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dim の 冒険   作者: 威錯謎(いさめ)
本編
4/7

O:CARAT《オー・カラット》事変 魔の邂逅

脈絡ないかどうかは存ぜぬ。

2015/09/14 19:00ごろ加筆

 息を切らしながら、漸く追いついた角で犯人を追い詰めた同僚が油断した雰囲気を纏う。だがこの時、ミレディアは何故だか直感めいた警告を受け取っていた。「いけない!」と思ったときには、彼は犯人に刺されていたのだ。慌てて駆け寄ると、何と現行犯も臥しているではないか。一瞬、刺し違えたのかと思ったがどうやら違うようだ。

 ただ、失神しているだけのようだった。無線の呼び出しが入る、「…B班、応答をケイの反応が途絶えた……至急報告を…」砂嵐のような雑音ノイズでよく聞き取れない。動悸が理性を破壊してゆく、私たちが追っていたのは凶行に走った件の犯人だ。


 しかし、血塗れて倒れているのは見たこともない老人だ。


 一体、いつ入れ替わったのか。いや、そもそも刺す直前まで奴はそこにいたはずなんだ。悪寒にも似た寒気が背筋を凍らせ、「もし御嬢さん。彼は君の情人かい?良かったら助けてあげよう、何御代はその“ ”で…」禍々しい何者かが私を指差し言った。

「先輩!レディ先輩、御無事ですか!?」後輩が息を切らし駆けて来ると異質な存在は立ち去った。幸いなことに、私は死者と碌に絆を築いていなかった。もし、“アレ”の言うとおり恋人だったら、きっと―。「って、先輩?大丈夫ですか、応援は呼びましたし。処置も的確ですから」大丈夫ですよと励ます後輩の声でやっと、未だ同僚の男が僅かながらに息をしている事実に思い当たった。でも何故だろう、彼は確実に助からないのだと明確に告げる警鐘はいつまでも鳴り響いていたのだ。


 顔色の悪い想い人を気遣い、捜査を外してもらった。(可哀想に震えている)差し出したホットミルクを黙って受け取る、常の彼女なら有り得ない素っ気無さだった。些細な事でも礼を忘れない彼女が、よほど気が動転してしまったらしい。「あの、もし宜しかったら―」一も二もなく彼女は僕の提案に乗ってくれた、望外の僥倖である。


 捜査の途中、約二名欠員が出たが大した痛手でないので放っておいた。故の惨事パーティーだろうか?皆心から晴れ晴れとしていたわけではないが。新郎新婦に言祝ぎを送っていた「レディ先輩結婚おめでとう!」泣き腫らしながら言うのはクレアンテ。彼女の後輩だが―知っている者達の複雑そうな顔にも目をくれずに―自らのことのように祝福していた。そして、華やかな挙式となった披露宴とは反対に寂しい葬儀となった一週間前。一応、上司として向かった葬列に見知った顔は少なく。男の人望さびしさを知った、変わりに同じ孤児院出身の若年層には余程兄貴分として慕われていたようだ。

 粗野な言動や荒くれた部分があるものの気の良い人間であることに間違いはない、多く誤解されていたようだが。そして男を心から好いた女性も一人居たようだと留めておく。


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