な信念で俺は逃げたつもりだが、結局は自分が殺されることが怖かっただけだ。

 




 どのくらい走っただろうか、途中で疲れて倒れてしまった。

 ふと、周りを見てみると、さっきのバケモノと同じのが沢山いる。俺は慌てて瓦礫の影に隠れた。


「俺が! もっと早く来ていれば父さんも母さんも助けられたのに! ちくしょうおお!」


 俺は、何回も地面を殴った。血が拳からにじみ出て来たが、サクラが血を舐めてきた。


「サクラ………………俺はこれからどうしたらいいんだよ…………………」


 俺は、いつの間にか涙が出ていた、久しぶりに涙を出したが、涙が止まらない。

 俺はサクラをギュと抱きしめて、心の中で何度も何度も謝った。俺は、なんて弱いやつなんだろう。両親が殺されたのに逃げたなんてよ……………………

 

 瓦礫の外から、悲鳴や爆破音が聞こえてくる。俺はもう、このまま自殺した方が楽になれるんじゃないかと思い、近くに落ちていたガラスのカケラに手を伸ばす。


 その時だった、いつもの変な語尾をした男がひょっこりと顔を出したのだ。


「やーっと、見つけたぜよ! 悠真!」


 瓦礫が崩れる音と共に、いつも見ている顔が出てきた。


「仁………………?」



少し、字数が少なくてすいません。

時間があまりなかったもので。

初心者なのでドンドン、アドバイスをお願いします!

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