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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第5章 ようこそ、国立神対策高等学校へ
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新緑の季節へと

 校庭の桜の花びらは散り、桜の木々は新緑のドレスを身につけていた。

 そう、今は5月10日。入学式から1ヶ月ほど経ったころだ。

 1ヶ月も経てば、クラスの緊張感は和らぎ、居心地の良い空間に変わっていた。


「よーし、お前ら、今日の授業は終わりだ。今日の放課後は、先週から言ってた通り、陽が沈むまで九州地方の復興作業をやるからな」


 終業のチャイムが鳴り響き、岩導が帰りの身支度をする。


「一年生にとっては、三回目の()()()()()()()()、今のところは神の侵攻も無くて作業に集中できているが、油断はするな。では、各自で準備を終わらせて持ち場に着くように」


 岩導は、そう言うと教壇から降りて、教室を後にする。


「あー、もう三回目なのか。復興が進んでいないから、そんな実感湧かなかったな」


 俺は、後ろの席でスポッチの片付けをしていた神々廻に話しかける。

 神々廻は、スポッチを片付けていた手を一旦止めて、俺の方を見る。


「気持ちは分かる。でも、ミコ達や対策局の人達がやらないといけないこと。じゃ、ミコはもう行くから」


「おう、持ち場が違うけど気をつけろよ」


 そして、神々廻は無言で頷いて、七聖剣の入っている細長い布でできたケースとスクールバッグを持ち、教室を後にする。

 ふと周りを見てると、ゾロゾロと皆んな教室を後にしているようだ。


「よし、俺も行くか」


 ミツレ達の方を見てみると、ミツレと流風、そして氷華がミツレの机に集まって準備をしていた。


「3人とも、準備は終わったか?」


 俺は、スクールバッグと七聖剣の入っているケースを持ち、ミツレ達の方に向かう。


「はい、こちらも今終わったところです」


「うん、私たちは準備できたよ」


「めんどいけど、やらなくちゃならないから」


 そして、俺たち四人は教室を後にする。階段を降り、俺たちは日本の各地方に転移するテレポートする場所に向かう。





「おぉ、三回目だとはいえ、この人がごった返している光景には慣れないな」


 九州地方へのテレポート地点は、福岡、大分、熊本、宮崎、佐賀、長崎、鹿児島、そして沖縄の8つだ。


「えぇ、ここにいる人は、神高の生徒だけでは無くて、対策局の人たちもいるそうです。ていうか、生徒の人数よりも対策局の人たちの方が多いそうですよ」


 まぁ、ミツレの言っていることは確かだろう。現に、神高の制服を着ている生徒達よりもスーツや私服で列に並んでいる人たちの方が多い。


「あぁ、それもそうだな」


 俺たちが並んでいる列の隣にいた人が話しかけてきた。


「あ、岩導先生!」


 隣の列に並んでいたのは、俺たち一年B組の担任の岩導だった。


「少し前の復興作業で、神による襲来があったからな。日本神王国のカグツチと神民による大虐殺以降、現地では神高の職員だけでなく対策局の人たちが配属されるように…………………… っ! すまない、あの悲惨な事件は、お前たちの先輩も巻き込まれたのだったな。嫌な事を思い出させてしまって申し訳ない」


 ()()()()という単語で、俺たち四人の表情が一瞬だけ曇ったのを察して、岩導は謝る。


「いえ、先生が謝ることはありませんよ。悪いのは、神なんですから」


 ミツレは、目を伏せながらそう言う。あの復興作業の場には、神殺しの術を学んでいる生徒だけでなく、神高の教師もいたと言う。

 神高の教師を務める人たちは、神高の卒業生であり、その実力は対策局で務めている人達と変わらないらしい。

 データのないカグツチだけでなく、神民も数多くいたと言われているから中々厳しい戦いだったのだろう。


「そうか…………… お前たちは強いな。それに、あの悲惨な出来事を繰り返さないためにも、エリアごとに対策局の連中、それも少将以上が配置される。神が来ても迅速に指揮を取り、対応してくれるだろう」


 岩導の言う通りで、俺たち生徒は一つの県を幾つかに分けたエリアに配置されて、そこで作業をしている。そのエリアごとに、対策局の人が配属されるのだ。

 もし、神が来たとしても万全の体制で迎えれるようにしてあるのだ。


「そうですね! 先週は、坂田さんと一緒に私たちは作業しました」


「ほぅ! お前たちのエリアは、坂田さんが先週担当してたのか。千葉神対策局の隊長であり、階級は最上位の大将、そして()()()()()()()()()()では9位の実力を持っている()()()()()が居たとなれば頼もしいな」


 氷華の口から、()()の名前が出ると目をキラキラさせながら、岩導は口を開く。


「そういえば、先生は坂田さんとお知り合いなんですか?」


 やけに饒舌に坂田の事を話す岩導に、疑問を覚えたのか、ミツレが質問する。


「ゴホン! 坂田さんには、対策局に入ってから空手の指導を一時期してもらってたんだ。オレが尊敬している人でもある」


 咳払いをして、少しだけ照れ臭そうに岩導は話す。坂田は、色々な人に接してるんだな。人間として、やっぱりすごい人だ。


「おっと、そろそろオレの番のようだ。オレは、熊本県のBエリア担当だが、お前たちは?」


「俺とミツレは、福岡県のCエリアです」


「流風と氷華は、福岡県のBエリア」


 氷華は、手元にあったメモを確認しながらそう言う。


「そうか、じゃ行ってくる。お前たち、気をつけろよ。命が一番大事だからな」


 そう言うと岩導は、熊本県に向かうテレポート場に足を踏み入れ、光と共に消えた。


「お、俺たちの番も回ってきたな。俺とミツレは福岡県のCエリア、氷華と流風は別のエリアだけど頑張ろうぜ」


「もちろんです」


「うん! 気をつけてね」


「サボるんじゃないぞ」


 そして、俺たち四人は福岡の地へと転送された。一瞬だけ目の前が光に覆われ、目を開けるとそこには福岡の地が広がっていた。

 だが、かつて九州一の大都市と言われた姿はもうない。人の痕跡が全て淘汰され、瓦礫しか残っていないのだった。


「よーし、作業するか!」


「そうですね! あ、私たち福岡県のCエリアはあそこ集合みたいです!」


 そして、俺とミツレは、同じ福岡県のCエリア担当の人たちで集まっているとこに向かうのであった。

 この時、俺たちは油断していたのかもしれない。神が来ても、あの時とは違って対策局の少尉以上の人が各エリアにいるから大丈夫だと。

お久しぶりです! あまり盛り上がらないところを書くのが苦手なへっぽこ作者です!

でも、次からは、この章のメインの話になるので盛り上がるかと!

そう、つまりは更新頻度が上がると言うわけです! 

ま、まぁ来週から学校が始まるんですけどね・・・・

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