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思い込みの行動

あのあと、俺は家に戻り、ベッドに寝転がった。

過去を思い出し、それに耽る。


もう昔の出来事だった。

あいつの風祭悠の姉の香に会ったのは…。

小さいころからの知り合いで、親同士も仲がよく、あの双子とは仲良く遊んだ。

香と悠

姿は一緒だが性格は似ても似つかない。


なぜなら俺は、悠が好きだったからだ。

ただし、俺は勘違いをしていた。

彼女は、彼女らは双子だったことを全く知らなかった。

知らなかったから、俺は香と付き合った。

香は俺が知っていた、いや、俺が惹かれた性格でも口調でも一人称でもまったくなかった。

似た仮面をかぶった全然違う女だった。

そして気づいたのだ。

香の家に行ったとき、まったく同じ顔の女がいることに…。

「あ、お姉ちゃん、おかえりー、あれ、彼氏?」

俺が惹かれた口調とまったく一緒だった。

あの時は自分を憎んださ、もっと慎重に物事を進めるべきだったと。

おかしいことには気づいていたんだ。

香は口調と合わない一人称だった。

僕と言う言葉を使っていた。

そしておとなしい性格だったが無邪気さゆえの残忍さを持ち合わせていた。

俺の理想というか、惹かれた風祭はもっと違ったものがあった。

だからことの発端は気のせいということにしたのがだめだったのか、気づかなければよかったのか今でもわからない。

ただ一つ言えば、あのとき香は悠に嫉妬していただろう。

だからあんなことになった。あんなことに

最初は些細な姉妹喧嘩だった。

どんどん過激になって最後は授業中にカッターを持って悠のクラスの教室で暴れまわったのだ。

俺は姉妹を弄んだと噂された。

もともと被害妄想気味だった香のことだからそんな噂はすぐに消えた。

けれど、悠に対しての香のあたり方はすさまじかった。

些細なことでも怒鳴り散らして殴ったり蹴ったりしていた。

そんな香に俺はは限界だった。

香に悠に当たるなと言った。

そしたら「そんなに、僕より悠の方が好きなの?じゃあ、僕が悠みたいになるわ…だから、お願い…、捨てないで」とメンヘラめいたことを言い始めた。ますます嫌気が刺した。

すると、今度は悠に恋人ができたと聞いた。

俺は絶望しかけた。がそいつは俺の友人でもあった蒼生だった。

奴は女に不自由がないやつだで、彼女が何人いたかも定かでもない、そんなわけですぐに悠に浮気がばれた。それでも悠は何も言わずに、学校生活で彼女を続けた、彼の私生活には一切口を出さなかった。

最終的に蒼生は他の彼女に刺されて病院に運ばれた。

今度こそ俺はあいつらは別れると思ったがそんなことはなく、ふつうにお見舞いに蒼生のお見舞いに来ていた。

その時に黄色いバラを腕にいっぱい抱きかかえていたのが印象的でいつものような笑顔で「あおくん、黄色いバラの花ことばって知ってる?知らないなら今度調べてみてよ。あんまりお見舞いのお花にね、バラは持ってくることははばかれるけど、仕方ないよね。」と言ってそのバラを蒼生に投げつけた。

「また明日来るからそれまでに調べておくんだよ、あおくん。」

なぜか、その行動に俺はその女に惹かれた。ますます、あの女に焦がれ続けていく自分がすごく滑稽だったのがいまでも笑えてくる。

なんせ、あいつの恋人は俺なんだから。

そう、二年前、香は姿を消した、どこにも跡形もなく、だからみんなに自殺したのだろうと言われていた、なぜって、俺に捨てられたから。


そんなことを考えてるうちに、蒼生のやつがどんなに落ち込んでいるのか気になってきた。

だから、蒼生を見舞いという名目でどん底に突き落としに行った。



病院に着いて、ナースステーションに行き、蒼生の病室を聞いた。

病室をあけると、蒼生がいた。

「よう、どうだ。」

「新藤…。なぁ、なんでこんなことに…。なんで樹がしななければなら…

悠が、悠がいれば…」


憔悴しきっている蒼生にすごく嫌気がさす。

「なぁ、お願いがあって、おれは来たんだ。なあ蒼生、風祭悠のことなんだが。」


「…悠のことで?」

「ああ、あいつと俺は付き合っていて、そのなんだ、もうあいつに頼みごとをしないでほしい。」

もちろん嘘だ。

「で?だからなんだ、お前はあいつを好きかもしれないが、悠の気持ちは?」

「だから、悠に俺から頼んでってお願いされたんだよ、」

「う、うそだ、

だって、あいつは…」

「嘘じゃない

いいか?俺の彼女にあんなひどいことをしたやつを助けるほど俺も優しくはないし

風祭悠も優しくはない。

助けて欲しいならあのとき嘘でもいいから、言えばよかったんだよ。

恋に冷めてもいいからあんなめんどくさい女に憎しみを抱かせるんじゃあなかったんだ

お前のその素直さ好きなやつを殺したんだ。殺したんだ。

共通の友人からして言えば、あんなめんどくさい女を友人にしてもいいが、恋人にするのが間違いだ

そうしたら、俺はあんなめんどくさい女を恋人にしてこんなめんどくさいことにはなってなかった。

昔お前の彼女だろうがなんだろうが、今は俺の彼女だ。

取り込もうとするな。」

言ってしまった。

「で、でも、あいつが俺にまだ未練があって。」

「あぁ、あるだろうな、だってお前の妻は風祭悠が殺したんだとだれだって思うよ。

あんなことしておいて、お前だけが無事なのはおかしいさ

お前のずるさはそれだ。身代わり妻を見殺しにしといてお前だけ、お前だけ生きてるのはおかしい

昔、一線を越えたから、優しくしてくれたからって期待するな、今を見ろ。」

「あぁ、そうだな、だけど、俺は昔から悠が一番だった」

何をいうんだこいつは。

じゃあなぜ、悠じゃない女と結婚したんだ。といいかけてやめた。

こいつはこういうやつだと俺は知っていたから。

だから、女が何人いようと、金をたくさんもっていようと、他人を羨ましがる、蒼生は貪欲なんだ。

他人のもっているものを欲しがっていしまうから、悠も誰かの恋人だからただ欲しがって、そんなことをいうんだと。

そう自分に言い聞かせた。


見舞いに来てくれたのが悠ちゃんではなく、不幸という言葉がぴったりの新藤だった。


いつも喪服で何を考えてるのかわからない感情が欠如している奴だった。

樹が死んで、正直実感がない。

死体もあんなんだった。

樹は何を思って殺されたのか。

そして、本当に悠ちゃんが殺したのか。

考えるのはたくさんあって、そして、なにより、樹、自分の妻になったばかりの女を殺されたというばかりで喪失感もあり、なんだか、変な気分だった。自分が思ってもないことを口走ったり、悠ちゃんに縋ってしまう自分が情けなかった。


昔は、確かに貪欲だった。

けれど悠ちゃんが彼女になってから変われた気がする。


少しはまともになった自分。

悠ちゃんに対しての違和感。

そして過去に言った言葉。


『私と別れることがあったら、君だけ殺すね。そんなことがあったら君は死ぬべきだから。』


新藤は悠ちゃんが殺したといっていたが過去の言葉が矛盾する。

彼女は自分のポリシーを曲げることはないだろう。

彼女は嘘を吐いた俺だけを恨んでいるのだから。

俺だけを恨んでいるのだから。



ぽたんぽたんと水が落ちていく音がする。

今が朝なのか夜なのかわからない。

昨日の夜に突然ここに監禁された。

いや、正確に言うと、あおくんからの電話に出た後に殴られて気づいたら自分の家じゃないとこにいた。

ただ暗く、水音が聞こえるだけだった。

あの電話の後、どうなったのか知りたくもない。

ただ、生きていればいいあおくんだけ。

空腹感を覚えて、あたりを見回すが何かあるはずもない。

そういえば、夢を見た気がする。

姉がいなくなった日のこと。

家族にも疎まれていた私は親戚の家にあずかられていた。

なおくん…、新藤直規の家に用事があり、ついでに、両親の様子を見に行った。

そこで、両親の凄惨な姿を見た。

正直言葉を失ったが、すぐに新藤直規を呼んだ。

外にいろと言われ待っていたら、どこらかきた姉に見つかってしまった。という過去の出来事の夢だった。

そんなことを思い出してると、物音が聞こえてきた。


あぁ、帰ってきたのか、私をここに連れてきた張本人が。


双子ってのは姿は似てるけど、どっちも性格が一緒だと思われてしまう点はすごく好きではない。


だから、私は姉が好きではない。

だが、姉は逆で私のことは嫌いではないらしい。

いや、そんなことどうでもいいけど、さっさとここから出してほしい。

「お姉ちゃん」



そういうと、出てきた。私の服を着た。私に似た人間が。


うぇーい、生きてた。

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