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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第5章 ようこそ、国立神対策高等学校へ
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六の力

「イッテェなぁ、おい!?」


 瓦礫に吹き飛ばされて、さらには深傷を負ったのにも関わらず、トールはユラリと立ち上がる。


「やっぱり、立ち上がるか………………!」


 肩には骨にまで届くほどの深手、そして心臓に近い胸にも傷を負っているトールだが、その目はまだギラギラとしている。


「そういえば、ミツレは!」


 俺は、ミツレのいる背後をクルリと振り返る。振り返った先にいたミツレは、まだ雷の檻の中にいた。


「情けない姿ですが、私は無事です。神崎さんが、九つの力の新しい力を解放してくれたおかげで、私の身体の傷と魔力、どちらも回復しました」


 ミツレの言う通り、手の火傷や出血などが綺麗になくなっている。


「手の火傷が治ったみたいで良かった。せっかくの綺麗な手に火傷の痕は最悪だからな」


「何言ってるんですか、こんな時に。ハーレム系なろう主人公みたいな事言わないでください」


 一瞬、顔を赤らめたミツレだったが、直ぐに真顔になる。てか、そんな事言って大丈夫か!? なんか多方面に喧嘩売ってる気がするけどぉ!?


「ゴホンっ! そんな事よりも勝算はありますか?」


「ぶっちゃけて言ったら、分からないな」


 トールは、口ぶりでは平気そうだったが、今見る限りではかなり無理をしているようだ。

 ゆっくりと傷は修復されてはいるが、肩の深傷を回復するには、まだ時間がかかりそうだ。

 実際、こちらを見る目は殺意に満ちているが、見ているだけで棒立ちしている。


「神崎さん! 右手を見てください!」


「ん? 右手がどうした………… え!?」


 俺の光っている右手、いや正確に言えば光っているのは右手の甲なのだが。

 そして、その光っているのは右手に刻印された九つの点のうち、六つ光っている。

 そう、さっきまでは四つしか光っていなかったのが、新たに二つ光っているのだ。


「確か、これは九つの力のが解放されれば光るんだったよな?」


 俺はミツレに確認する。確か、ミツレは九つの力は少し特殊な契約魔力で、いずれ新たな力が解放されるかもしれないみたいな考察を立ててたな。


「はい、そうです。手の甲を見るに、神崎さんが使える力は一の力、二の力、三の力、五の力、そして新たに六の力と七の力を使えます!」


「一気に二つの力を使えるようになったのか。今使ってるこの双剣は………… どうやら六の力みたいだな」


 右手の甲の刻印で、一際光っているのが時計回りで6番目、つまりは六の力を今は使っていると言う事だ。


「私は、新たに解放した力の事は分かりません。つまり……………」


「あぁ、分かってる。だが、この双剣とトールの相性は最高だ」


 原理は分からないが、双剣を持ってから、いや攻撃してから攻撃の速度と俺自身の速度、そして反応速度の三つが明らかに上昇していた。

 そして、それがトール打倒に役に立つはずだ。アイツの最大の武器は、なんと言ってもあの馬鹿げた速さだ。それさえ攻略できれば、アイツに勝てるかもしれない。


「私は申し訳ないですが、まだ戦線に復帰できません」


 ミツレは、歯軋りをしながら目の前の雷の檻を見る。


「謝る必要はないよ。俺を庇ってくれて、そうなってしまったんだから、後始末は俺に任せてくれ」


 俺は、いつもミツレに守られてきた。瑠紫さんとの船上での一悶着や、三門龍介との二時試験の時だってミツレのおかげで立ち直れたんだ。

 俺が殺されたら、トールにミツレは連れ去られる。それだけは絶対に嫌だ。


「話し合いは終わったかぁ?」


 血を出しすぎたのか、少し足取りがふらつきながらトールが動き出した。肩の深手以外は完全に治っている。


「ミツレは俺が守る」


「神崎さん………………」


 俺は双剣を構える手に力を入れる。先ほど、あそこまで速くなってトールに追いつけたんだ。この六の力なら勝てるかもしれない!


「そっちが行かないなら、こっちから行くぜぇ?」


「来いっ! トール!!」


 トールの全身が青白く一瞬光る。トールが光った後、凄まじく速く移動する事はもう分かっている。

 つまり、この六の力を使ってトールの速度に追いつけば………………!


「おせーよぉ!! さっきの速さはどうしたぁ!!」


「なっ!? ()()()()()()()()()()()


 トールは、今までと同じように、一瞬にして俺の間合いに入る。

 そして、右手で握りしめたミョルニルを、俺の腹部目掛けて下から振るう。


「くそっ! うおおおおお!!」


 何とか双剣で受け止めることは出来たが、後ろに吹き飛ばされてしまう。

 だが、前回と違って俺は地に足をついて立っている。


「神崎さんっ!!」


「危なかったぜ。体力が回復してなかったら、また瓦礫に激突していたぞ」


「チッ! お前のその能力、なんなんだぁ? なぜ回復したぁ!!」


 トールは眉間にシワを寄せながら叫ぶ。まぁ、無理ないか。さっきまで、ボコボコにしていた相手が急に全回復して自分の目の前に立っているのだから。


「悪いな、それには俺にも分からん。だが、一つだけ分かることがある」


 九つの力、それは俺の契約魔力。でも、この能力のことは何一つ分からない。

 長年、神対策局で勤めている坂田でさえ、一つの契約魔力でここまで違う力を使えるのは異例だと言っていた。


「あぁ? 何だったんだぁ?」


 でも、これだけは分かる。この六の力は………………


「お前と相性最高って事だ」


「笑わせるなぁ! この雷の力は無敵だぁ!!」


 トールのミョルニル、そして俺の六の力の双剣が激しくぶつかる。

えー、火曜日にテストがあるのに何もしてない作者です。


後少しでこの章も終わります。でも、ラストにとんでもないことが起きるので、もう少し待ってください! 

ほら、アイツがまだ出てないでしょう!? 誰とは言わないけど、アイツですよ! アイツ!!



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