ゴシック小説からモダンホラー小説まで、ベスト50選 (西洋ホラー小説史概論)
西洋ホラー小説史概論
ところで、、怖い話の歴史は古代にさかのぼる、
神話や民話には怖いお話が満載ですよね。
ギリシャローマの時代の古典小説にもコワイ話はたくさんあるし
まあ怖い話を聞きたいというのは人間の根源的欲求?なんでしょうね?
例えば古代ローマ時代の小説である、「サチュリコン」とか「黄金のロバ」などにも怖い系?の話が含まれています。
それから中世・近世と延々と受け継がれてきて、
「デカメロン」ボッカチオや
「カンタベリー物語」チョーサー
「エプタメロン」ナヴァール女王
フランコ・サケッティの 『ルネッサンス巷談集』 などの
小話集にも怖いようなお話は含まれていますね。
そうしてそういう民話系の伝承奇譚は
近代になってより学術的に民俗学的なアプローチから、民話集や童話集として結実されたのです。その前触れ?として
「アラビアンナイト」がフランスのガランによって訳されて1704年から1706年にかけて全7巻を出版したことで、西洋に紹介されて大流行したというのもきっかけの一つでしょう。
ご存知のようにアラビアンナイトは、拷問、首切り、奴隷、殺人、などの内容をたくさんふくんでいますね。読みようによっては立派なホラー小説です。
近代になって民話に対する民族感情の高揚から、
収集や採話が流行して代表的なのが
「グリム民話集」1812年刊行です。
そのほか「イタリア民話集」カルビーノなども有名ですね。
こうした民話集には怖いお話もたくさんありますね。
グリムの「杜松の木の話」などがその代表でしょう。
日本民話にも怖い話はあります。
私などその昔、「まんが日本昔ばなし」で
怖い系のお話を見てすごいなあ?と思ったものでしたものね。
さてでもここまでは西洋文学に、
いわゆる「ホラー小説」という独立したジャンルはありませんでしたね。
西洋では、ホラー小説が、一つのジャンルとして認められたのは、
大々的に花開いたのが、いわゆるイギリスの「ゴシック小説」であろう。
このゴシック小説について詳しく述べると、一冊の本になるくらいなのでやめますが詳しく知りたい方はウイキペディアでも参考にしてください、
ごく簡単にまとめると、
「オトラント城奇譚」「ユードルフォの怪」「イタリアの惨劇」「マンク」
「バセック」「放浪者メルモス」などなど
いわゆるゴシックムード全開の小説がイギリスで1760年ころから、が大ブームとなったのである。
そしてこの流れはその後も受け継がれてブラムストーカーやレファニュからダフネデュモーリアに受け継がれています。
これがイギリスのゴシック主節の系統です。これらはしかしながら、
今でいうような「ホラー小説」というくくりはできませんよね。
ドイツでもゴシック小説の影響で、
ホフマンが「悪魔の美酒」などのゴシック風な小説を書いていますね。
これは「マンク」の影響が濃厚ですが実は
その「マンク」はドイツの「侏儒ペーター」シュピース作、が元ネタ?だというのですから。面白いトライアングル?ですよね?
その後ドイツではシラーの「見霊者」
「琥珀の魔女」マインホルト作とか、エーベルスの怪奇小説(「アラウネ」が代表作)
マイリンクの「ゴーレム」へと続いていますが、これはホラー小説というよりは幻想文学といったほうが良いでしょう。
フランスでもドイツロマン主義やイギリスゴシック小説の影響で、
いわゆる「フランスロマン派」といわれる小説群が現出しましたが、これもホラー小説というよりは幻想小説でしょうね。ゴ-チエ、ネルヴァル、ノディエ、などなど、
こういう系統からさらに発展して独自のファンタジー世界を構築したのがいわゆる「ハイファンタジー」といわれる。
CSルイスや、トールキン、ダンセイニ。マクドナルド。ミヒャエルエンデ、アーシュラケイグインなどですね。
さて
こういうゴシック系や幻想小説系からから分かれて、純粋に?ホラーだけを追求したのが、いわゆる今の「モダンホラー小説」ですね。
その開祖はやはり?
ミステリー小説の開祖?とも言われるエドガーアランポウでしょう。
彼の小説にも、ホラー的な要素満載のものが主流となっていった。
それらの中の、純粋にホラー的要素を追求した短編小説が今のホラー小説の始まりだというのです。、
「黒猫」「振子と陥穽」「アッシャー家の崩壊」「早すぎた埋葬」「ちんば蛙」「赤死病の仮面」などなど、
これらは、恐怖のシンフォニーともいうべきホラーのフィーリングの追及が主眼ですね。
それはエドガーアランポーにはじまり、そのご
コナンドイルの小説にも怪奇味は満載であるが、
主としてアメリカの小説家に受け継がれて、
さらには
ラブクラフト
ブラックウッド
マッケンなどもこの流れの中にあるわけだ。
こうしていわゆる「ホラー小説」のジャンルが始まった・定着したといえるのである。
これらの伝統を受け継いで1960年以降にホラー小説のブームともいうべき
現象を起こした中心人物といえば
やはり、スチーブン・キングでしょう。
ここに「モダンホラー」がジャンルとして、成立したといえるでしょう。
彼は精力的に作品を次々に送り出した。
作品は多すぎるのでここではいちいち取り上げませんが、、、。
それらの作品はゴシックホラーの伝統を受け継ぎつつも
心理学的な最新要素を加味したり
或いはごくありふれた一般人が突然いわれなき怪現象に巻き込まれたり
不条理さやシュールさを前面に押し出したり
血や暴力の要素をどぎつくしたりと
新しい味つけを施したのである。
そしてその語り口は絶妙です。
そして現実生活に潜むであろう現実的な恐怖を描くこと、
これが彼の大成功の秘密である。
こうした彼の作品群のテーマは
ズバリ
「呪われた運命」
「不条理」
「破滅」
「血と死」
「いわれなき突然の災難」
です。
私が好きなのは「ペットセメタリー」のような因縁話系ですね。
このキングの成功に刺激されて
幾多のホラー作家が輩出してきた。
彼らはこのキングの成功の秘密を自家薬籠中の物にして
つまりパクって、
新しい味のホラー小説を書いたのだ。
それらをまとめて「モダンホラー」と呼ぶのだ。
そうしたいわゆるモダンホラーの中から私が偏愛してやまない作品を
いかにご紹介してみようと思う次第である。
(キング登場以前のホラー作品も取り上げていることを始めにお断りしておきます。)
〇サイコ ロバート・ブロック作
言わずと知れたヒッチコックの映画の原作です。
〇山荘奇譚 シャーリー・ジャクソン作
映画「タタリ」の原作です。
〇悪魔の収穫祭 トマス・トライオン作
田園ホラー(そんなジャンルあったかな?)のエポックメーキング作品。
〇家 (バーント・オファリンクス) ロバート・マラスコ作
なんでこの邦題が「家」なのか理解に苦しむが、
原題は「焼かれた生贄」である。こっちの方がいいと私は思うけどね。
映画化されてますよ。原題の意味は「燔祭」(はんさい)
〇小人たちがこわいので ジョン・ブラックバーン作
「空高くそびえる山へも
藺草におおわれた谷へも
だれも猟に行く勇気はない
小人たちがこわいので」 イギリスの民謡
この民謡からタイトルがとられています。
〇ゴースト・ストーリー ピーター・ストラウブ作
映画化されたのでそれを見た人もいるかも?本邦劇場未公開ですけどね。
○血の本 クライブバーカー 短編ホラーの名手。
〇ジュリアの館 ピーター・ストラウブ作
幽霊屋敷と少女の幽霊。映画化されましたがマイナーですね。
〇暗い森の少女 ジョン・ソール作
少女に襲いかかる過去の因縁ですね。結構雰囲気在ります。
ゴシックホラーとしても出色ですね。
〇ゴルゴタの呪いの教会 フランク・デフェリータ作
いわゆる聖書モノホラー(そんなジャンルあったっけ?)
いわく因縁ある古びた教会に赴任した神父を襲う悪魔の
呪いとは?
〇蜂工場 イアン・バンクス作
後味の悪さにかけては隋一のホラーです。
○屋根裏部屋の花たち VCアンドルース
夫を失った女が子供を連れて帰ってきたのは古いお屋敷に住む実母のもとだった。
そこから始まる壮絶な子供虐待劇はこたえますね。
映画化されました。
○魔性の犬
犬と人間の間の混血児っていったい?
○ローズマリーの赤ちゃん
映画化されたので有名です。
○エクソシスト
これも映画化されて有名。
○ペットセメタリー
アメリカの田舎町に引っ越してきた夫婦、子供を失って伝説のインディアンの墓地で
ネクロマンサーを行い生き返らせてもらうのだが、その生き返った子供もはや生前の子供ではなかった。
映画化されました。
○ミサゴの森
魔の森に取りつかれて?くるってゆく、、。
○闇の聖母 大都市サンフランシスコにマコ起こる呪いの正体は?
○ファントム
とある村の住民500人が一夜で死んだ。
○インキュバス
田舎町で女性が次々におそわれて死んでゆく。
○地獄の家
マシスン作 映画「ヘルハウス」の原作です。
○黒衣の女 スーザンヒル
最近映画化された「ウーマンインブラック」の原作です。
これらがいわゆる「モダンホラー小説」の代表的な作品たちでしょうね。