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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第5章 ようこそ、国立神対策高等学校へ
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呪怨の迅雷

「神崎悠真、お前が本当に千葉神対策局の一員ならば、神吸の名は知っているはずだ。違うか?」


 どうする? ここで、俺が神吸さんの事を知っていると言ったらどうなる? 

 誰がどう見たって、トールは神吸さんのことを恨んでいる。ここは、嘘をついた方が…………


 その時、神崎悠真の脳裏にある男の言葉がよぎった。


「カゲは、()()()()()()()()()()


 あぁ、そうだ。坂田さんも言ってたじゃないか。神吸さんは千葉神対策局の一員だと。

 命の恩人の坂田さんが言っていたんだ。いくら命の危機だとしても、俺は坂田さんの言葉は曲げない!


「トール、お前の言う通りだ。俺は、神吸さんのことを知っているし、会ったことだってある。俺は、神吸さんの知り合いだ」


 ぶっちゃけ、どうかしているとは思っている。嘘を吐けば、トールの更なる逆鱗に触れなかった可能性もゼロではないからだ。


「ガハハハハハハハ! そうか、やはりそうだったか!」


 激しく激昂するかと思っていたが、トールは何故か大笑いをしている。


「何がおかしい? 俺は、お前の」


「あー、いやいやそれ以上は言わなくて良いぜぇ?」


 トールは、俺の言葉を遮ると、片手で顔を覆い笑みを隠す。


「いやぁ、それにしても笑いが止まらねぇ! だってよぉ………………」


 そして、再び先ほどまでの殺気を纏ったかと思うと、片手を顔から外し、俺を見る。


「お前を無惨に殺したら、アイツがどんな顔するか楽しみ過ぎるからな。さぁ、覚悟しろよ、()()


 ()()()。この殺意! トールの神吸さんへの殺意は凄まじい。

 確かに、神と人間は憎しみの連鎖の関係だ。だが、それはそれとして、人格まで変えるのは異常だ!


「おい、ボーッとしていて良いのか?」


「ッ………………!」


 全身に殺意と黄金色のオーラを纏った復讐鬼が、俺の間合いに入り込む。

 そして、槌ではなく、その筋骨隆々な片腕から繰り出さられる、岩石の如き拳が俺の腹部を襲う。


「グボァ! ウ、ガァ…………………!」


 凄まじい衝撃が俺の腹部から、そして全身に流れる。今ので肋骨が、何本か折れるたか、身体の中を反響して耳の内側を通じて分かった。


「ハァ……………ハァ…………………! クソッ……………!」


「どうした? そんなものか? 威勢だけは褒めてやるが、所詮はそれだけか」


 指の骨をパキパキと鳴らしながら、トールは膝を地面に付けた俺の前に立つ。


「舐めんなっ!」


「遅いっ!!」


 鞘から刀を抜刀し、トールを見上げる感じで、奴の首を斬ろうとした。


「ゴベァッ!? ウ、ガァ………………」


 しかし、トールの右足から繰り出された前蹴りが、俺の顎を直撃する。

 そして宙を舞い、俺は再び地面に背中をつける。


「まだ伸びるのは早いぞ?」


「ガッ…………………!」


 トールは、俺の首を右手でがっしりと掴んで、そのまま宙に掲げる。


「クソッ! は、放しやがれ………………」


 足をバタつかせ、俺は両手でトールの片腕を剥がそうとする。

 だが、俺の努力は虚しく、トールはびくともしない。


「無様だな、神崎悠真。俺は少しだけお前を過大評価してたみたいだ………………なっ!」


「ガハッ…………………」


 そして、トールは左手で俺の顔面を殴る。凄まじい衝撃が、俺の右頬に伝わる。


「おいおいおい! 何にもできないな! さっきの威勢はどうした!?」


「ウ゛ッ……………! ゴボァっ!? オ゛ッ……………」


 何度も何度も殴られる。本気を出せば、俺の命なんて一瞬で奪うことの出来る状態なのに、トールは()()()()()()()()何度も執拗に殴る。

 そして、殴ることに満足したのか、右手を俺の首から離して地面に落とす。


「ガハハハハハ! ひでぇ面だなぁ?」


 右半分を執拗に殴られたせいで、俺の顔は右半分だけが異様に腫れている。 

 そして、口の中は血の味で満たされており、歯も何本か折れた。


「ほら、忘れ物だ」


 地面に片膝をつき、睨むことしかできない弱者に対して、トールは弱者の持ち物である刀を足下に投げつける。


「ハァハァ………………」


 俺は刀を拾い、それを杖代わりにしながら立ち上がる。意識が朦朧としている。


「人間は、俺たちをそれで殺すんだよな? お前もそうなんだろ? さぁ、やってみろよ?」


 トールは、ニヤニヤしながら俺の前に立ち塞がる。


「う、うおおおお!」


 俺は最後の力を振り絞り、刃をトールの首を斬りつける。


「遅い」


 だが、やはり()()()()()()()()。俺とトールでは、速さの次元が違う。


「ゴボァ……………………!」


 俺の一撃は、トールの首に届いてもおかしくない速さだった。

 だが、トールは一瞬光ったかと思うと、真横に避けて俺の腹部に蹴りを入れる。


「ウ……… オエエエエ!! ゲホッ! ハァハァ……………」


「おいおい、汚ねぇな………………」


 腹部に強烈な蹴りをくらった俺は、我慢できずに血が混じった吐瀉物を口から勢いよく吐き出す。


「自分で出したもんは、自分で掃除しろよー?」


「ッ!? な、なにす」


「掃除はよぉ! こうするんだよっ!!」


 俺の言葉を遮り、トールは俺の髪の毛をガッシリと掴み、吐瀉物目掛けて俺の顔を擦り付ける。


「ヌガァッ!?」


「ガハハハハハハ! 最高の面になったなぁ!?」


 顔はボコボコに腫れ、全身は吐瀉物まみれ。そして、反撃もできないほど一方的にやられたと分かる惨めな姿、これこそが弱者だろう。


「最後に、俺がどうして神吸影時を憎んでいるか教えてやるよ」


 フラフラと吐瀉物まみれの身体で、立ち上がった俺にトールは語り出す。


「俺がガキの頃、初めての任務先、そう天離島(てんりじま)での出来事だ」


 天離島………………? 聞いたことはないな。だが、任務と言うからには人間界での話だろう。


「仲間とはぐれた俺は、そこでばったりと二人の人間に出会った!」


 二人? アイツが憎んでいたのは神吸さんだけじゃないのか?


「その二人は、()()()()()()() ()()()()()、そして憎き()()()()() ()()()だ!」


「春馬さん………………? 二人は別の神対策局のはずだろ?」


 奴の言っていることが正しいのならば、刑務所に入れられる前の神吸さんは、春馬さんと同じ対策局で働いていたと言うことか?

 いや、でも坂田さんは神吸さんの事を、千葉神対策局の一員だと言っていたぞ?


「お前、神谷春馬とも面識があるのか。まぁ、それは良いとして、神吸影時は神である俺を目の前にして……………!」


 ギリッとトールは歯軋りをする。なんだ、何があったんだ?


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()|う《・と言いやがった! そして、神谷春馬は見るだけで手出しをせず、俺は神吸影時に命を奪われただけでなく、俺の()()という偉大なる父上から頂いた魔力を模倣しやがった!」


 そうか、コイツがどうして神吸さんを、こんなにも恨んでいるのかが分かった。

 二対一という有利な場面なのに、一人で戦い、そして初めての戦いで負けて、自慢の魔力を真似された。神としてのプライドが、許せないんだろう。


「そして、俺は毎日鍛錬を続けた。身体を鍛え、そして次こそは神吸を殺そうと日々思っていたのに、奴は牢獄にぶち込まれたと聞いた!」


 ん? 何故、コイツは神吸さんが刑務所に入れられた事を知っているんだ? 誰から聞いた? 

 まぁ、普通に考えたら、人を半殺しにして聞いたのか?


「そして、奴を殺せないなら、奴が一番悲しむ事をしてやろうと俺は考えた。だから………………」


 地面に置いていた槌を、トールは拾い上げて右手に構える。


「俺の復讐の礎になってくれ、神崎悠真ァ!!」


 ダメだ! 避けられない! くそっ! ここまでか………………!


「神崎さんっ!!」


 その声が聞こえた時、振り翳した右手はピタリと止まり、その声の主の方向を見る。

 トールだけではない。瀕死の俺も、その声の方を見る。


「ミツレ……………」


 そう、その声の主は雷の牢獄に閉じ込められた銀髪の少女、ミツレだ。

お久しぶりです! いや、あのマジで全然投稿できなくてすいません!!


サンブレイクが楽し過ぎて、ずーーーーーーっと怪異錬成してました笑

いや、マジで終わり見えませんよね、怪異錬成。あ、良かったら誰か一緒にサンブレイクしませんか?


っていうのは、本気ですけど、本当にお待たせして申し訳ありません!

ネタはあるんで、まだまだ続きますよ〜!!

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