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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第4章 国立神対策高等学校
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闇を纏う

「一体、神崎さんの身に何が起きたんですか!? 私は目を瞑ってしまって、次開けた時には神崎さんが立ち上がってました………………」


 目を丸くして、ポカンとするミツレ。会場にいる人はミツレのように唖然とする人や、ざわめく人など様々だ。


「俺は、見えた。あの時、あの一瞬! 何が起きたのかを!」


 坂田は、ガバッと席を立ち上がり、俺の方を指差してタバコを咥える。

 坂田の言葉で、会場にいる人達は坂田の方を皆見る。


「坂田さんには、何が見えたのですか?」


「龍介……………ゴホン! 様が、悠真の頭を巨大な黄金の腕で潰そうとした時、一瞬だけ悠真の身体が紫色に鈍く輝いたんだ。」


 一瞬、坂田は三門龍介を呼び捨てにしそうになったが、咳き込んで誤魔化し、敬称を付ける。


「そして、紫の光が収まると、今みたいに右手が紫色になっていた。そこからは、本当に一瞬だった…………」


 ゴクリと、坂田は固唾を飲む。坂田は、自らでも言っていたが、剣道や空手、柔道など様々な武に関心がある人だ。

 その坂田が、固唾を飲むと言うことは、どれだけ一瞬の出来事だったのか、想像するのは容易いだろう。


「悠真は、目を瞑ったまま立ち上がり、龍介様の一撃を、紫の甲冑らしき物を纏った右手の拳で、一突きしたんだ。」


「一突き……………ですか?」


 俺自身、今現在、自分の身に何が起こっていたのかは分からない。目を開けたら、ざわめく会場と、慌てふためく三門龍介がいたという情報だけだ。

 だが、これだけは分かる。原因は、あの精神世界に巣食うアイツのせいだ。今回は、前回と違って、しっかりと記憶にある!


「あぁ、たった一突きで、あの巨大な黄金の腕を跡形も残らなく木っ端微塵にした。本当に、一瞬の出来事だったぞ……………!」


 更にざわめく会場。そして、恐ろしい物を見たかのような表情をする三門龍介。

 何なんだよ………………! 訳がわからない!


「おい、話は済んだか?」


「っ! お前は!?」


 このしわがれた声は、アイツだ! 名前も素性も知らないが、俺の精神世界に勝手に住み着いてやがる迷惑な奴だ!


「どうしたんですか、神崎さん!」


「悠真? 急にどうしたんだ?」


 更に更にざわめく会場。ん? どう言うことだ? 今、かなり大きい声でアイツが喋ってたよな…………


「我は、貴様の脳内に直接語りかけておる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からな。口は使えないようだ。」


「なん…………だと?」


 確か、コイツが精神世界で言ってたな、()()()()()()()()()()みたいな事を。


「神崎………………さん?」


 ミツレが、心配そうな目で俺を見る。まぁ、急に立ち上がって独り言をブツブツ言ってたら仕方ないな。


「いや、大丈夫…………でないが、大丈夫だ!」


 何言ってんだ、俺。だが、少しでも空元気を装っておかないと、ミツレや坂田さん達に心配されてしまう。


「久しぶりの外の世界だ…………… ()()()よりも空気が澄んでて心地良い。」


 嫌な、しわがれた声が脳内で響く。この、頭の中で声が聞こえるってのは、不快だな。


「おい、オッサン。もう身体が限界なんだけど。」


 そう、奇跡的に今立っているが、もう限界だ。視界がぼんやりとして、足腰がガクガクしている。

 今にも、再び地に伏してしまいそうだ。


「うぬぬぬぬぬ、さっきから黙っておれば貴様ら、僕ちんを無視しやがって! ちょっと、腕に鎧が付いただけだろう!? さっきのも、僕ちんが加減したせいなのだ! うん、そうなのだ!」


 今まで、震えていて気にも止めていなかった三門龍介が、再び動き出す。


「くそっ! もう、身体なんて動かせない………!」


 だめだ、地面に両足を付いて、案山子のようにする事しか今の俺には出来ない!


「今度こそ、今度こそ! くたばりやがれぇ!! 死ねぇ! 神崎悠真ァ!!」


 三門龍介は、後退りをして開けた隙間を縫うように走り、俺の間合いに入る。

 そして、背中から黄金の腕を生やし、俺の顔目掛けて拳を放つ。


「くそっ……………!」


 その瞬間、紫の甲冑らしき物を纏った右腕は、勢いよく後ろに引かれる。


「四項家、貴様を再び殴れる日が来ようとはなぁ!!」


 そして、しわがれた声が聞こえたかと思うと、後ろに引かれた紫の拳は、三門龍介の黄金の腕目掛けて放たれる。

 

「ギャ、ギャアアアアアアアア!? ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、僕ちんの右腕がぁ!? あぁ! あぁ!! 痛い、痛い、痛いよぉ!!」


 放たれた紫の拳は、三門龍介の黄金の腕を全て砕き、それでも勢いは止まる事なく、三門龍介の右腕を肩から吹っ飛ばしたのだ。


「俺の体に何が起こっているんだ……………………」


――――――――その拳、憎むべきものを砕く拳也。

 

 幾千の時を超え、この地に再び舞い降りた憎悪の主による、渾身の一撃であった。


本当は、次話と合わせて五千時ぐらいで投稿しようかなぁって思ってたのですが、読みやすいように二千字で投稿することにしました!


あと、2、3話で終わる、この章ですが楽しめてますでしょうか?


胸糞悪い展開が多い章ですが、このまま読み進んでくれる事を願ってます。


では、また次の話でお会いしましょう!

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