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日常の大切さは終わった時に気づくもの  作者: KINOKO
第4章 国立神対策高等学校
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一筋の希望

「ブッヒャッヒャッヒャ! やーっと外野が静かになったなぁ。」


 三門龍介の先程の一声で、会場は一気に静まり返る。

 だが、毅然として三門龍介を良い目で見ている人はいなく、呆れた顔をする者や目を伏せる人など様々だ。


 俺の頭から足を外して、三門龍介は少し後退する。そして、俺は体をガクガク言わせながら立ち上がる。


「ハァハァ…………………」


 身体中が痛くて、出血も吐血でかなりしてしまった。視界の隅がぼんやりとしている。


「おいおい、見るに耐えない姿だな。ボロ雑巾みたいだ。」


 立ち上がったは良いものの、足取りがふらついている俺を見かねて、三門龍介は汚物を見る目で見る。

 

「はっ………………俺から見たら、お前の心の方がボロ雑巾みたいだけどな。」


「ムキイイイイイイイ! まだ減らず口が言えるとは!!」


 少しでもコイツの注意を引いておかないと。三門龍介が、先程のように外野に興味を示さないようにするためだ。

 俺だけに視線を移してもらわないと、最悪の場合にミツレ達に危害が加わる可能性があるからだ。


「この下賤な下等種が調子に乗るな!」


 三門龍介は、再び黄金の腕を背中から十数本出現させて俺に向かわせる。


「貴様は僕ちんのオモチャなのだ! オモチャが持ち主に反抗するのは致し難いんだよ!!」


 そして、俺の顔や腹部などに黄金の拳が放たれる。もちろん、今の俺がそのような攻撃を避けれるはずもなく、もろに直撃する。


「グワアアアアアアアア!」


「ブッヒャッヒャッヒャ! 踊れ踊れ!」


 全身が砕け散りそうだ! だが、三門龍介は俺が気絶しない程度の攻撃をしており、わざと長く遊べるようにしている。


「ハァハァ……………謝れ! 僕ちんに謝りさえしたら貴様を吹っ飛ばして脱落にさせてやる!」


 さすがの三門龍介でも、長時間の魔力により攻撃の行使により少しだけ息切れしている。

 そして、コイツの目的が俺に謝罪させる事だと言うことがわかった。


「謝る………………?」


 だが、謝れと言われても何を謝れば良いのか分からない。俺は、正しいと思ったことを今までしていたぞ。


「そうだ! まず、四項家である僕ちんを睨んだ事だ!」


 睨んだ? あぁ、三門家に坂田さんとミツレで行った時に揉めた時の事か。

 だが、アレは三門龍介が悪い。杏先輩の遺品を壊して、杏先輩を馬鹿にしたからだ。


「そして、もう一つ! 先程、貴様は僕ちんの事を()()と呼んだ! そんな不届きが許される筈はない!」


 あぁ、そう言えばあったな。だが、それも何の問題があるんだ? 俺は、お前のことは大嫌いだし、そんな奴に敬意を払いたくもない。


「さぁ、早く謝罪をするのだ! そうしたら、今回ばかりは寛大な僕ちんが許してあげるぞ!」


「謝る、か……………………」


 ここで、このクソ豚野郎に適当に土下座でもして謝罪したら今現在の俺は楽になれるだろう。


「そうだ! 地に這いつくばって謝るだけだ!」


 だが、そんなことは絶対に許されないことなんだ!


「謝るわけねぇだろ! お前は杏先輩の事をボロカス言った挙句、坂田さんやミツレを苦しめた! 謝るのはお前だろ!」


 言ってやった。この世界において全てを手中に握っている一人である四項家の三門家に言ってやった。

 この試験結果がどうであれ、俺は適当に罪状を言い渡されて殺されるだろう。


「この下民がぁぁ!! 調子に乗るな! 僕ちんは四項」


「うるせぇ! 今、俺の目の前にいるのは四項家とか関係ない! 俺の大切な仲間を馬鹿にした大馬鹿野郎だ!!」


 三門龍介が何かを言おうとしたが、俺は声を怒鳴り上げて遮る。

 会場の視線が一気に俺に集まり、その視線を送った者たちは心配そうに俺を見る。


「大馬鹿野郎だとぉ!? ぼ、僕ちんが大馬鹿野郎!? そんなことパパにも言われた事が無いぞ!!」


 三門龍介は、頭を掻きむしりながら顔を真っ赤に染め上げて俺を睨みつける。


「テメェの大馬鹿野郎童貞を奪ったのがまさか俺だったとはな。なんか、気持ちが悪いぜ。」


「ムキイイイイイイイ!! 気持ち悪い!? この高貴で聡明な僕ちんに向かって! もう、頭に来た! 殺す! 貴様は処刑だ!」


 黄金の腕が再び、俺の方に向かってくる。もちろん、俺は避けられるほどの体力は残っていない。

 そう、()()()()()()()()()


「砕け散れ! 砕け散れ! 骨の髄まで砕け散れぇ!!」


「グ、グワアアアアアアアアア!!」


 そして、再びステージの端まで追いやられる。先程と同じように、まだ三門龍介は俺を痛めつけたいのか攻撃を止める。


「ゼェゼェ………………早く……………………謝れよ! この下民が!」


 三門龍介の息がさらに荒くなる。魔力の量は多いはずだが、流石にもう限界が近いようだ。


「ゴホッ………………ハァハァ……………」


「貴様ぁ!! まだ立ち上がるのか!」


 刀を杖のようにして俺は立ち上がる。だめだ、このままだと勝てない。どうすれば…………………





「神崎さん!」


 静まり返った会場に、甲高い声が通る。会場の全員が、その声の主の方を見る。


「ミツレ………………」


 涙を少しだけ浮かべたミツレは、俺の方を真っ直ぐな瞳で見つめる。


「あなたなら大丈夫です。()()()()()()()()()()()()!」


 拳を俺の方に示したミツレは、そう言うと席に座る。

 全力で叩き込む…………… そうか、そう言うことか! その手があった! この豚野郎を唯一倒せる方法があるじゃないか!


「チッ! うるさい女狐だ。アイツも処刑してやろうか。」


 ミツレに対して三門龍介は舌打ちをする。

 

 だが、どうする? 今の俺の体の状態だったらアレは不可能だ。アイツが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「あーあ、もうめんどくさくなってきた。とっとと、コイツをぶっ飛ばして本体を処刑した方が楽しそうだ!」


 くそっ! 三門龍介はいつでも俺を倒せる状態だ! 長引かせるためにはどうしたら良いんだ?

 そうだ! 癪に触るがするしかないか………………


「ゴファッ! くそっ! もう限界か………………」


「あぁ?」


 俺は、勢いよく血を吐き出しながら地面にバタリと倒れる。


「ブ、ブッヒャッヒャッヒャ! コイツ、遂に倒れたか! いや、まだ気絶はしてないか!」


 地面に横たわる俺を見て、三門龍介は高笑いをする。



「そんな! 神崎さん! 起きてくださいよ!」


「悠真っ!! 立て! 立つんだ!」


「悠真くん! 立ってよ、お願いだから!」


「神崎悠真、負けるなんて許さないぞ!」


 ミツレ、坂田、氷華、流風の叫び声が横たわる俺の耳に入る。

 そして、それに続くように会場が一気にざわめく。


「ブッヒャッヒャッヒャ! コイツはもう虫の息だ! 」


 三門龍介の足音が、地面に響き渡って聞こえて来る。


「さぁ、どうやって遊んでやろうかなぁ?」


 俺の真上で、三門龍介の言葉が聞こえる。チャンスはここだ! 今しかない!


「……………………黙れよ豚野郎。」


 地面に横になった状態で、俺は刀に全魔力を着々と送る。


「っ!? コイツ!? な、なんだ!? この熱さは!」


 急激に全魔力を送ったせいか、辺りの気温が上がる。

 俺の周りは蒸気のようなものが漂い、危険察知したのか三門龍介は立ち退く。


「俺は、お前だけは許せない。」


 使い物にならなくなった右手と左手で、最後の力を込めて固く刀を握りしめる。

 

「ここで、共倒れになっても俺はお前を倒すっ!」


 痛みに叫ぶ体を無視しながら、俺は立ち上がる。そして、更に刀を握りしめて全ての魔力を送り尽くす。


「一の力! 牛刀荼毘っ!!」


 この一撃で、俺は三門龍介と相打ちになる。それしか、コイツを()()()()()方法はない!

 いやー、この章もあと少しで終わりです! 

 

 本当は、もう少し書きたいと思う事もあったのですが、次の章や番外編の事を考えていると、ついつい完結の方に向かってしまうんですよね・・・・


 ですが! 安心してください! ちゃんと、この章の完結方法は書き始めた頃に考えているので、終わり方は一緒です!


 あ! そうそう! 物書きさん、いや創作さんLINEグループ的なのを作りたいと思っているのですが、どうですかね?


 参加したい!って人が多かったら作ろうかなぁって思っているんですけどね笑

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