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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第5章 ようこそ、国立神対策高等学校へ
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剣聖

「トウキノ、イチゲキハ、ウツクシク、カンペキナ、モノダッタ…… ダガ、ワガアルジト、ドウカクノヤツガ、アラワレタ。リカイフノウ、ジツニ、フユカイ」


 やはり、こいつか。こいつが、大分に惨劇をもたらした元凶なようだ。


「修くん、正直な話、私一人………いや、あなた一人でも、こいつぐらいなら倒せる」


 瑞輝は、額に血管を張り詰めながら、そしてその怒りを収めるように言う。普段は、冷静沈着な瑞輝だが、同胞が傷つけられた時には、感情をあらわにしてしまう。まあ、無理もない、俺も冷静さを装っているだけで精いっぱいだ。


「……まあな」


「でも、ここは力を合わせない? これ以上、人間界の土を、こいつに踏ませたくない」


「同感だっ!!」


 そして、俺と瑞輝は同時に、憎き敵に向かって駆け出す。俺は奴の左から、瑞輝は右から攻撃を仕掛ける。


「トウキノ、ナハ、ワルキューレ。ワガアルジカラ、サズカリシ、コノナノモトニ、フトドキモノ二、サバキヲ!!」


 俺たちの仇、その名はワルキューレというらしい。名前からして、人間ではなさそうだ。ま、それは大した問題ではないが。


「センメツカイシ」


 ワルキューレの背中に生えている、いびつな両翼。それを構成している一つ一つの腕が、まるで雨のように俺たちに襲い掛かる。


「神滅……」


 瑞輝は、一度刀を納刀し、いつでも抜刀できる体制になり、腰を低く構える。そして、目を閉じ、全神経を刀を握っている右手に集中させる。


「弐式」


 数多の異形なる手、それらが瑞輝の体に触れようとした瞬間、そこからは一瞬だった。


「ナッ……?」


 瑞輝の周りを覆うようにしてたワルキューレの無数の手は、瑞輝を掴むことはなかった。そして、ドームのようになっていた無数の腕の一部に大穴を開けて、その包囲網から脱出する。

 神を、効率的に殺すための技である、神滅。全部で三つの技で構成されており、各技には特徴がある。例えば、さっき瑞輝が使った弐式は、三つの技の中で最速の技だ。


「おいおい、がら空きだぜ?」


 瑞輝が、一瞬にしていくつかの腕を切り落としたことに驚いたのか、ワルキューレの俺に対しての攻撃は一瞬止まる。

 俺は、助走をつけて思いっきり跳躍し、ワルキューレの顔の目の前にまでいく。そして、丗摹捻を両手で坂手持ちをして力を込める。


「オノレエエエエエエエエエ!!」


「神滅 参式!!」


 そして、空中でとんぼ返りをしながら、ワルキューレの下あごめがけて一撃を放つ。鈍い打撃音があたりに響く。


「グ……オオォ……!」


 頭に強い衝撃を受け、ワルキューレは体勢を大きく崩す。どうやら、普通の生命と同じように、急所は頭のようだ。

 参式は、対象の下あごめがけて放つ技であり、その対象の脳を揺らし、隙を作るための技だ。


「その硬さ、なかなかやるな」


 あた名を真っ二つにする気持ちだったのだがそれはできなかった。じんわりと手に残るこの感触、ワルキューレの顔の硬さは相当だ。ワルキューレが言ってた、神王の力を授かっているということは間違いではなさそうだ。


「オ、ノレ………」


 体勢を崩し膝立ちになったワルキューレを、剣聖と謳われるほどの実力者の瑞輝が逃すわけもなかった。鞘から蒼き刃を引き抜き、ワルキューレとの間合いを詰める。


「キサマラハ、ジャマダ!!」


 瑞輝が切り落とした無数の腕は一瞬で再生する。そして、両翼を構成している数多の腕は、一つに合わさり大剣と化す。


「瑞輝っ!!」


「へぇ…… これは、ひとたまりもないわね」


 瑞輝めがけて振り下ろされる、すべてを亡き者にするかの如き一撃。瑞輝がワルキューレの体にたどり着く前に、その大剣は瑞輝の体を叩き潰すことが可能な距離だ。


「まぁ、私以外の場合だけど」


 その瞬間、肌が裂けそうなほどの殺気を瑞輝は放つ。俺に向けられた殺気ではないとは分かってはいるが、それでも冷や汗が背中を伝う。


「神滅……」


 走っていた瑞輝は足を止め、右手のみで持っていた刀に左手を添える。だが、その左手は持ち手を支えるのではなく、刃の背の部分に添える。


「クタバレ!! ニンゲンンンンンンン!!」


()()


 ワルキューレの両翼によって生み出された、巨大な大剣。点から振り下ろされるそれは、瑞輝めがけて振るわれる。


「ナッ………!?」


 だが、それは瑞輝に振るわれることはなかった。その大剣は、瑞輝の刀に触れた瞬間、真っ二つに両断される。


「さすがの剣技だ………!」


 神々を屠るために瑞輝によって生み出された三つの技、神滅。壱式は上から勢いよく振り下ろす破壊力に特化した技、弐式は全神経を刀を握っている手に集中させて抜刀し、一気に一撃を放つ速さに特化した技、参式は相手の下顎めがけて攻撃し、相手の判断能力を鈍らせる技だ。

 神滅は、今では神と戦う多くの対策局員たちが身に着けている。ある程度の型が決まっており、身体に刻み込ませ反射的に使えるようになれば、その威力は必殺にもなりうるからだ。


「久しぶりに使ったけど、まだ鈍ってはなさそうで良かったわ」


 だが、零式を使える奴は瑞輝以外、今のところは誰もいない。相手の攻撃を受け流し、その攻撃の威力を利用して数倍にしてはじき返す、究極のカウンター技、それが神滅 零式だ。


「アルジヨリ、ウケタマワリシ、コノツバサガ……… キラレタダト!?」


「あら、ずいぶんと大事にしてた翼だったのね。その割には、柔らかかったけども」


 三つある神滅の技、そのもとにもなった究極の剣技である零式。そこから、習得難易度を大幅に下げて生まれたのが神々を殺す三つの技だ。


「オマエハ、ナニモノダ!!」


 だが、ここで一つの疑問が生まれたのではないだろうか? 何故その強力な技を身に着けているのが神田瑞輝だけなのか。


「あら、まだ自己紹介がまだだったかしら?」


 その理由はいたってシンプルだ。


「秋田神対策局 局長、名前は神田瑞輝」


 たった一つのシンプルな理由。それが理由で、零式は神田瑞輝のみしか扱えない。


「それとも、剣聖といった方が分かるかしら?」


 それは、神田瑞輝の剣技が極致に至っているからであり、零式習得には彼女と同レベルの剣の技術を身につけなくてはならない。


「オマエガ、ケンセイ!!」


 神田瑞輝、彼女の剣技は人間界、いやこの世の全ての生命の中で頂点に君臨する。そんな彼女を、人々は剣聖と呼ぶのであった。





 


 





 








 

お久しぶりです! 就活も終わり、かなり時間があるのですが、スイカゲームが楽しすぎて・・・・

いや、言い訳は良くないですね笑 でも、楽しすぎるんですよ!!


さてさて、話題は戻しまして、やっと瑞輝の戦闘シーンを書けて嬉しい作者です。七聖剣定例会議でポッと生み出されたキャラクターですが、いずれ深堀されるキャラクターだと言っておきます。

まぁ、勘の良い読者様でしたら、瑞輝の違和感に気づいているかもしれませんが・・・・

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