おやゆびひめ
モグラさん 私を許して
決してあなたのことが嫌いになったわけじゃないの
あなたは優しい人
ネズミのおばあさんも笑って言ってたわ
あなたは真面目な人
森のみんなも口をそろえて言ってたわ
あなたは素敵な人
誰よりも 私がそう思ったわ
花が好きな私のために
あなたはいつも 色とりどりの素敵な花束を私にくれたわ
世界を知りたい私のために
あなたはいつも いろんな楽しいお話を聞かせてくれたわ
お母さんが恋しい私のために
あなたは何度も あちこちへとお母さんを探しに行ってくれたわ
不自由な生活をしていた私のために
あなたはたくさん 形あるものもないものも私に贈ってくれたわ
だけど ごめんなさい
私は花の子 花の姫
花から生まれた私は 太陽がなくては生きられない
あなたと共には暮らせない
あなたは地下の人 地中の人
土の下で暮らすあなたは 太陽の下では暮らせない
私と共には生きられない
ああ
あなたは素敵な人でした
私にはもったいない人でした
とても恋しい人でした
誰よりも 愛おしい人でした
あなたと共に暮らしたかった
あなたと共に笑いたかった
あなたと共に老いたかった
あなたと共に生きて、死にたかった
ごめんなさい
ごめんなさい
逃げ出した私を許してください
逃げ出した私を忘れてください
そしてどうか、
どうか、幸せになってください
お読み頂きありがとうございます。
昔から納得のいかなかった 童話おやゆびひめ を私風に改めてみました。
長編の作品を幾つか載せる予定ですが、いずれもまだ修正中ですので先は長そうです。
けれど、もしよろしければお読みください。
批評批判大歓迎です。もっと私自身の思い描く世界を表現したいので、感想酷評、友人への紹介も期待しています。
拙作をお読みくださり、ありがとうございます。
少なくとも月に一度は、短編や童話や詩を載せるつもりなので、気が向いたらお読みください。
繰り返しますが、本当にありがとうございます。