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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第5章 ようこそ、国立神対策高等学校へ
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復興作業

「神崎さん〜 こっちの瓦礫、重いので手伝ってくれませんか?」


「おう、分かった〜 すぐ行くから待っててくれ」


 俺は、瓦礫などが積まれたリヤカーを押しながら、ミツレの方に向かう。



 俺たちは、九州地方の復興作業をしている最中だ。亡くなってしまった人の遺体などは、神が襲撃した一週間後までには全て回収されたらしいが、瓦礫や遺品などは今でも残っている。

 それらを、処分したり回収したりするのが、神対策局や神高の今現在の最優先事項だ。


「毎回思うけど、途方もない作業だよな」


 大きな瓦礫を、ミツレと二人で持ちながら俺は言う。

 瓦礫をリヤカーに乗せ、軍手に付いた土埃を払いながら、ミツレは口を開く。


「ここまで大規模な神による攻撃は中々ないですからね。それ相応の被害とは言えます」


 人間界よりも、神による攻撃が激しかったと言われている妖獣界出身のミツレが言うのだから、九州地方全域を標的とした神の攻撃は中々のものだったのだろうな。


「それに、攻撃が起きた時、オシリスによってバリアが貼られて、神対策局の人達が直ぐには救援に向かえなかったってのも、ここまで甚大な被害が出た理由の一つだと言えるでしょう」


「あー、たしかにそうだよなぁ。あのバリアが無かったら、少しは被害を抑えれたかもな」


 オシリスによって、いや正確に言うとオシリスが所有していた杖により、九州地方全域に貼られた謎のバリアは確かに厄介だったと話は聞く。

 内部からは人や動物は逃げ出す事は可能だが、外部からの攻撃からの耐性は極度に高いとか言ってたな。

 例のバリアは、内部からは触れる事すら出来ず、擦り抜けられるらしいが、その代わりに、外部からの攻撃による耐性を極度に高めているらしい。


「外部からの攻撃による耐性のみを極度に上げた特殊なバリア、そして神対策局の人達全員が東京で会議をしていた日程、この二つの相性は最悪です」


 ミツレが、ハァとため息を吐きながら、スコップで砂利や瓦礫をリヤカーに入れる。


「本来なら、九州地方にも神対策局の人達がいるはずだもんな。今思えば、最悪のタイミングだよな」


「えぇ、最悪のタイミング過ぎて、まるで仕組まれてたかのようですよね。ま、そんな事はあり得ないでしょうけど。おいしょっと……………………」


 砂利と瓦礫をリヤカーに運び終えて、ミツレは腰を捻って骨をボキボキと鳴らす。


「でも、ミツレのおかげで、オシリスの杖を回収出来たじゃないか。アレのおかげで、例の()()()()()()()の開発に成功したって言うし、その部分だけを見れば、悪い事だけではないな」


「いえいえ、私のおかげだなんて………………… タイミング、オシリスの傲慢な性格、不意をついての攻撃、オシリスが杖を使わないと攻撃できないっていう四つの偶然が重なっただけですよ」


 ミツレは、少しだけ頬を赤らめて照れる。あの時、ミツレが来るのが少しでも遅れていたら、俺はオシリスに殺されていたはずだ。

 今こうして、生きているのは、全てミツレのおかげだと言っても過言ではないな。


「それに、オシリスの杖から対神用防御結界を作れたのは、対策局の方達と瑠紫さんのおかげですから、私よりも、あの人たちの方が凄いですよ」


 人間や妖獣よりも、高度な技術を持つ神によって作られた、オシリスの杖。それは、ラッキーな落とし物でもあるが、九州地方に甚大な被害を出した厄災の原因でもある。

 そして、遂に対策局ではオシリスの杖のデータを解析し、バリアの貼り方や管理方法などが明らかになったのだ。

 

「それにしても、バリアの内側からは簡単に抜けられるが、外側から侵入する事は非常に困難な例のバリアの性質を、まさか()()させる事に成功するとは思いませんでしたけどね」


「あぁ、あの厄介だったバリアを、まさか有効活用出来るとはな」


 オシリスの杖から開発された対神用防御結界は、例のバリアと違って、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という真逆の性質なのだ。

 それによって、人間界に来るときには最初は絶対に九州地方にやってくる神達を、本州に到達するまでの時間を稼ぎ、尚且つ外部から援軍を呼ぶ時間も稼げるという優れ物に変化したのだ。


「それに、瑠紫さんの協力があって、対神用防御結界は完成しました」


「一応、東京神対策局で鍛えて貰ってた時もお願いしたけど、意外にあっさりOK貰えたからビックリしたよな」


「えぇ、そうですね。それなりにキツイ事ですが、やはり瑠紫さんとしても、やらねばならない事だとは思っていたのでしょう」


 対神用防御結界は、非常に優れた物であるが、元は神が使用していた物であるので、消費魔力量が凄まじいと言う。

 そこで、元神である瑠紫が一週間に一回、一日で使える魔力を全て対神用防御結界に注いで、いつでも使用できるようにしているのだ。

 1日で使える魔力を一気に全て注ぐと、その日一日は高熱が出て寝込んでしまうと言うのだから、いくら自分たちの住む世界のためだとは言えど、瑠紫がした選択は、中々にツライものだ。


「だが、瑠紫さんやミツレ、そして色んな人たちによって神に対しての有効な設備が出来たのは、やっぱり嬉しいな」


「ふふ、そうですね。瑠紫さんも寝込みながら、ドヤ顔でしたからね」


「ははっ 確かに、そうだったな」


 俺は、ふと時間が気になったのでスマホをポッケから取り出して、時刻を確認する。

 すると、時計は、5時40分を示しており、集合時間を10分過ぎていた。


「うお!? 少し話し過ぎた!」


「あ、ヤバいですね…………… 急いで向かいましょう!」


「おう! 今回の対策局から派遣された少尉さん、凄い怖そうだったからヤバいぞ!」


 そして、俺たちは急いで荷物を片付けて、集合場所であるテントに向かおうとした。

 その時だった、一瞬空が光ったかと思うと、空一面に中央に大樹が示された魔法陣が広がる。


「神崎さ」


「ミツ」


 俺たちが足を止め、目を合わせた瞬間、その魔法陣から一斉に光が射出される。地に降り注ぐ、流星の如く光は一斉に地面に激突する。

 だが、光による損害は一切ない。流星の方がマシぐらいだ。光から現れる奴らに比べたら………………


「神だ! 神の攻撃だ!!」


 俺がそう口に出した時には、あちこちから砂煙と共に悲鳴や怒号が鳴り響いていた。

 神によって、再び九州の地は戦場へと変わったのであった。

お久しぶりです! いや、書くのメッチャ遅い自分からしたら、まだ早い方ですかね笑

まぁ、そんな事はどうでも良いですけど、次回から盛り上がる〜!とか言っといて、まだ盛り上がってませんね笑

でも、今度こそは安心してください! 次からは、次こそは盛り上がりますから!!

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