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マイ★スター  作者: みっち~6画
第3章 レオと赤目
54/56

54屋敷の下見。

 レイダー、と書かれた屋敷を見上げ、レオとヒドラは感嘆のため息をもらす。

 朝日を受け、きらきらと反射する門柱の飾りひとつ取っても、どれほどの価値があるのか分からない。

 野菜売りの荷車を引いたメイジャーのあとについて、レオとヒドラは、先ほどから何度も屋敷の前を行き来していた。

「おい、何度来られてもだめなものは、だめだ」

 門番の大男が、メイジャーに向けて言い放つ。

「でもダンナ、うちの野菜は新鮮で安いって評判で……」

「いらんと言ったろ! それに、なんだ。どこが新鮮だと? こんなところでうろちょろしないで、さっさと市場まで行ってきたらどうだ」

 最後の念押しに、メイジャーは門番に向けて愛想笑いを浮かべた。

「この屋敷のだんな様は、本当にすぐに出かけちまうんですかぃ? 奥様は? 奥様に聞いてみておくれよ。うちの野菜を食べれば、病気でもなんでもすぐに治っちまいますぜ?」

 門番は、「そうか」とわずかにまゆ根を曇らせる。

「その話が本当なら、坊ちゃまに食わせてやりたいもんだが……」

「ご病気なのかい? だったら、このニンジンを食わせてみな。きっと良くなるから」

 だがなぁ、と門番は下唇をかんだ。

「ここの奥様は料理なんてなさらねえし、料理人はいつでも自分で市場に買い付けに行く。だんな様だって気難しいお方で……」

 自ら言い過ぎたと気づいたのだろう、門番は急に咳払いをするとメイジャーの後ろに突っ立っているレオとヒドラに向き直った。

「まぁ、とにかく。カボチャもトマトもいらないよ」

「ニンジンだって!」

 ばたり、とメイジャーの鼻先で門が閉じられる。

「……ちぇっ。まぁ、いいか。まぁ、ここに病気の息子がいるってことは分かったな」

 ぶつぶつこぼしながら、メイジャーはさっさと荷車を押しながら帰っていった。取り残されたレオとヒドラは、ぼんやり屋敷を見つめる。すると、先ほど閉まったばかりの門が開き、馬車が出てきた。

「豪華な馬車だな」

 ヒドラが、あきれたような声を上げた。銀色で統一された内装も華やかで、日の光を受けてきらきらまたたいている。

「あれ? あの馬車、どこかで……」

 弾かれたように顔を上げるレオ。馬車の小窓にほおを寄せていた少年と、まともに目が合ったのだ。少年は驚愕のまなざしをレオに向けたまま、口をぽかりと開けた。

「アイツだ! ……リヒャルト。ここ、アイツの家なんだ」

 レオの前に現れて、傲慢な態度で忠告してきた、あの。

「それにしても。なんだろう、今の顔」

 リヒャルトを乗せたまま、馬車はレオとヒドラからどんどん離れていった。



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